大農業政策
新しい農業、明るい農業
「さて、われのアイデアは実行可能かな?」スタージナス
「しかし、そのようなアイデア一体どなたの案なのでしょう?」ダニア
「其方も失礼よな、わざわざ他人の案をなぜ我が其方に相談する?」スタージナス
「恐れいりました、それにしてもこれは素晴らしい発想すぎです」ダニア
「だろう?と思ったから我が娘達にも相談せずに其方に最初に話したのだ」
「確かに結界魔法は例えば南極のブリザード等により摩擦し消耗していきますが
まさか磨耗時に発するエネルギーに気がついたのは初めてでしょう。」
「確か物質保存の法則とやらがあると以前に大王に教わったのだ」スタージナス
「は、科学の常識ではありますがまさか結界魔法にも通じるとは・・」ダニア
「結界魔法といえどもこの世の法則で動いているのだ例外はあるまい」スタージナス
「しかし驚きました。まさか摩擦熱からエネルギーを取り出せるとは」ダニア
「今は効率も大したこと有りませんが研究次第では城郭内の電力を全て
まかなえる可能性が有ります」
「で、我の出した第二案はどうじゃ?」スタージナス
「確かに色つき結界を使えば調光も自由自在、しかも発電素材を封入すれば
なんと太陽発電パネルにもなります。さらに風力発電も可能、これは人類の
エネルギー問題を根本から変える大発明でしょう」ダニア
「うむ、うむ、わしが皆の役に立てることを証明できて嬉しい」号泣スタージナス
「で、お金が掛かりすぎる城郭化ではなく簡易ビニールハウスみたいに低予算で
結界魔法を運用出来ないかな?」スタージナス
「本来結界魔法とはバリアーの役目ですから城郭ありきなのですが・・・」
「そのような商用目的の視線は画期的すぎて誰も気がつきませんでした」ダニア
「わるいがすでに我は「あきんど」国策よりも金儲けの方が楽しいのだ」
「それに安上がりビニールハウスはダクーミがとっくに実用化していた」スタージナス
「は、確かに西の砦は世界初の試みが満載でした」ダニア
「うむ、濃縮聖水プラント、魔物生産、パイプライン、坑道システム・・・・
恐ろしい程の先進性があったな」スタージナス
「それにしてもスタージナス式ビニールハウスは全世界で展開可能なのが画期的です」
「うむ、安定した住居の確保、電力の確保、農地の確保。全てが可能だろう」
得意満面のスタージナス
「しかも、住民は自動的に即死魔法が施され二度と戦争が起きない、起こさせない」
「いったい一石なん鳥なんでしょう」驚きのダニア
「しかし、全ては南極の魔核融合発電所だより、なんとか追加建設出来ないのか?」
「は、そのために私はここに常駐してるのです。まだ研究は必要ですがダクーミ式より
数倍効率のいい魔核融合発電所が後数年後には10基は完成するはずです」ダニア
「私のライフワークです」もはや他のことなど目もくれないダニア
「うむ、ヘホコもロムロもいるからお主は安心してこの研究に没頭してくれ」
「世界が変わりますね」ダニア
「うむ、世界が富で溢れる」スタージナス
「あとな・・」
「なんでしょう?」
「このシステムを潜水艦や軍艦に装備すればとんでもない事になる」スタージナス
「う、」ダニア
「しかも防御力も無限大になり、発電も無限大、燃料がいらなくなるだろう」
「軍事利用したらありとあらゆる分野で応用可能ですね」ダニア
「うむ、だからセキュリティが万全な南極基地でお主に相談したかったのだ」
「以前大王が封印したい兵器があると申しておったが同じ物だろう」
