表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

57/584

ヴィンフィートでの活動初日

新規の評価、ブックマークありがとうございます。

これら一つ一つが筆者の励みになっております。誠に感謝。

 はい、おはようございます。

 新たな街、ヴィンフィートに着いて初めての朝、起きたら知らない天井でちょっと混乱した。知らない天井だ、とか言えるようになる気がしないなこりゃ。

 キッチンに行くと他のお客が朝食を作って食べている姿がちらほら見える。やっぱ人が多い街だと賑やかだな。

 朝食を作って食べてる間にもやっぱ視線を感じる気がする。なに? なんなの? こんなオッサン予備軍が一回り近く年下の女の子と飯食ってるのがそんなに気になるの?…俺ってはたから見てるとどんな風に見えてるんだろうか。不審者か、ヒモか。…どっちにしろロクなもんじゃないな。


 朝食をとって食休みした後、街の様子を見ながら散歩することに。

 どこもかしこも人と物に溢れていて、朝っぱらから随分と賑やかだな。さすが首都に匹敵する規模の街だ。

 ダイジェルも決して寂れた街じゃないが、この街と比べるとどうしても見劣りしてしまうな。あれはあれで静かで落ち着くが。


 商業都市と言うだけあって、店で売っている物の品揃えも豊富だな。

 香辛料なんかを売っている店もあって、なんとカレー粉まで売っていた。スパイスの配合、もしかして過去の勇者が伝えたのかね。

 即行で買おうと思ったが、一缶200gでなんと10000エン。…ちょっと現状じゃ手が出ないな。もう少しお金に余裕ができたら買うとしよう。いつか、必ず。

 代わりと言っちゃなんだがコーヒー豆とカカオ豆に近いモノが売ってたので購入。…カレー粉の1割弱程度の値段で買えてしまった。金銭感覚が段々麻痺してきてる気がする。

 チョコレートやコーヒーが作れるようになるのは本当にありがたい。アルマも喜んでくれるかな。


 市場を見てみると、ダイジェルじゃ滅多に見かけなかった新鮮な生の魚が売られているのが見えた。

 なんでも港町が近いから鮮度の高い魚を比較的楽に供給できるかららしい。おお、生簀もあるな。

 ダイジェルじゃ干物か調理済みの物しか手に入らなかったし、食生活が豊かになるのはいいね。今夜の晩御飯は久々に魚料理にしてみるか。


 そこらの屋台なんかでも鳥の串焼きやお菓子、見た事もない果物の盛り合わせなんかを売ってるな。

 食べ歩きしてみたいが、朝食食べた直後だしまたの機会にしておこう。


 …なんか食い物ばっか見てる気がする。やっぱ俺の根底にあるのは食い気なのかね。

 まぁ、アルマも花より団子と言いたげに、女性もののアクセサリなんかより食べ物関係の方に興味がいってるみたいだけど。

 年頃の娘がそれでいいのか。俺が言うのもなんだけど。


 装備屋や素材屋はまた今度。

 ジェットボアの素材を使った防具が手に入ったばかりだし、しばらくは現状維持でよさそうだ。


 で、最後に冒険者ギルドに到着。ここもダイジェルの倍くらいの大きさだ。冒険者の数も街の大きさに比例するみたいだな。

 入り口はダイジェル同様ウエスタンドアだ。なんかそういう決まりでもあんのかね。

 中に入ると、ダイジェルのギルドをそのまま広くしたようなレイアウトだった。まぁ同じギルドだし当たり前か。


 ざっと一通り様子を見た後、受付に挨拶がてら依頼の受注を申し込む。

 この街の近くの洞窟内に魔獣のテリトリーがあるらしく、ダンジョンの代わりにそっちの方でレベリングする予定だ。

 ダンジョンと違って討伐報酬も出るし、宿代くらいは楽に稼げるだろう。

 受付には赤髪ロングでちょっと目つきがキツめの20歳くらいのお姉さんがいた。ネイアさんとは大分違った雰囲気の人だな。



「すみません、この街の近くの洞窟内のテリトリーにいる魔獣討伐の依頼を受けたいのですが」


「いらっしゃいませ。早速ですがランクの確認をしても?」


「はい、二人ともEランクです。ギルドカードの確認をどうぞ」


「…Eランクの方にしては討伐履歴に表示されている魔獣がやけに強いものばかりですね。これならおそらく大丈夫でしょうが、油断なさらぬよう。では依頼用のカードをどうぞ」


