メルト
というわけで正式にメルトとパーティーになった。
「よろしくお願いします」
「よろしく……で、なんで声かけてくれたんだ?」
「ライルさんが強いから、ですよ?」
そうは言うがそれだけならわざわざ俺に声をかける理由がわからない。
BランクならうまくやればAランクまでパーティーを組めるはずだし、俺にそれだけの力があるとは正直思えない。
疑いの眼差しを感じ取ったメルトが観念したようにこぼした。
「やっぱりそれだけじゃダメですよね……」
「まあ、なぁ……」
少なくともこれから背中を預け合う、みたいな話にはならないだろう。
今回の依頼を受けるためだけのインスタントパーティーなら話は別だが。
「わかりました。姿を明かします」
そう言ってフードに手をかけるメルト。
「どうか、この姿を見ても最後まで話を聞いてくださいね?」
メルトがフードをふわっと外して、その素顔が露わになった。
「なっ……」
フードを外したメルトの顔は──
「私、兄に似てるとよく言われるんです……」
俺から全てを奪ったあの男……勇者ヴィルトの面影を色濃く受け継いだものだった。
「私がライルさんに声をかけた理由をお話しします」
ヴィルトの記憶が蘇る。
俺から全てを奪った男。
今俺がこうして冒険者をしているのは、全てあの男への復讐を果たすためであるといえる。あいつさえいなければ、俺はベクトを、あいつらを失うことなどなかった。
シールはいずれ離れ離れになったかもしれない。それでも、たまに帰ってきたシールをベクトと一緒に出迎える、そんな未来があっただろう。その未来を、たった一日、たった一瞬目を離した隙にすべて奪ったのがヴィルトだ。
そして、その身内が目の前にいる。
「お前のせいで……」
怒りで景色が揺らぐような錯覚に襲われる。
あんなことをした勇者という名の最悪の相手の妹だ。
言いたいことは山ほどある。
目の前の存在にこの怒りをぶつけたい。
「……っ」
衝動に任せて殺してしまいたいほどに、俺の中の負の感情は大きくなっていた。
そしてそうなっても、目の前の少女はそれを受け入れる気でいることもわかった。
ギュッと目をつむって身体を固まらせるメルト。
その姿を見て、気づいてしまったのだ。
メルトの身体が震えていることに。
「話を、聞こう」
一旦、衝動に任せて攻撃するようなことはやめようと思う。
「あ、ありがとうございます……」
俺の怒りをどうするべきか考えるのは、話を聞いてからでも遅くはないだろう。
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