傲慢なる輩
遅くなってすみません(;´Д`)
なんか推理モノ(?)のコメディ短編書いててそっちに手を取られてましたorz
タイトルは『だから犯人は俺だっつってんだろ!!』
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ご興味がありましたら是非どうぞ(ダイマ
暗殺者ギルドの連中、それも一番強く一番厄介そうなギルマスが俺たちを包囲している。
暗殺対象を見逃すようなことはご法度だろうし、そりゃ止めようとするわな。
一応大丈夫だろうけど、万が一に備えてファストトラベルでジュリアンとイヴァラードを安全な場所へ転移させておこう。
「ッ! 消えた……?」
「……例の『ファストトラベル』とかいう勇者の権能ですか、随分と用心深いことで。あなたなら我々相手でも後れを取ることはないでしょうに」
「殺しのプロ相手に油断なんかできるか」
能力値はこちらが圧倒的に上だし、仮に今から争いになっても百パー俺たちが勝つだろう。
だが人を殺すということの技術と覚悟は暗殺者たちのほうが上だ。つーか俺ら人を殺したことないし。
こちらが思いもつかない方法でジュリアンたちを殺しにかかる危険性は無視できない。
だからジュリアンたちには21階層にある俺用の部屋(というか誰もいない部屋を勝手に私室として使ってるだけ)に転移させておいた。
隠れ家として使っている部屋で、あそこなら誰も手出しできないだろう。
部屋の扉に『この部屋から出たら死ぬ。少しの間待っとけ』って警告文を添えておいたし、飢えたり退屈しないように食料や漫画本とか常備してあるから、勝手に外に出たりはしないだろう。多分。
「我々を裏切り、暗殺対象を逃そうとした罪は重い」
「よって――――ごふぁっ!?」
得物を構えながらこちらにジリジリ近付いてくる暗殺者の一人を蹴飛ばした。
なんかブツブツ言ってないでさっさとかかってこいや。
「よって、なんだ? やんのかコラ」
「くっ……!?」
「カジカワさん、ガラ悪すぎるっす。はたから見てると完全に輩の人じゃないっすか」
「やかましい」
一応、如月さんから金バッジもらったりもしたけど俺はヤクザなんかじゃない。
後ろ暗いことなんかあんまりしてないし。あんまり。
……っ!
「おっと!」
「……今のを防ぎますか。いやはや、これほど絶望的な戦いは魔族との戦争以来ですねぇ」
ツッコミを入れてきたレイナへ視線を移した瞬間、ギルマスのキツネ野郎が背後から首元へ短剣を突き出してきやがった。
速い、というよりもまるで意識の隙間を通してきたような、感知しにくい動きだった。
防げたのは単に俺のフィジカルが圧倒的に上だったからってだけ。同じ強さの能力値なら回避も防御もできなかっただろう。
やるな、こいつ。暗殺者ギルド最強は伊達じゃないってか。
「お前ら、自分たちの依頼主が誰で何やってんのか分かってんのか? 仮にあの次期公爵を暗殺しても、なんの解決にもならないことはお前らも分かってるんじゃないのか」
「その口ぶりだと、どうやら調べはついているようですね。いやぁ、やはり恐ろしい情報収集能力だ。是非ウチのギルドに入ってほしかったものですが……」
「お断りだつってんだろ。汚職大臣のイヌになんかなり下がってたまっかい」
「……ふ」
こいつらへ暗殺の依頼をしてきたのは第5大陸の王宮に勤めている、とある大臣だ。
依頼をしてきた理由として、建前は『倫理を著しく侵す死霊術の商業化を目論む者の排除』。
しかし本音は『その技術と利権を密かに奪い取って自分の利益にするため』だ。
第1大陸の上層部も腐りまくってたけど、第5大陸にもガンは居るってこった。
「国からの依頼は絶対であり、そこに意思や道徳は必要ないのですよ。どれだけ人徳に溢れている者であろうとも、狂った歯車を直すためならば殺します。今回はまだ悪党寄りの人物で、気が楽なほうではあるんですよ?」
「それが我ら暗殺者ギルドの掟であり、矜持だ。我らに必要なのは情ではなく、躊躇なく殺す機能のみ」
「でなければ国という大きなカラクリは上手く機能しない。故に、『殺し』という整備が必要なのだ」
まあ、その言い分全部が間違ってるとは言わん。
実際、ヴィンフィートでの暴食スライム事件で街を売って逃げやがったクソ神官とかは死ねばいいと思う。
仲間の弟だからって、暗殺されるはずだった次期公爵の命を見逃すのは筋が通らんだろう。
だが。
「お前らのルールや矜持なんか知るか」
「何……?」
「悪いが、今回の契約は反故にさせてもらう。信用を失くすとか言われようが知ったこっちゃない。俺が他人からどう思われようとどうでもいいし」
「……開き直りですか。案外子供っぽいんですね」
「それに俺は暗殺者ギルドの人間じゃないし、お前らのルールに従う義務はないだろ。それが気に入らないというなら力ずくでねじ伏せればいい」
「要するにものすっごく自己中で、他人のルールなんかガン無視して自分のワガママを通すってことっす。……ウチのリーダーながら普通に最低な理屈なような気もするっすけど」
「それを我らに認めろと? お前に依頼した我らに全ての責任を押し付けて好き放題すると言うのか……!」
「違う違う。アンタらの立場を悪くするしようだなんて思っちゃいない。全部俺の責任ってことにする方法は考えてあるさ」
「? ……どうするつもりだ」
困惑しながら問いかけてくる暗殺者たちに、一つの解決策を提案した。
「この場でお前ら全員ブチのめして、さらに依頼してきた大臣の悪事を全部暴いて公表する」
「はぁ……!?」
「そうすれば、真面目に暗殺をこなそうとしたのに俺の暴走で色々と台無しにされましたって言い訳が利くだろ。『相手がカジカワヒカルでダメでした』ってのは最強の言い訳カードだぞ。グランドマスターも『あ、そりゃダメだわ』って許してくれるさ」
「ふ、ふざけるな!! そんなことがまかり通るわけないだろうが!!」
「プッ、ククッ……!」
「マスター、なにを笑っているのですか!? そもそも元はと言えばあなたがこの男に依頼をしたのが原因でしょう……!」
はい、というわけでこの場で全員ぶっ飛ばすことに決めました。
……調査を依頼した相手が暗殺対象を庇った挙句ギルドに反旗を翻しやがったって、普通に傲慢で最悪な行動だってのは分かってる。
だから恨みつらみは後で全部受け付けたるわい。つーわけでかかってこいやゴラァ!!




