新たなる脅威
神様わがまま・・・
アスタージナスとウラアールがUSAマハッタンにある王宮執事室で語る
「来年で我らは35、いよいよ時が来たようですね」アスタージナス
「はい、懸案事項もほとんどなくなり思い残すことは何一つありません」
「我が子達が少し幼いが大丈夫、もう独り立ち一歩手前まできてます」
「それにしてもなぜ大王の娘達は政治の表舞台に出さないのですか?」
「それは無粋と言うものでしょう。全ては本人の才脳次第ですから」アスタージナス
「ふふ、我が娘達と同じ理由ですね、無粋無粋」ウラアール
「我が子は政治の才脳はありませんが研究者としての才がありそうです」大王
「ウチの子達はまだまだなにに向いてるのか分かりませんわ」ウラアール
「なにはともあれゴブータが全てを救ってくれました」大王
「いかにも・・・ゴブータ様がいなかったらどうなっていたか」ウラアール
「とにかくこの世に未練はありません、あとは天命をまつだけ」大王
「7才で出会ってあっという間でした・・・」ウラアール
「初めはわたしに意地悪ばかりしてたのに」笑うアスタージナス
「あのときはダクーミ様一筋で廻りが見えませんでした」ウラアール
昔話に花が咲く二人、いつしか両手を握り合って1cmの距離
思念通信で語り合ってる・・・
「本当にありがとうございます」アスタージナス
「あの世でも私は大王の僕です」ウラアール
☆
どのくらい時が経ったのかそれとも一瞬なのか・・・
「これ、これ」
「は、なんでしょう」二人
「勝手に寿命を決めるでないぞ」
「どちら様ですか?」アスタージナス
「我は神である」
「つまりおむかえですね」ウラアール
「うむ、本来ならお迎えだったが少し情勢が変わってな・・」
「はあ?」
「お主達はなぜ現世が少子なのか原因を突き止めてはいない」神様
「しかし、それは我々が解明しなくてもいつか分かること」アスタージナス
「それは違う、我の設計図では其方達以外では不可能なのだ」神様
「ならば神様が実行してください、簡単でしょ?」
「馬鹿者、神様にそんな能力はない」神様
「では、どうしろと?」二人
「うむ、勝手でスマンが其方達の寿命は「死ぬまで」じゃ」神様
「意味がわかりません」二人
「申したとおり、神が介入することは無くなったということ」
「それでは、また会おうな」
神様は遠くに行ってしまった
「大王、!ウラアール様!」大勢がなにやら叫んでいる
はっと目を覚ましキョロキョロする二人
「ああ、良かった二人とも息を吹き返してくれました」抱きつくゴブータ
「なにごと?」大王
「静かになった執務室を護衛兵が怪しんで入室したら二人が倒れてました
それから1週間二人は昏睡状態で集中治療室で治療を行っていましたが
最後の手段としてゴブータ様開発の超聖水ポーションを服用頂き蘇生されたのです」
主治医が語る
「過度の思念通信により脳細胞が破壊されてしまい現代医学では対処できない
重篤状態だったのです」ゴブータ
「私の開発したポーションにて損傷した脳細胞を全て復活させ我ら思念通信
可能な10人が渾身の治療を施したのです」ゴブータ
「10人?」
「はい、スタージナス様、イーシャ達4人、ゴブーミ達4人、そして私です」
「皆様の尽力があったのですね」涙するウラアール
「しかし、私やジパン様同様失われた脳細胞は復活しましたが神経細胞が
まだ繋がっていません。多分しゃべることすら困難なはず、1週間以内で
リハビリしないと失われてしまいます」ゴブータ
「その必要はありません、我が魔力で全ての脳神経は繋がりました
ウラアールにも同じ魔法を掛けましたので全快してます」大王
「おお、さすが神様仏様・・・」イーシャ
「とんでもありません、我々は神様に殺されかけたのです」プンプンのウラアール
「ですが、神様から宿題をもらってしまいました」アスタージナス
「ほう?」
「なぜこの世界では人口が少なすぎるのかと・・」ウラアール
「そ、なんなもん神様ぞ知るのみだろうに」スタージナス
「しかし、神様もお手上げなんだそうです」アスタージナス
「で其方達はそれの解明のため生き返ったと?」スタージナス
「どうやらそうみたいです」二人
「我が儘な神様じゃなぁ・・・」スタージナス、病室大爆笑
「神様が知らないものをなんで我々が・・」イーシャ
「ということは逆に考えれば解明するまで二人は生きていられる」ダーリャ
「うーん、どうやら解明しようがしまいが寿命まで生きてられるそうです」二人
