吐け! 吐くんだ!
二巻の書影が届いたので公開。
真っ先にレイナの|御御足《おみあし⦆に目がいった人は正直に手を挙げましょう。
ノ
あ、今回もあとがきにキャラデザを二人分ほど公開しておりますので是非最後までスクロールして頂けると。
そんなこんなで、借金取りに恐喝されてエンコ詰められそうになっていたベンスおじちゃんを救出することに成功した。
ジルドもベンスおじちゃんと感動の再会を果たしていて、現在―――
「おう、ベンス! テメェとりあえず2~3発殴らせろやコラァッ!!」
「や、や、やめてくれぇ!! 今のお前に殴られたら、絶対死んじまうよぉ!!」
ベンスおじちゃんの胸ぐらを掴んで元気に腕を振りかぶっている真っ最中です。
おいやめろ。おじちゃんも言ってるけど、今のジルドが感情任せに殴ったりなんかしたら冗談抜きで死ぬ。
「百歩譲ってオレの送った金を借金の返済に充てたのは許してやってもいいけどよ! せめてチビどもに少しは残してやっとけっつってんだよ!!」
「しゃ、借金が返しきれずにちょっとでも残ったら、どんな目に遭わされるか分からなかったんだよ! 現に、今だって金が足りなかったから、もう少しで殺されるかもしれなかったんだぞ!?」
「自業自得だろうが! 金が無くてチビたちがどんだけ腹空かしてたかお前もよく知ってんだろうが!」
「あ、あれだけの金を稼げるようになったってことは、またチビたちに仕送りが送れるだろうから、大丈夫かなって……」
「死ね!!」
「あーはいはい、一旦落ち着け」
報復に指の2~3本詰めるくらいなら命に別条がないからいいけど、このままだとマジで殴り殺しかねないので宥めておく。
殴るより指詰めるほうがマシってのも変な話だが。
「どのみち、そのベンスおじちゃんはお前の仕送りを横領して借金返済に充てた罪でブタ箱行きだ。せいぜい重労働しながら罪を償いな」
「う、うぅ……しゃ、借金がまだ全部返し終わってねぇのに、このままじゃまた利子が膨れ上がっちまう……」
「んん? いや、この借金取りどもが持ってた書類によると、ジルドの金を渡した時点でどうやら完済はできてるっぽいぞ?」
「え!? ど、どういうことだよ……!?」
「まあ、なんだ。おじちゃん、アンタ完全に騙されてたっぽいわ」
「く、くっそぉぉ……! さ、さっきまでのは、脅しだったのかよぉぉ……!!」
なんか追跡のための迷惑料がどうとか言ってたみたいだが、それを借金を返済する側が支払う義務はない。膨れ上がった利子はきっちり返してるわけだし。
飲んでたワインもかなり高級なビンテージだったようだが、ちょっとでも話し相手になっていたなら『話に付き合ってくれたら奢る』という条件を満たしているのでその分を支払う必要もない。
現時点でベンスおじちゃんと借金取りの間に、金の貸し借りは一切ないということだ。
つまり、後はジルドの金を横領した罪を償ったうえで金を返せば万事解決。
返済能力があるかどうかはおいといて、ひとまずひっ捕らえてブタ箱に放り込みましょうかね。
「ベンス、今殴ったらぶっ殺しちまいそうだから今日だけは見逃してやる」
「じ、ジルド……」
「ただし、きっちり刑期を勤めて釈放されたその当日にお前の顔を思いっきりぶん殴る。……真面目に魔獣討伐の重労働でもこなしてレベリングしとかねぇと、死ぬぞ?」
「ひ、ヒイィッ……!!」
おお、言うねぇジルド。
死なないように手加減して殴って妥協するんじゃなくて、きっちりぶん殴る宣言いいよー。
こう言っておけばベンスも死ぬ気で鍛えるつもりになるだろうし、レベルが上がれば金も稼ぎやすくなるだろうから、ジルドへの借金の返済もすぐにできるだろう。
そうすれば、ようやくベンスは本当の意味で自由に大手を振って生きていけるようになる。ジルドがそこまで考えてるかは知らんがね。
「ほら、キビキビ歩くっす!」
「逃げる素振りをしたら、ええと……へし折る」
「へ、へし折る!? 何をだよ!?」
「……首?」
「いや、死ぬっすよソレ。せめて腕や足くらいにしといたげてっす……」
「ひ、ヒィイ!? ジルド! なんだこいつら怖すぎるぞ!?」
「死にたくなかったら抵抗すんなよ。冗談抜きで殺されかねねぇぞ。いやいやマジで」
縄で手首を拘束して、ベンスおじちゃんの確保完了。
運んでる最中にアルマとレイナがベンスおじちゃんをちょっと脅してるけど、黒服姿で淡々とへし折るとか言われたらそりゃ怖いわな。
いったいなんの影響であんな物騒なこと言うようになったのやら。不思議だ。
「それじゃあ、ファストトラベルで街中まで送るから、そいつを頼む」
「? ヒカルは行かないの?」
「ああ。ちょっとまだやっときたいことがあるんでな。すぐ戻るから、その間にそいつをブタ箱へ放り込んどいてくれ」
「了解っす」
そう言って、アルマたちをファストトラベルで送り届けて、残ったのは俺と気絶している借金取りの男たちだけになった。
ホントは一緒に帰ってしまいたかったが、手分けして作業しないと時間かかるし。
さてさて、それでは起こしますか。
さあ、蘇るのだ、この電撃でー!