「どうも。因みにこの洞窟の魔獣のレベルはどれくらいのものでしょうか」


「大体、Lv10を超えており、たまにLv20以上の魔獣も見かけるようです。洞窟内は少し視界が悪いのでご注意ください」


「分かりました、ありがとうございます」



 パッと見た感じちょっとキツめの美人って感じだが、話してみた印象は普通に丁寧な対応をしてくれる親切な人だった。

 今後しばらくお世話になるだろうし、コミュニケーションは丁寧にしておこう。




 で、ギルドから出て件の洞窟の前に到着。

『この先危険区域・魔獣洞窟ルカナニア 許可がない者は近寄らないこと』

 と看板が立てられている。ここで間違いなさそうだな。

 なにも初日から魔獣のテリトリーに入らなくても、と思ったりもしたがこちらの事情なんか関係なしに魔王やその配下は攻めてくるだろうし、レベリングは早めにやっておくに越したことはない。

 それに宿代が日に二人で4000エンかかるということは、月に120000エンも払う必要がある。

 暢気にしてるとすぐ資金が尽きるだろうし、気合入れて魔獣を狩って討伐報酬を稼がないと。



「やっぱ薄暗いな。光る鉱石がそこらに露出してるから真っ暗と言うわけじゃないけど、ダンジョンほど明るくないし気を付けて進もう」


「うん。それに屋外と違って狭い所もあるし、魔獣と戦う時は武器を振る時に壁に当たらないように注意が必要」


「だな。…魔獣が生息してるのはもう少し奥か」



 魔力を頭の中に集中すると周囲の魔力を感じとることができる。

 魔力探知を試してみたが、どうも魔力を含んだ鉱石なんかが豊富にあるらしく魔獣との見分けがつかない。

 そこで今度は魔力の代わりに普段身に纏っている生命力を集中してみると、周りの生命力を探知できるようになった。…結構似たような運用ができるんだな。

 生命探知をすると様々な魔獣の反応を感じとれる。

 宙を飛んだり天井にぶら下がったりしてるのはコウモリ型の魔獣かな? 血を吸われたりして変な病気もらったりしないだろうか。やだなぁ。

 地べたを這いずってるようなのもいる…まさかナメクジか? うえぇ…気持ち悪ぅ。

 あとやたら強い反応がいくつかあるな。四足獣のようだが洞窟の中の四足獣ってことは熊とかオオカミとかかな? 怖いなー。

 極めつけは最深部と思しき場所に魔力も生命力も桁違いにでかいナニかが鎮座しておられますね。どうあがいても勝てそうにないやつだこれ。ドラゴンかなんかか?


 なにこの洞窟。討伐っていう目的が無かったら絶対近寄りたくないんですけど。



「…今日は様子見程度に魔獣を狩って早めに帰るとしよう。この洞窟結構ヤバそうだ」


「そう?」


「ああ、色んな意味でグルオーズより危険っぽい。コウモリとかナメクジみたいな反応が感じ取れた」


「…それは、確かに危険そう」



 顔を少し引きつらせて、警戒心をより強めた様子のアルマ。まあ気持ち悪いよね。



 洞窟を進んでいくと、所々に魔力が籠った鉱石が露出している。

 少しぼんやり黄色に光っているように見えるがこれが魔石ってやつか?



≪地属性の魔石。Cランク程度の品質で、このランクの場合下級の魔具等に用いられるのが一般的≫



 Cランク? 魔石にもランクがあるのか。それってどれくらいの価値があるの?



≪Cランクの魔石は拳大で500エン前後程度の価値≫



 ふむ、悪くはないがちと嵩張りそうだな。まあアイテム画面が使えれば問題ないけど。

 いくつか持って帰っておくか。



≪因みにランクが一つ上がるごとに値段がはね上がる。Sランクの魔石ならばビー玉程度の大きさでも1000万エン以上の価値あり≫



 桁違い過ぎてどんだけすごいのかすらよく分かりませんねそれ。

 魔獣討伐のかたわら魔石採集もやっておけばいい金策になりそうだな。じゃんじゃん掘るぞー。

お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 9/5から、BKブックス様より書籍化!  あれ、画像なんかちっちゃくね? スキル? ねぇよそんなもん! ~不遇者たちの才能開花~
― 新着の感想 ―
[良い点] 新しい街へ移動してから主人公がアルマの為に美味しい食材を見つけ、何を食べさせて喜ばせたいと思ってる場面がとても素敵です 本当に彼女の事が大好きなんだなぁ〜てわかりますからね 互いに思い…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