「なんか語りに騙された感じだなぁ」スタージナス
「しかし少子化対策は神様が望もうが望むまいが吃緊の課題なのは事実」ダニア
「今後魔物生産も禁止となりましたので更に重要な課題ですね」ゴブータ
「まずは実体の調査からですね」アスタージナス
「は、それでは緊急にコクレン加盟国での国勢調査を行いましょう」ゴブータ
「医師団の話ではお二人は最低2週間~3週間絶対安静だそうです
テイロン島にでもいって養生してきてください。」イーシャ
「うむ、たまには全員でリゾートするか!」スタージナス
「大賛成!」全員
「というか私達の魔力も限界まで酷使してます。フラフラです」ゴブータ
「二人のためにありがとうございます。それでは1週間みなでリゾートしましょう」
事実上の全世界覇者アスタージナスの天の声、だれも拒否など出来ない
「ごめんなさい、ヤコブとヘッテお二人はお留守番で全権を任せます」ウラアール
「はは、皆様十分に英気を養って来て下さい」ヤコブとヘッテ
かってスタージナスに叱咤されたヘッテ、それ以来精進に励み国政を任せても
なんら遜色ない実力を身につけている。
マハッタンからテイロンまでは大統領専用機で12時間のフライト
護衛兵を含め50人がテイロンに向かった
大統領執務室でくつろぎながらの座談会
「さあ、お茶しながら負担の無い様にお話しましょう」アスタージナス
「さて、少子化対策について皆様のご意見はありますか?」
「うーむ、これまでもいろいろ対策を練ってはいるが実効性が確認出来ないな」
スタージナス
「ここ10年で全世界は飛躍的に科学が進歩し劇的に貧困層が減りました。」
イーシャ
「しかし、なぜ飢えから解放された民なのに増えないのか・・・」スタージナス
「私が思うに貧困こそ人口爆発の鍵なのです」アスタージナス
「ばかな、貧困では子供なぞ育てられないはず・・」スタージナス
「前世の記憶では発展途上国程人口爆発が発生してました」アスタージナス
「現世では人口爆発が起きる前に魔物による人口調整が起きてましたね」ウラアール
「確かに人類にとっては不幸な事ですが自然淘汰があったのは事実」タラン
「さらに、ダクーミ一党による人類抹殺計画で3千万の民が犠牲になりました。」
悔しげにイーシャが語る
「しかし、ダクーミ事件は解決し敵性魔物も壊滅し人口増加の障害はなくなった
はずなのですが・・」ウラアール
「代わりに近代科学と民主主義が入って来て人類全体の民度が変わりました」
「平和と安定が逆に少子化を増進させてしまってると言うことか・・」スタージナス
「私の勝手な意見ですが科学がこれほど進化し全自動システムが進んだ昨今
無駄に人口を増やす必要はあるのでしょうか?」ネハ
「あきんどの立場で言わせてもらうとやはり商いにはマンパワーだ
物を買う人がいなければ商売はなりたたないし物流も増えていかない」スタージナス
「なるほど。確かにその通り」タラン
「それでは全世界において適正人口というのはどのくらいでしょう」大王
「全世界の面積を考えればすくなくとも100億位は飢えることなく生活出来る
でしょう」タラン
「しかし、それはまず実現不可能だろう」スタージナス
「は、現実的な所ではせめて現在の3倍25億が最低限でしょう」タラン
「国勢調査まちだが道のりは険しいな」スタージナス
「さ、今日は負担が掛からない様これぐらいにしましょう」ダーリャ
その時警戒アラームが響く
「緊急事態、緊急事態、敵性勢力からの攻撃が予想されます」
「む、?予想なのか」スタージナス
「は、これは軍事機密ですが早期警戒システムは攻撃を予想するところから
始まってます」イーシャ
「敵性ミサイル発射前に撃破完了、敵性勢力鎮圧完了。オールグリン
警報解除、警報解除」
「つ、つまり敵が攻撃ミサイルの発射ボタンを押すのを検知して未然に防いだ?」
スタージナス
「国家機密です民間人かつ他国王にはお話出来ません」イーシャ
「其方はむかしから固いのう・・」スタージナス
「恐ろしい程の複合技術を含んでいるので絶対に明かせないのです」タラン
「ほう、其方は知ってるような話ぶりだのう」スタージナス
「知ってるもなにもこの早期警戒システムはイーシャ様と私の共同開発ですから」
「わたしですら一切説明を受けてませんもの」アスタージナスとウラアール
伝令が後始末をイーシャに耳打ちして全ては終了したみたいだ。
「インダネシアにはまだ狂信者と反政府組織が存在してる様です」イーシャ