「まさにパンドラの箱、禁断の領域・・・ですね」ダニア
「軍事利用に関しては我と其方の永久の秘密、お墓までもっていくぞ」スタージナス
「は、異存ありません、私は人類発展の発明以外はしません」ダニア
「うむ、よくぞ言ってくれた。ありがとう」
その夜スタージナスは大王に思念通信し、全てを嘘偽り無く報告した
「そうですか・・・やはりそうだと思っていました。報告ありがとうございます
この件は3人の胸の内にしまっておきましょう。それが人類の為です」大王
翌日スタージナスはサンクトベテルブルクに戻りいつもの通りあきんどにせいをだす
「どうじゃ?天然ガスは目処がたつのか?」
「目処が立つどころではありません。埋蔵量は全世界が必要とするぶんの
千年以上です」ヘホコ
「うむ、だがもうすぐエネルギー革命が起きるので採算が合うかどうか」
「しかし、環境問題は注意しないと駄目ですがやはり高エネルギーを要する
発電所や溶鉱炉などでは天然ガスの需要ははかりしれません。」ヘホコ
「うむ、適材適所じゃな。パイプラインの設置は必要だろう」スタージナス
「は、すでに大工業地帯であるドコドイ州までの敷設が決定しています」ジパン
「全自動パイプライン施工システムは実に優秀、作業員は従来の1/10で済みます」
「なにしろ作業員は監視が主な任務、雪上車のなかで博打三昧とか(^^)」
「博打は禁止しないがほどほどにな」スタージナス
「その他の報告ですが・・・」ジパン
「なんだ?報告せよ」スタージナス
「は、予想通りなのですがサンクトベテルブルク周辺の針葉樹林のほとんどが
魔族性を有する魔木と判明しました。」ジパン
「うむ、それゆえ質の悪い聖水でも大量に自然魔物が発生してしまうのであろう」
「しかし、極寒のこの地で魔物が発生してもほとんどは飢餓に苦しみ暴徒化する
悪循環なのです。今までは少ない人類が協力して作物を作り共存していましたが
人類がいなくなり無計画に作られてる魔物をどうするか・・・」イーシャ
「伐採して資源に出来ぬか?」スタージナス
「規模が大き過ぎてとても伐採しきれません」ヘホコ
「魔物移民局を作り世界中に派遣出来ないか?」スタージナス
「しかし先鋭化する魔物をどうやって説得するか・・・」イーシャ
「たしかクラスター爆弾で8割以上の魔物を洗脳解除出来たと聞いたが」
「しかし、広すぎてどれぐらい予算がかかるか想像も出来ません」ジパン
「うむ、ダニアに頼んで効率的かつ低予算のクラスター爆弾を開発させよう」
スタージナス
「は、それまでは地道に説得していくしかありませんね。」ジパン
「私もサンクトベテルブルクに赴き協力します。」ゴブータ
「うむ、其方の健康を害さない範囲で頼むぞ」スタージナス
「はい、スタージナス様にだっこしてもらえば大丈夫です」ゴブータ
「馬鹿者いつまでも孫孫してはならん、其方はもう淑女だぞ」スタージナス
「魔物にしてみたら突然消えたロジアン民を「裏切り」と捉えているが
ロジアン民にしてみれば魔物と共存してきたのに突然襲われ南極に送られ
食料とされる所だった。救出されたロジアン国民が帰国を拒否したのも当然」
スタージナス
今日は新農地の視察
「おおおっ何という広さ、しかも快適な空調、完璧じゃ!」スタージナス
今まで見た事も無い大平原すべてが区画整備された驚愕の大農園
「全てスタージナス様のお陰です、さあさあ今日は試験収穫された野菜を
お召し上がってください」うら若き女性ゴブリン村村長
