メルト視点
「俺たち、いらなかったんじゃねえのか……?」
「油断しないで下さい! 来ます!」
「おおっ!」
ライルが敵陣のど真ん中で百人力の活躍を見せる中、村の入口に残ったメルトと男たちのところへもオークたちが攻め込んできていた。
「倒そうとする必要はありません! とにかく死なないように! そして、一匹も村の中に入れさせないように……!」
「んなこと! てめえに言われねえでもわかってんだよっ! おらぁっ!」
アヴェルの【投擲】スキルはレベル5。
ただの村人としてはかなりのものだ。現にオークに対して拳ほどの大きさの石を命中させて脳震盪を起こさせていた。
固まって動いていたオークたちは前を走るオークが倒れたことでバランスを崩し、メルトたちの前に滑り込むように倒れたまま飛び込んでくる。
「いまだ! やっちまえ!」
倒れたオークたちへ村の男達が農具を振り下ろす。
折り重なるように身動きの取れないオークたち相手だ。しばらくするとオークたちは動かぬ屍となっていた。
「ライルさんの活躍で士気が上がっていますね……見立てでは百体……オークキングに接触するまでに倒せれば……」
メルトは【鑑定】スキルをオークキングとライルに常に向け続けている。
オークキングのスキルは【極上級】スキルである【超怪力】をはじめ、並の人間ではどれだけ束になろうと勝てないだけの物が揃っている。
一方でライルもほとんどチートと言っていいほどにスキルが充実している。
ただし、オークとして生まれ、オークとして育ち、オークの王としての動きを義務付けられたオークキングの純粋かつ暴力的な戦闘スキルと比較して、ライルのスキル構成はあまりにちぐはぐである。
いまもオークたちを一体倒すごとにいるのかいらないのかわからないスキルを自分の物にしていっている。
「有効なステータスアップ系スキルを取りつつ、オークキングの防御を突き破る攻撃力を……」
メルトは祈るようにライルの攻撃を見つめ続けていた。
「と、いくら何でも無い物ねだりが過ぎますね……【ネクロマンス】が強すぎて忘れていますが、すでにものにしているライルさん自身のスキルも十分使えるものですし……」
【鑑定】でライルのスキル構成を見つめながら、打開策を練り続ける。
だが今回に限っては彼女の分析よりも、戦場をかけていたライルの直感が勝ったようだった。
「あれは……!」
メルトが目を見開いてライルの戦いを見つめた。
大変申し訳ないんですがこのエピソードで一度たたむ可能性濃厚です
更新が少し不安定になりそうなのと他の連載とごちゃつくのを避けるためです
区切り着くまでお付き合いくださいー