「きっと洗脳がとけずに苦悩してるのでしょう。いつか救わねば」ゴブータ
「問題は大統領専用機がテイロンに向かう事がなぜ漏洩したかだな」スタージナス
「上空を通過する航空機への無差別テロかもしれません」アスタージナス
「む、それはそれで問題。輸送路の安全は緊急の課題たりえるぞ」スタージナス
早朝に出発したので早めの昼食が用意される
「して、国家軍事最高司令官がなぜメイドなのじゃな?」スタージナス
「もう、なんども言わせないで下さいスタージナス様の前では私はメイド
メイドが本来の仕事ですので」イーシャ
「というかそんな上司は部下にとっては迷惑千万なんだがな」スタージナス
「いえ、部下にはすべて説明して納得してもらってますので問題なしです」
「まあ、好きにせい。で今日のメニューはなんだ?」スタージナス
「は、今回は静養が目的、滋養強壮を兼ねまして中華三昧です」
「おおおおおっ我は和食の次に中華が大好物!」
「今回同行いただきましたゴブーミ様のご指導にて最高級の中華料理です」
「中華料理といいましても奥が深くとても一言では表せません、今回は
古代王朝式の「満漢全席」を忠実に再現してみました。
「まあ、これはどれほどの予算が・・・」ケチなウラアール、料理よりお金の心配
「大丈夫です食材はすべてシン国よりの献上品です」ゴブーミ
「ただより高い物はございません」ウラアール
「まあ、まあこうして料理として出てきてしまってる物を戻す訳にはいくまい
ここはシン国のご厚意に甘えるべきじゃろう」スタージナス
「この、熊の手というのは右手と左手で値段が数倍違うそうじゃ」スタージナス
「あら、よくご存じですね」ゴブーミ
「クマは左手で餌をとるらしい、故に左手の方が味が染みこんでるからと聞いた」
「まったくスタージナス様のうんちくんときたら・・・」ジパン
「こら、ジパン食事中に「うんちくん」とは何事!「うんちく」じゃ」
一同大爆笑
「して、なんで静養が必要ないジパンまで一緒に来てるのだ?」スタージナス
「それはあまりにものお言葉、私はウラアールの夫です同行するのは当然かと」
「あまりにも其方は子供じみてるのでウラアールの旦那だと気がつかなかったわい」
「そ、それはあまりというもの」泣くふりジパン
一同更に大爆笑
子供と馬鹿にするスタージナスだったがいざと言うときの行動力は認めている
実はスタージナス、ジパンが可愛くてしょうがない。
いじくるのが楽しくてしょうがないしジパンも喜んでいる。
さて、食事も済んだしまだまだ到着には時間があるジパンやるぞ!
「また将棋ですかぁ」とほほのジパン
「うむ、いつしかそこにノホホンと座ってる大王かヨハンどちらかを負かすのだ」
「お父様の筋は大変よろしいですよ」上から目線のアスタージナス
「く、いつか負かしてやる」スタージナス
「近頃ではイーシャまで強くなりおって・・」スタージナス
絶対にイーシャは4人掛にちがいないと踏んでるが証拠がない。
「妖怪人間イーシャ軍団にかなうわけありません」ダーリャは知っている
「さらにはゴブータまで強くなってる」悲鳴のスタージナス
執務室は将棋の駒音が高らかに響きみなが熱中し時間があっという間に
流れて行く。
「ああ、初めて大王に勝ちましたぁ!」ゴブータが歓喜をあげる
「恐ろしい、大王に勝つとは其方も化け物だな」恐れおののくスタージナス
「いえいえ、今日大王は静養中ハンデがあったので実力ではありません」ゴブータ
「それにジパンから指導員を招いて王立魔法院内に将棋道場を建てました
そこで訓練した成果だと思います」ゴブータ
「ジパンから来てる指導員は化け物と聞いているが?」スタージナス
「はい、ジパン国の名人位をなんども獲得し伝説のプロですから」ゴブータ
「またぞろ、USAの財力にものをいわせて強引に誘拐してきたのだな?」
スタージナス
「それは人聞き悪いですわ、全ては本人の意思です無理強いなんてしてません
でもやはりUSAでもプロの1人や2人居てもおかしくないと思いまして」ゴブータ
「うむ、ジパン国との友好、親善は大いに結構」スタージナス
「こんなにみんなで遊んだなんて何年ぶりかしら」満面笑みのアスタージナス
「我は思うのだがまだまだ平民の娯楽は少ない。貧困解消が第一だが人間
娯楽もなければ生きていく楽しみがないと思うな」スタージナス
「はい、それは痛感しています。今まではとにかく食べるだけに一生懸命でしたが