「なんと、この新鮮さ!肉も極上品じゃな!」スタージナス
「そしてはち切れんばかりの村長の若さと美貌!」ほめ上手のスタージナス
「あらやだ、最後は余計ですわ」顔真っ赤の村長
「肉はジパン様のはからいでジパン国から正式輸入した「ワギュウ」です」村長
「これからはこの地でも生産するのだな?」スタージナス
「は、EUから格安で飼料を輸入出来るのでコスト的に大変有利です」村長
「結界の外はマイナス30度の極寒とは想像もできませんね」ジパン
「しかも摩擦による発電も行ってるので電力供給も自給自足じゃよ」スタージナス
「ダニア様の開発した縮小リチウムイオン蓄電池のお陰で電力も安定してます」村長
「うむ、蓄電出来るのは大きいな」スタージナス
「こちらのコロニーでは消費しきれないのでEUに電力を輸出出来てます。
お陰で財政がたてなおせました。」村長
「結界魔法で消費した後の聖水の回収もしておるだろうな」スタージナス
「は、聖水としては使えませんが通常の飲料水、農業用水として重宝してます」村長
「うむ、何一つとして無駄がない様にな」得意満面のドヤ顔スタージナス
こそっと村長に耳打ちするスタージナス
「で?不穏分子はいないか?」スタージナス
「は、当初は不平不満を訴える若者もいましたがこの環境です。次第に喜びに
変わってます。しかもUSAの大統領はゴブリン、こんな心強い事はありません
ゴブータ様は我々の守護神です」村長
「あら、私がなんですって」ひょこっと顔をだすゴブータ
「おおおおおおおお」泡吹いて倒れる村長
「そなたはお忍びだろうて、村長驚いて失神してしまったぞ責任とれよ」スタージナス
「あらあら」ゴブータ
平伏する村民達
「ゴブータ様我々のために為政いただき本当にありがとうごぜえます」村民
「いえいえ、ほとんどの政策はスタージナス様の発案私ではありません」ゴブータ
「へへーー、なんと奥ゆかしい女神様・・・」数人の村民失神する
「これこれゴブータ、オーラは止めなさい!村民が倒れるわい」スタージナス
「あらあら、ごめんなさいついうっかり」ゴブータ、オーラを消してくれた
その時
けたたましい警報が鳴り響く
「警戒、警戒、結界外からの攻撃発生、スライム砲にて結界を破壊する目的かと」
自動警戒システムが発動しスライムが張り付いた結界に聖水散水銃が放水を始める
「ガガガガガ」あっという間にスライムは溶けてしまった。
「監視所からの報告です敵魔物が城郭を取り囲んで突破を狙ってるようです
その数2~3万」
「なんと無益な・・・」スタージナス
「ここは私に任せて下さい」ゴブータ
すでに周囲には味方護衛魔物兵10万が反撃体勢万全で号令をまっている
まともに戦闘になったら装備や訓練の違いにより2~3万の暴徒など瞬殺だろう
ゴブータもゴーストを使える、まず使者としてゴーストが門外にでて説得する
「いますぐ降伏すれば命は保障し、食料やその他を援助します、武器を捨てなさい」
「もう、我らは我慢出来ない、どうせ死ぬのだ。だったら戦って死ぬ!」
「貴方達は洗脳されていてその命令に束縛されてるだけです冷静になりなさい」
「もう、遅いどうせ明日には全員凍死、だったらここで死ぬ。さあ首をとれ」
容赦ない外の猛吹雪はすでに多数の魔物達を吹き飛ばしてる
「お願いです、一度だけでいいので話を聞いて下さい。貴方達は助かります」
「どうやって助かるのだ。こうしている内にもドンドン同胞が死んでる」
ゴゴゴゴゴ・・・なんと交渉中なのに門が開いた!
