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Bランク

 顔はフードで隠れていてよく見えないが金髪のきれいな髪が見え隠れしている。

 全体像は身体ごとすっぽりローブに収まっているが、その風貌から魔術師系のなにかであることはわかった。


「おやおや……確かにパーティーを組めばいいとは言いましたが……力もないお二人ということであれば──」


 ビヨンドが言い終わる前に少女がスッとビヨンドへ向けて一枚のカードを差し出した。

 そのカードは銀色の輝きを……銀!?


「Bランク冒険者様!? 失礼いたしました!」

「それで、どうでしょうか?」


 俺の正面に立ってフード姿のまま声をかけてくる少女。

 今度は正面からこちらを覗き込んできていたのでなんとなくだか顔がわかるようになった。


 大きな瞳に長いまつげ、整った顔立ちには気品すらある。

 なんで顔を隠しているのかわからないな……。どこかの貴族の家出娘という可能性とかも考えたがすでにBランクということならもう隠せないだろうし……。


 と、今はそれよりどうするか、だが……この状況を打開できるなら受けよう。

 Bランクの冒険者から声をかけてきてくれるなんてことがもう今後あるとは思えない。

 最善の手だろう。


「よろしく頼む」

「良かったです」


 ニコッと笑う少女の表情はどこかホッとしたようなものになっていた。


「ですが……いいのですか? ライル殿はEランクの、しかもテイマーですぞ?」

「私からお願いしたのです。他に理由が必要ですか?」

「それは……」

「おいおい。じゃあ俺にしとけよ嬢ちゃん」


 どこからともなくまたダッドが現れた。


「おお! それはいい! もしもパーティーが必要だという話なら──」

「結構です」

「な……」


 取り付く島もない。


「パーティーの申請を。私とライルさんで」

「おいてめえ……」


 ダッドに睨まれるが俺を睨まれても困る……。

 言うならこの……。


「あ、紹介が遅れました。メルトといいます。よろしくおねがいしますね? ライルさん」

「ああ……」


 未だフードをかぶり全貌が見えない少女だが、名前だけは教えてくれた。


「無視してんじゃねえぞ!」


 今にも掴みかかりそうなダッド。

 いや勢いづくのは良いんだが俺に掴みかかろうとしないで欲しい……。やるならメルトに……いやまあBランクに自分から手を出す人間はいないか……。


 戦闘能力の基準でCランク冒険者10人分、つまり武装した兵力100を相手に互角以上に戦えるのがBランク。

 人外の入り口ともいわれ、プロの中の一握りの天才がたどり着けるのがこのBランクというラインだった。

 俺がこの基準に達したかもしれないと思える根拠は、ベクトたちの力を87体分吸収していることが大きい。それに加えてゴブリン百体。単純にベクトだけでもSランク水準なわけだからな……。俺がすごいと言うより、テイマーの頃に育てていたあいつらがすごいおかげだった。

 ただそうは言っても関係ない俺に絡まないで欲しい……。


「ダッドさん、でしたね?」

「お、おう……なんだ。ようやく俺に──」

「貴方を選ばない理由は、貴方が弱いからです」

「は?」

「ライルさんと百回戦えば百回負けます。その実力差も見抜けない貴方と、パーティーを組むことはありえません」

「え?」


 ダッドだけじゃなく俺も混乱する。

 いや確かにダッドよりは強くなったという気持ちはあるが、メルトの口からそんな言葉が飛び出すとは、という意味で。

 そして当然、この一言はダッドの怒りを買うのに十分すぎる言葉だった。

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今日は三回更新をよていしています

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