これからは余暇とか娯楽に関しても研究が必要でしょう」アスタージナス
「人間楽しみがあれば邪教などに走らないし洗脳もされないと思うな」スタージナス
「うーむ、それは哲学ですな」ジパン
「そなたが言うととたんに軽くなるな」スタージナス
「前世では博打とかに走り家財産をなくす悲劇もたくさんみてきました」大王
「うむ、金儲けを企む輩は相手から容赦なく金をむしり取るからな」スタージナス
「「水清ければ魚住まず」と申しますが。ほとんどの民は心が弱い・・・」イーシャ
「やはり、教育を高め民度を上げていくしかありませんね」ダーリャ
「うーーん」
結局くそまじめな一行、皆で悩みまくる・・・静養地に向かうのに
朝の7時に出発して丁度12時間、目的地テイロンに到着したが時差8時間
まだ午前11時。
「なんだか感覚がおかしくなりますね」ジパン
「このままご一行様はホテルにて記者会見後明日の朝食まで自由時間です」
スーツ姿で颯爽とした「お姉様」添乗員が美脚をチラチラさせながら案内する
「なんだか色香に惑わされそうな添乗員だな」こそっとスタージナスがジパンに
耳打ちする
「いかにも、しかしわれはウラアール一筋籠絡されませんぞ」ジパン
「ばかもん、我とてダーリャ一筋だ甘く見るでない!」
「男同士でなにこそこそしてるんですか?」ウラアール
「おほん、其方は美しいなとジパンに褒めていた所じゃよ」スタージナス
「あらやだ、御父様でもお世辞が言えるのですね」ウラアール
「いやいやお世辞ではないぞ自慢の我が娘の本当の事を言ってるまで」
残念ながら公式行事なので手短であっても記者会見を行わなければならない
「それでは記者会見を行いますが今回はあくまでも大王のご静養が目的
ご質問は一社につき一問一答で御手短にお願いします」進行役
「はい、そこ」
「○×新聞の○○と申します。今回静養地になぜテイロンを選んだのでしょう」
イーシャが答える
「はい、ここテイロンは前大アスタージナス国時代に初めてリゾート開発を
手がけた地、その後どのように発展したのか視察する意味もありました」
「○○新聞の○○です、と言う事は今後USA及びEUはリゾート事業も
視野にいれてると考えてよろしいのですね」
「いえ、今はなにも考えてません。とにかくそのような事業が果たして採算とれるのか
研究が必要と感じてる段階です」ウラアール
「ジパン新聞のドモンと申します、話は変わりますが魔物生産を非合法化した現在
奴隷制復活の兆しではないかと懸念されてますがUSAの見解ください」
「おおっ、あのドモンか?食い詰めて記者やってる?もしくは隠密?」
さすがタランは諜報部員、色々と思う所があるが無言であれこれ考察する
「その質問は愚問です。魔物生産と奴隷制は全く別の話、我が国では奴隷制は非合法
と憲法に明記しています。ですから絶対に奴隷制は復活しません」アスタージナス
「しかし、各地で人材不足が深刻ないま魔物は作らない奴隷は駄目ではどうされる
のでしょう」ドモンが続ける
「はい、それは国家のレベルを超えて全世界共通の吃緊な問題。事態は深刻と
受け止めています。いましばらくお待ちください」アスタージナス
「当面の解決策として召喚人間でしのぐとかはありますか?」ドモン
「君、すこししつこいな。各社一問一答と取り決めてます。いい加減にしてください」
「いえ、その質問には回答させていだだきます。」アスタージナス
「魔物生産と同じに召喚人間も非人道的措置と我が国は考えています
我が国では一切の召喚人間生産は禁じています。ご安心ください」
「し、しかしそれで・・・・・・」ドモンはそのまま強制退室させられた
「なにかあるな」以前にドモンをタランから報告されているスタージナスは直感した
「それでは本日の記者会見を終了させていただきます」
「タラン」即時にアスタージナスがタランを呼ぶ
「は、了解しています。ドモンの様子がおかしすぎます。調査します」
「しかし、背景が分かりません。どうか慎重に願います」アスタージナス
エミコも即座に大王の後ろに控え耳打ちする
「すぐにジパンでの動向も探らせます」エミコ
「皆さんすいませんね到着したばかりなのに・・・」アスタージナス
「きっとドモンはわざと目立つように質問をして我らの関心を引こうとしてます」
「うむ、ヤバイヨからドモンのことは良く聞いているなにかがあるのだろう」
スタージナスも同意見
陰謀臭漂います




