逃げ場はない
あ、ありのまま今起こった事を話すっす。
「前話、自分は成人したと思ったらステータス表示が14歳のままだった」
な、何を言ってるのか分からねーと思いますが、自分もなにがおこってるのか分からなか(ry
誤字というか見落としにしても我ながら酷い…
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慌ただしく人々が走る音、避難を促す警鐘の音、パニックに陥っている人々の声。
部屋の外から様々な音が大音量で耳に入ってきた。
…外出たくないなぁ。絶対これヤバい事起こってる奴じゃん。
「指示に従って避難してください! 荷物は最低限必要な物だけ纏めて、早急に街の東側から脱出を!」
「間違っても西側の出口には近づかないで! 魔獣洞窟が近くにあるので危険です!」
何が起きてんだ?
魔獣洞窟の方に近付くなってことは、まさかまたスタンピードでも起こりそうになってるのか?
いやでもここんとこ毎日魔獣洞窟に入ってるけど、前兆の魔物が出た所なんか見てないぞ。
「ヒカル! 起きて!」
「カジカワさん!」
外からアルマとレイナの声が聞こえてきた。
部屋の外に出ると、大慌てで避難を急ぐ他の宿泊客たちを背景に二人が困惑した表情で立っていた。
「おはよう。この騒ぎはなんだ?」
「分からない。ただ、魔獣洞窟の封印が解かれそうになってるとか言ってた」
「あの洞窟、なんかあるんすかね?」
「魔獣洞窟の、封印?」
エーナニソレナンノコトダローナー。
………うん、心当たりあるわ。あの最深部のヤベー気配のことじゃね?
魔力も生命力も桁違いなのが離れた場所からでも分かる、そんな存在感バリバリのナニカが居るのは分かってるんだが、あれが外に出ようとしてるのか?
…アルマパパとアルマママならなんとかできるかもしれんが、俺らじゃ絶対対処不可能だろあれ。多分ステータスの能力値にして軽く4ケタ超えてると思う。
「よし、逃げよう」
「決断速いっすね。なんか心当たりでも?」
「封印が解けそうっていうのは、多分洞窟の奥にいるやばい気配のことだと思う。あれが外に出たら多分どうしようもない」
「洞窟の、奥?」
「か、カジカワさんでも無理なんすか?」
「無理。そもそも俺はまだDランクの駆け出しだっての。あれをどうこうしようと思うならAランクとかSランクの人じゃないと太刀打ちできないと思うぞ」
「そんなヤバいのがあの洞窟の奥に居たんすか!? 自分初耳なんすけど!」
「普段動かないでジッとしてるし、言う必要ないかなーって」
「ありまくるっすよ!」
「二人とも、ひとまずそれくらいにして避難するなら早くしよう」
アルマに促され、ひとまず宿の外に避難することに。
宿の外も避難をしようとする人、避難を促す人、慌ててぶつかり合ったりする人なんかで大騒ぎだ。
「おい! そっちは西側だぞ! 逃げるなら東側だって言ってるだろ!」
「それが、東側の出口から出ようとしても無理なんだよ!」
「はぁ!? 何言ってんだ!?」
「出口が透明な壁みたいな何かで塞がれてるんだ! 多分ありゃ結界かなんかだと思う!」
「だ、誰がそんなもん仕掛けやがったんだ! 悪戯にしちゃ度が過ぎてるぞ!」
「おーい! 西側の出口も駄目だ! というか、街の出口全部塞がれてやがる! どうなってんだ!!」
なーんか嫌な会話が聞こえてきた。
街の出口が塞がれてるって、どう考えても偶然じゃないよな。
もしかして、魔獣洞窟の封印は誰かが人為的に解こうとしてるのか? で、それと同時に結界を張って、街の住人の逃げ道を塞いでいる、と。
誰もこの街から出られずに、魔獣洞窟に眠るナニカに蹂躙されるのをその誰かは望んでいるようだ。勘弁してくれ。
「ま、街の出口が塞がれてるって言ってるっす…!」
「いったい、誰がそんなこと…」
「封印を解こうとしてる奴の犯行だろうな。……上はどうかな?」
変装用の幻惑の仮面を被り、魔力飛行で上空へ移動。
そしてそのまま街の外に出ようとしたが、ダメだ、街の上まで見えない壁が張ってやがる。
入念だな、クソッタレ。…どうしようかこれ。
アルマとレイナのもとに戻り、上空も塞がれていることを告げた。
「上も駄目なんすか…」
「地の精霊たちが言うには、地面の下も駄目だって」
〈なんかかたいかべがある。うすいのにすっげぇがんじょうだ。こわすのもすりぬけるのもむりっぽい〉
〈これあれじゃね? 『きんきまほう』ってやつ〉
〈まちひとつおおうほどのけっかいつくるとかあほだろ。たぶん、つくったあとじゅつしゃしんでるんじゃねーかこれ〉
きんきまほう? 近畿、いや『禁忌魔法』か?…自分で思っといてなんだけど近畿魔法ってなんだよ。意味分からん。
≪【禁忌魔法】一定以上のINTを持つ者のみに習得できる古代魔法のことを指す。通常の攻撃魔法スキル等に比べて威力が高すぎるものや、寿命や命そのものなど代償が重すぎる魔法が多く、使うことを忌避されいつしか禁忌魔法と呼ばれるようになった。近畿地方は関係皆無≫
…最後の一文いる?俺の残念な思考の影響か段々メニューさんも変なこと言うようになってきた気がする。いやそれは置いといて。
この結界の強度はどんなもんかね?
≪【サクリファイス・プロテクト】攻撃力1000以下相当の攻撃を全て無効化できる古代結界魔法。現状、破壊は困難≫
困難?難しいけど無理じゃないって事か?
≪梶川光流が全MPを消費し、例の火力特化の新技を使用すればわずかに結界を削ることが可能。ただし、意味はほとんど無いので非推奨≫
駄目じゃん。てかあれを全MP消費して使ったら結界よりこっちの身体の方が粉々になりそうなんですが。
脱出は無理。結界を壊すのも無理。このままだと魔獣洞窟から出てくるなにかに街が襲われる可能性が高い。そしてそいつの能力値は多分4ケタ超えてるから結界を破って侵入してくるだろう。そうなれば生き残れる可能性は低い。
…どーすっかなー。
「か、カジカワさん、どうしたら、いいっすか?」
「…ヒカル…」
不安そうな顔でこちらを見てくる二人。どうしたらいいんだろうね。
なんか期待されてるっぽいけど、この状況なんとかしろとか言われてもどうしようもないんですが。
「…どうしようか」
「どうしよーかー飛行士くーん」
!?
「やっと見つけたよ。さっき飛んでるのを見ていなかったらもっと時間がかかってただろうねー」
「ろrゲホンッ…ギルドマスター!」
「おい君今何を言いかけたんだい?」
いつの間に後ろにいたのか、ロリマスことヴィンフィートのギルドマスター、イヴランミィさんが声をかけてきた。
「まあいいや、今は時間が惜しい。追及するのはまた今度だ。それより一緒に来てくれ、君に重要な仕事を頼みたいんだ」
嫌な予感。
なんでギルドマスターって人は俺に重要な仕事を押し付けたがるのか。
…魔力飛行なんか編み出すんじゃなかったってこういう時に思うよ。
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