表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

483/584

甚大な被害の予感

 いよいよ新刊の発売が、迫ってまいりました。

挿絵(By みてみん)

 今週末の3/3に発売されます。

 Web版を大幅に改稿しておりまして、展開もかなりことなった部分が多々ありますので、興味を持たれましたら是非。


 あと、キャラグラの最後の一人分をあとがきに載せておきますー。



 しばらく尋問を続けていたが、結局情報は得られなかった。

 ううむ、まさかあの拷問の数々を耐えきるとは。

 さすがに特級職まで鍛え上げているだけあって根性あるな。



「耐えてねぇよ!! もうこちとらとっくに折れて『変な奴から買い取ったこと以外は知らねぇ』っつってんのにテメェが続けてただけだろうが!!」


「お前がこれまで取り立ての時に痛めつけてきた連中も同じような状況だったんじゃないか? ジルドのエンコ詰めたり、今回だってベンスの指切り落とそうとしてただろ」


「あぁ? 金を返さねぇクズやそいつを庇う馬鹿野郎なんざに気遣う必要ねぇだろうが!」


「さいですか」



 実際コイツはよく耐えたと思うよ。

 コンニャク芋かゆみ拷問から臭い拷問、黒板ノイズ拷問にアルマたちからテキトーに材料を選んでもらった気まぐれドリンクを鼻から一気飲みさせる拷問まで耐えきったからな。



「ぶぇっくしょい! くっそ、鼻の奥がくせぇしいてぇ……! あの鼻から流し込んできやがったドロドロしたの、いったいなんだったんだよ!? なんか微妙に美味かったのが逆に怖えんだよ!」


「アレ、美味かったのか……? にしても、ホントにこのナイフの出自を知らんのか?」


「無視すんなよ! ……分からねぇっつってんだろ。売りつけてきた野郎は全身ローブで顔がよく見えなかったし、他に珍しいもんがないか尾行させたらすぐに見失っちまったらしいぜ」


「そうかぁ……ちと厄介なことになってきたかもな」



 借金取りから没収したこのナイフだが、正直言ってヤバすぎる代物だ。

 何がヤバいってこのナイフ、なんと外付けHPを貫通して俺の体を直接切りつけることができる。

 なんとなしに刃の部分を指でツツーってなぞったら、指が落ちて血がブシャーって出た時は本気で焦ったわ。こわ。


 メニューが解析した結果、どうやら刃の部分で切っているわけじゃなく『刃に触れた部分を空間的に断絶する』という効果が付与されているらしい。

 イメージとしては、例のアナライズ・フィルターを手に入れた世界の空間使いが使ってきた空間転移切断攻撃に近い。

 つまり、あらゆる物体を硬度とか頑丈さとか関係なく容易く切断できるっていうことだ。

 ただし、例外としてネオラ君の使ってる刀と俺の大槌の槌頭部分の黒い箱は切断できないらしいが。



 そんな危険物を、わずか金貨数枚でこの借金取りへ売ったヤツがいる。

 そいつの情報は一切不明。分かっているのは、明らかにこの世界の人間ではないこと。

 そして、メニューさんの検索機能やマップ画面にも一切そいつの反応がないということだ。


 情報がないから捕捉もできない。俺の力だけじゃ手詰まりだ。

 ……仕方ない、ロリマスや暗殺ギルマスのジュリアさんあたりにでも探ってもらうとしよう。


 あんまり他人に借りを作りたくはないが、放置しておくとヤバそうな案件だし。

 まだ本格的に関わっているわけじゃないせいか、危機感知というか嫌な予感がイマイチ働いてないのが逆に不気味だ。

 取り越し苦労であれば世話ないんだが、さて。





 借金取りの尋問はとりあえず終わったので、アルマたちが待ってる宿へファストトラベルで帰宅した。

 借金取りは結局放置したまま帰ったけど、まあお仲間が回収してくれるだろうし問題ないだろう。


 さてさて、思ったより長引いちまったし、今日はさっさと夕食食べて休むとしよう。



「ただいまー」


「あ、カジカワさん! 遅いっすよ!」


「済まん、ちょっと興が乗りすぎたというか……ん? どうかしたのか?」



 アルマたちと囚人たちが食堂に集まっているが、一人だけ姿が見えない。

 居ないのはミラームのようだが、まだ個室で休んでるのかな?



