はじまり
「グギャ……」
──ネクロマンスによりゴブリンのステータスを反映しました
──スキル【投擲】が強化され、Lv35になりました
「ここらにいたゴブリンはこれで全部か……」
ステータスはこの声が響いたときにしか確認できないものの、順調に強くなっているのが実感できていた。
なんと言っても魔物を倒すたびにステータスの向上と相手の【スキル】がこうして手に入るんだ。
毎日が成長の連続だ。
「よし……」
あれからすぐに冒険者として活動することになった俺は、拠点はそのままに職業だけをペットショップ店員から冒険者へと変えて暮らしていた。
あの日の出来事はそう簡単に忘れることなどできないだろう。
いまでも鮮明に、脳裏にはあの光景が思い浮かぶ。
殺された相棒、そしてそれを殺した勇者、ヴィルトたちの姿が……。
◇
「おはようベクト」
「きゅー!」
起きて直ぐに目が合うのはドラゴンの幼体、ベクト。
売り物ではなく、名前をつけて可愛がるペットだった。
「さて、朝の世話を始めようか」
「きゅっきゅー!」
可愛く鳴いたベクトを撫でながら階段を降りる。
一階は店舗スペース。
所狭しと並ぶケージにはそれぞれうちの商品が並んでいる。
手紙や小型の荷物を届けるように訓練された鳥系の魔物。
馬車や竜車のように人を運ぶための中型の魔物の幼体。
それだけでなく、愛玩の目的で用意している小型の魔物まで。
取り揃え百匹近くのペットショップを経営している。多分、ペットショップなんてのをやっているのはこの辺りでは俺くらいだ。
そのおかげもあってか、割と物珍しさに見に来てもらえる機会は増えていた。
ただまぁ、やはりそんなに稼ぎに余裕があるわけではないんだけどな……。
「よし。今日も元気だな」
一匹一匹の健康状況を確認しながら掃除をしたり水を変えてやったり、毎日餌が必要な奴らは餌をいれてやる。
この時間はほとんどの生き物が餌のためにこちらに寄ってくるので可愛い。
「ベクトもこれ、食べるだろ?」
「きゅっ! きゅっ!」
「ちゃんとあげるから暴れるなって」
和やかな時間だった。
こうなるまでの経緯を振り返ると笑えるくらい、和やかな時間だった。
よろしくお願いします。
一話はちょっと短くなりましたが文字数調整しながら頑張ります。