「あ、あばばばばばば!!?」
いまだにのびたままの借金取りの男に、電気に変換した魔力を流し込んで電撃目覚まし。
激痛で目覚めは最悪だろうが、目覚まし効果はピカイチだ。俺は遠慮したいが。
「な、な、何が、起きやがった……?!」
「おはようございます。目ぇ覚めたか?」
「ああ……? って、テメェは、あのガキを連れてきた野郎じゃねぇか……!」
「うんうん、きっちり状況把握できるくらいにはアタマ回ってるみたいだな。元気そうでなによりだ」
「うるせぇ! このクソ野郎が、なにもかも台無しにしやがって!」
あーはいはい。金儲けが上手くいかなかったからって癇癪起こさないの。
こうやって五体満足で生きていられるっていうだけで幸せだと思わんのかね。
「テメェだけは許さねぇ! どれだけ金と時間をかけてでも、必ずケジメはつけさせて―――」
「それより、ちょっと一つ聞きたいことがあるんだけどいいか?」
「聞けよテメェ!! 何ガン無視してやがんだ!!」
「この黒いナイフ、どっから手に入れた?」
「……っ!」
ジルドとの戦闘中に、コイツが取り出した謎の黒いナイフを見せながら問いかけると、キャンキャン喚いていた借金取りが急に静かになった。
いきなり質問されて唖然としているというよりも、このナイフについて聞かれたことに対して口籠っているように見える。
「これ、どう見てもまともなもんじゃないだろ。オリハルコンをゼリーみたいに切り裂くなんて魔道具の限界超えてるぞ」
「……知らねぇな。それよりテメェ、立場分かってんのか? オレが一声かけりゃ、千を超える腕利きが首を狙いに来るんだぞ」
「千でも万でも億でもいいわ。話題逸らしてんじゃねぇ、さっさと吐け」
「はははっ! 話すことなんざなにもねぇよボケが!」
へぇ、なかなか口を割らないな。
俺との実力差はコイツの一撃を指で受け止めた時に、充分理解できているはずなのに。
つまり、それだけヤバい何かからこのナイフを受け取ったとみてよさそうだ、
「なぁ、俺は基本的に平和主義者なんだ。どれくらいかというと、俺たちの平穏を乱そうとする芽は根こそぎ摘んでおかないと安心できないくらい平和が好きでな。この件が片付かないと心配で夜しか眠れそうにない」
「ふざけた口利きやがって……! ならここで死んどけやぁ!!」
叫びながら『魔刃・疾風』を使って、ナイフを俺の顔に向かって突き立てようとしてくる。
速い、最初の奇襲より段違いに速い。しかもこちらの目を正確に狙っていて、普通ならこのまま脳まで刃が貫通するコースだろうな。
それを眼球の周りに魔力のシールドを纏って防御。
ぶっちゃけシールド無しでもノーダメージだろうけど、なんか怖いし。
「め、目玉を狙ったってのに……! どうなってやがんだ、テメェは!?」
「はいはい、無駄な抵抗はいいから。ちょっとフリーズ」
「ぐっ!? な、なんだ、う、動けねぇ……!!」
生命力と気力を混ぜた魔力を借金取りに纏わせて硬化し、拘束。
アルマパパなら気功・発徑とかで無理やり脱出することもできるだろうが、この借金取りのレベルじゃ脱出不可能だろうな。
「お前が白状せずにしらを切るつもりなら、こちらもそれ相応の対応をさせてもらう」
「な、何をしやがる気だ! 拷問でもしようってのか!?」
「大体合ってる。はい、ちょっと失礼」
借金取りの着ているスーツの首周りの襟を引っ張り、首の後ろから背中が覗けるような状態にする。