「ヒカル、ミラームがまだ宿に戻ってきてないの。メニューを使って探してきてほしい」


「ミラームが? また脱走でもしたのか? 修業も大詰めだし、釈放金くらいならもう充分払えるくらいに稼いだだろうに、まったく……」



 まだ脱走したと決まったわけじゃないが、もしそうだとしたら軽率というか正直言ってアホすぎる。

 ミラームは比較的罪が軽いから、あと数日ほど修業を続けてから保釈金を払えば自由の身になれるだろうに、このタイミングでわざわざ罪を増やしてどうすんだ。


 となれば早く回収しますか。

 帰るのが遅くなったくらいならまだ許すが、もしもホントに脱走してたらグラマスにチクって罪状追加の刑か、あるいは気まぐれドリンクの刑に処してやる。……アレ、どんな味なんだろうな、



 ……って、アレ?

 メニューさん、マップのどこにもミラームの反応が見当たらないんですが。


≪……ミラカラームの情報が、遮断されている模様≫


 遮断……? え、どういうことだ?


≪アナライズ・フィルターに近い情報遮断効果のある装飾品を装備しているか、あるいは情報が遮断される範囲内にいる可能性が高い。マーキング機能すら無効化されているため、捕捉は困難≫


 ! マーキング機能を無効化……?

 おいおい、あらかじめマーキングしておけばアナライズ・フィルター越しでも捕捉できるはずなんだぞ。

 それすら遮断して姿を眩ますなんて、ミラームにそんなことができるのか?


≪推測:ミラカラームの能力ではなく、何らかの外的要因により遮断されている可能性が高い≫


 ……外的要因というと?


≪推測:異世界関係者、あるいは異世界のアイテムを利用している何者かによる、ミラカラームの確保・拉致≫



 ……ここにきて重大なトラブル発生。

 あの借金取りのナイフを調べてから、異世界関係者がなんか暗躍してるっぽいなーとは思っていたが、まさかこうまで早く関わってくるとは。


 だが、考え方によってはチャンスだ。

 異世界の技術を使ってミラームを拉致した奴がいるなら、そいつを手掛かりにその異世界関係者ってやつを捕捉できるかもしれない。



 問題は、ミラームの手掛かりが今のところゼロっていうことなんだけどな。どうしよ。

 ……ミラームに渡した鞭の『毒物生成機能』がいい感じに悪さしてくれれば、あるいは……。

 いやーでもなー。あの鞭、囚人たちに渡した装備の中でもトップクラスの危険物なんだよなー。

 ミラームが見つかったとしても、その周辺の被害がえらいことになりそうなんですが。どうしよ、マジでどうしよう。


 メニューさん、はよそれっぽい反応見つけてくれ。下手したら異世界関係者よりもヤバい被害出しかねんぞ。

 ……なんだかんだで、俺の渡した装備が一番危ない気がしてきた。

 イラスト:生倉のゑる 氏


挿絵(By みてみん)

 顔アップ

挿絵(By みてみん)


①金髪ペタン娘(?)ことネオライフ


 明らかに『主人公』としてデザインされたであろう衣装と、どう見ても美少女な顔立ちのベストマッチ。カジカワとどっちが主人公らしいかと言われると、多分こっちのほうが主人公に見えるでしょうね。

 もう理想以上の出来で、感無量です。最高。

 しかも、このラフ絵はこれでも比較的男らしくボーイッシュに描かれていまして、本編の挿絵ではものすっごくえげつないほどに美人に描かれています。

 生倉氏、ありがとうもう少しこうございます何というかいいそ 手心というか…もっとやれ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 9/5から、BKブックス様より書籍化!  あれ、画像なんかちっちゃくね? スキル? ねぇよそんなもん! ~不遇者たちの才能開花~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