「ば、馬鹿なゴブータ様ご乱心ですか?」ジパン
「いえ、いまこのとき問答してる時間はありません。まずは命を助けるのです」
「うわーー」殺到する暴徒
しかし待ち構える衛兵10万。どうみても虐殺間違いなしだろう
「生き地獄から解放してくれ、首をはねてくれ」多くの暴徒は座り込み
念仏を唱えはじめる。覚悟の上なのだ、女子供お年寄りも大勢居る
吹雪だというのに薄着でボロボロ
全員が城内に入ったので閉門する「ギギギギ」
「さあ、皆さんとりあえず食事をとってください。いきなり食べるのは危険ですから
ゆっくりとかみしめて下さい。暖かいスープから飲みましょう」ゴブータ
「な、なんと・・我々を助けてくれるのか?」
「皆様は今日からここの住人です一緒に働きましょう」ゴブータ
暴徒どころか衛兵、村民みながその場に平伏してゴブータを崇める
「波阿弥陀仏、なんまいだ・・・」拝んでるのだ
「っとなんでしょうこれは?」ゴブータ
「ゴブータよ、其方やり過ぎだ、全身のオーラ自分できがつかんのか」スタージナス
「あれー、いつのまに、オホホホホ(^^)」ゴブータ
「其方の魔法で暴徒どころか全ての魔物を洗脳していまいおって」スタージナス
「ゴブータ様あ、是非わたしと結婚してください」ジパン
「馬鹿者!目をさまさんか!其方はすでに既婚者じゃ!」スタージナス
つまりスタージナス以外全員がゴブータに洗脳されてしまった。
いやスタージナスも洗脳されてるのかもしれない。
ボロボロ泣きじゃくる責任者と思われるゴブリンに話しかけるゴブータ
「さあ、いきさつを話してください」ゴブータ
「はい、我々は他のゴブリン達と生い立ちが違いどうしてもゴブータ様の
説得に応じる事ができませんでした。」
「はい、それはすでに我々も了解していました。」ゴブータ
「食料もつき仲間も1/5にまで減り自暴自棄になりました
そしてこの猛吹雪・・・死を望む者達で蜂起した次第です
生き地獄で餓死、凍死するより名誉の戦死をしようとです」
「しかし、もう争いは止めましょう。どうか我々と一緒に生活してください」
「しかし、刃を向けた我々を信じてくれるのですか?」
「はい、いままでもそうやって説得してきました。必ず協力頂けると信じてます」
「ううううう、どうかよろしくお願いします。我の首一つで許して頂けますか?」
「とんでもありません貴方がいなければこの者達どうやって統率するのですか?」
「しかし、暴徒の指導者は処刑が常識です」
「そんな常識は私にはありません。有能な者を失うのは大損失です」ゴブータ
「貴方の名前を聞いておきましょう」ゴブータ
「は、我が名は・・・残念ながら名前をもちませぬ」
自然、ダクーミ式を問わず通常、魔物は名を持たない
「では其方は今からゴブーシャを名乗りなさい」ゴブータ
「ははっ喜んで」平伏するゴブーシャ
「それでは今から移民登録を行い住居を決め衣服を配布します案内頼みます」
「へへーっと護衛隊長が皆を案内する」
「どうなることかと思ったがゴブータが居てくれて本当によかったわい」スタージナス
「いえ、この場に私が居なくても絶対にスタージナス様ならば御慈悲を与えたはず」
「それは買いかぶりというもの。全員の首をはねていたはずじゃ」スタージナス
「ホホホホ、お戯れを・・飢えて凍える女子供の首をはねるスタージナス様など
絶対に存在しません。」ゴブータ
「その、まあ、それはそうだが・・・」スタージナス
「だから大好きなんですぅ~」抱きつくジパン
「こっこれ其方は男だろ抱きつくと成敗するぞ」マジぎれスタージナス
「ウラアールも苦労するなぁ」スタージナス
「いえいえ、私は子煩悩にておしどり夫婦、それとこれとは別ですから」ジパン
「全くそなたの理論は理解不能じゃ」スタージナス
「大変ですゴブータ様がぁ倒れました」護衛兵が叫ぶ
「大丈夫じゃ魔力を使い果たしただけ2~3日安静にすれば直る」スタージナス
「しかし、命を狙う暴徒にここまで尽力するとは・・・けなげすぎる」目頭を熱くする
スタージナス
なんにしても人手不足