今ならこのまま縊り殺そうが首を落とそうが好き放題できるだろう。
「さて、お前が無事でいられる間に、今一度聞こう。この黒いナイフは、どこから手に入れた?」
「……はっ、バカが。甚振られたり、殺されそうになったぐれぇで口割るほど性根腐っちゃいねぇよ。くたばれ ク ソ ゴ ミ」
「……お見事」
なるほど、このいつ殺されてもおかしくないような状況でもゲロったりはしないと。ほーん。
てっきり自白してしまった後の報復を恐れているのかと思っていたが、どうやらそういうわけでもないようだ。思ったよりこいつも仁義の人だったりするのかね。
まあそれはそれとして拷問はするけどな。
覚悟。
「はーい、ドロドロドロドロ、塗り塗り塗ーり塗りー」
「うわぁあいぃっ!? ちょ、テメェ何やってやがんだ!? 何!? なんなんだよこれ!?」
開けた首の後ろから背中にかけて、アイテム画面から『摩り下ろしたコンニャク芋』を流し込み、それを魔力で背中全体に塗りたくっていく。
コンニャク芋にはシュウ酸カルシウムが含まれていて、こんなふうに塗りたくったりなんかしたら皮膚へ大量にシュウ酸の針が突き刺さることになる。
その結果、どうなると思う?
「う、な、なんだ……? か、かゆい……!? なんだよこのかゆみはぁ!?」
「ほほう、どこがかゆいんだ?」
「背中だよ! 今なんか塗ったトコ全部かゆいんだよ!!」
「ほうほう、このへんか?」
「そこじゃねぇよ! いてぇよ!」
「んー失礼。このへんですかー?」
「散髪感覚で話しかけんな!! あああああ!! 全然関係ねぇトコ引っ搔いてんじゃねーよぉぉおおお!!!」
痛みには耐性があるようだが、かゆみはそうはいかないだろう。
果たしていつまで耐えられるかな?
仮にこれに耐えたとしても、今度はシュールストレミン〇を鼻に突っ込む拷問や目の前で延々と黒板を引っ掻き続ける拷問が待ってるぞー。
それが嫌ならさっさと吐け! 吐くんだ!
絵・デザイン担当 生倉のゑる 氏
②金髪ペタン娘ことレイナミウレ
……いや、もうイメージそのまんまのレイナが描かれているのを見て『マジか』と思わず呟いてしまいましたね。
第二巻はレイナがメインの巻といっていい内容で、口絵や挿絵ではこのラフ絵よりさらに可愛らしく描かれているレイナを楽しめるので、是非一目見て頂きたいですね。
③金髪多すぎ問題解決のために髪の色変えられたペタン娘ことロリマス
↑に書いてある通り、今回新キャラデザイン金髪ペタン娘が三人もいてちょっと多いかなーと思ったので、それだけのために髪の色をオレンジに変えられてしまったのがこのロリマスことイヴランミィ。
だってペタン娘を安易に巨乳にするのはなんか違うし(ひどい
髪の色が変わると思ってたのと印象が変わっちゃうんじゃないかなーとちょっと心配していた部分もあったのですが、そこは生倉のゑる氏クオリティ。きっちり素晴らしいデザインに仕上げてくださいました、
というか、むしろ一目見ただけで脳内のロリマスイメージがこのデザインに上書きされてしまいましたね。耳飾りの液体描写もいい具合に流動的で芸コマ。
あ、耳飾りの赤い方の正体はWeb版を読まれた方なら『ああ、アレか……』とお察しいただけるかと。
二巻で追加された新キャラデザインは残り一人。
来週の日曜更新と同時に発表させて頂こうと思います。
最後の子が個人的にはイチ推しだったり。こうご期待。




