閑話②異世界ガイド
新規のブックマーク、ありがとうございます。
お読み下さっている方々に感謝します。
すいません、思った以上に長くなったので、もう一話ほど閑話を追加します。
《地球との差異として、大きく違う点はステータスと呼ばれる概念があることです》
(ステータス…というと、腕力とか、素早さとか、頑丈さとか、そういったものが数値化されてたりするんですか?)
《その認識でよいと思います。…本当に、察しがよろしいのですね》
まぁ、RPGとかのゲームじゃまずステータスがあるのが当たり前だしな。
現在、異世界に転生して魔王を退治しないかとスカウトされてる真っ最中。
色々説明を受けてるけど、ホントにテンプレなことばかりで、なんというか良く言えば分かりやすく、悪く言えば捻りがないというか。
《…ガッカリさせてしまいましたか?》
(あ、すみません、魂だけだと心の声だだ洩れだったんでしたね。いえ、そんなことはないですよ)
心の中が他人に知られるのって、不便というか、嫌なもんだな。
でも建前と本音があってこそ、他人とのコミュニケーションが成り立つもんだと思うんだがなぁ。
ステータスについての説明をまとめるとこんな感じ。
まず能力値についてまとめると
HP(生命力):そのまんま。その人のヒットポイントを表してて、大きな怪我とかしてこれがなくなると死ぬ。
MP(魔力):後述のスキルの技能なんかを使用するために必要なポイントで、使い過ぎると体調不良になって、ゼロになると気絶してしまい、起きるまで最短で24時間、場合によっては1週間かかることもあるとか。
SP(スタミナ):気力とも呼ばれているポイントで、こちらもスキル技能を使う際に消費することもあるらしい。ローグライクの満腹度に近く、飯を食えばその分回復する。これがゼロになると飢餓状態になって、HPが徐々に減っていくとか。怖い。
STR(筋力):その人の身体の強さを表していて、基本攻撃力の基準になってるらしい。腕力が高くないと扱えない武器や道具もあるから、鍛えておいて損は無い。
ATK(攻撃力):基礎攻撃力は筋力と同じで、これに武器の数値とかスキルの補正とかが加わった数値がその人の攻撃の強さを表してる。
DEF(防御力):これも筋力の影響を大きく受けていて、数値が高ければ高い程強い攻撃に耐えることができて、相手の攻撃力を大きく上回っていた時はほとんど無効化してくれるとか。
AGI(素早さ):行動の速さを表している。数値が高ければ高い程戦闘において相手の攻撃を避けたり、相手に攻撃を当てやすくなる。また攻撃力にも大きく影響する。
INT(知能):情報の処理能力の高さ、また、魔法を使う際の強さを表している。
DEX(器用さ):手付きの器用さ、技術力の高さを表している。数値が高いほど武器や道具をより有効に使用可能。また、装備品や道具の製作の際にも良品を造りやすくなる。
PER(感知) :基本的に五感の鋭さを表していて、自分の身の回りの索敵能力の高さに影響する。数値が高くなってくると瞬時に最適な行動をとりやすくなる。
RES(抵抗値):毒や麻痺等、状態異常に対する耐性の強さを表している。また、数値が高ければ状態異常の解除も早くなる。
LUK(幸運値):運の良さ。宝箱の中身や魔獣のドロップ品等が本人の望む物が出やすくなったり、戦闘における『はずみ』が本人に有利に働きやすくなる。いわゆるクリティカルやファンブルの起こる確率に影響。
長いな。
まぁ大体ゲームなんかのイメージ通りと思えば良さそうだ。
基礎レベルが上がれば職業に応じて能力値も上がっていく。また本人の努力によっても上げることができるらしい。
次はスキルについて。
スキルとは、その人の使える技能を表していて、MPを消費して様々な恩恵を受けることができるらしい。
例えば【剣術】スキルなら取得しているだけで剣の扱いが上手くなるし、スキル技能を使えば威力の高い斬撃を繰り出したり、魔力の刃を作ってリーチを伸ばしたり、斬撃を飛ばすいわゆる真空切りみたいなこともできるらしい。
スキルにはそれぞれレベルが設定されていて、行動によってスキルの熟練度があがるとスキルのレベルが上がる。
剣術なら剣を素振りするだけでも熟練度が上がるし、スキル技能を使っても上がる。また実戦で使用するとより熟練度を上げやすいんだとか。
因みに戦闘関連だけじゃなくて、料理や工業とかの生産系のスキルも存在するけど、基本的に戦闘職の人は生産系のスキルを獲得できないらしい。
一応、基礎レベルが50に達すれば戦闘職生産職問わず自分の望むスキルを一つ取得できるらしいけど、魔王討伐しなきゃならんのに生産系のスキルなんかとってる余裕あるのかね。
次は職業についてだが、向こうじゃ成人した時に持っているスキルを基に職業が決定されて、その職業にふさわしい職に就くのが当たり前らしい。
因みに成人年齢は15歳。元服かな? オレも向こうに召喚される時には15歳からスタートするらしい。ちょっとだけ若返るのか。
誰でも生まれた時にスキルを最低一つは持っていて、基本的にそのスキルを基に職業を決めるパターンがほとんどらしい。
まあ、生産系のスキルを持って産まれたけど戦闘職になりたい、あるいはその逆の場合もあり得るみたいだが、本人の努力次第で新しくスキルを取得することもできるから成人前にスキルを取得することができれば自分の望む職業になれるらしい。
まあその場合、例えば戦闘職を選んだ時点で生産系のスキルは失われてしまうらしいが。
あと、基礎レベルとスキルレベルが一定に達した時点で条件を満たしていればより上位の職業にジョブチェンジ、まあ要するに職業の進化ができるんだとか。
オレの職業は【勇者】らしい。…オレが、勇者ねぇ。笑える。ただのフリーターから勇者とかなんの冗談なんだか。
勇者はあらゆる戦闘系のスキルを使いこなすことができて、さらにレベルアップの際の能力値の上昇率も、上級の職業以上に優れている、いわばチートらしい。
しかも本来魔法を使う職業は杖以外の武器を使いこなせないが、勇者に限ってはその制限はないらしい。どんだけ優遇されてるんですかねぇ。嬉しいけど。
それでも極一部のスキルは使えないらしいが、極めてマイナーなスキルばかりだから気にしないでいいとか。…逆に気になる。
【勇者】の職業もジョブチェンジができるらしいが、選択肢は一つだけで、他の職業に比べてかなり高レベルにならないとジョブチェンジできないらしい。
あと、後述の【称号】もいくつか条件に入っているらしい。やりこみ要素豊富ですね。
で、その称号だが、その人の行動やら基礎レベルやスキルレベルが一定に達したとかの条件を達した時に取得できるものらしい。
称号によってはパッシブ効果と呼ばれる、能力値やスキルに影響を及ぼすものもあるらしい。
例を挙げると魔獣を一定以上倒したら魔獣キラーとかいう称号が手に入って、魔獣に対してわずかにダメージ補正がかかるらしい。
勇者のジョブチェンジにもいくつか決まった称号が必要らしいが、禁則事項で教えられないらしい。まあこういうのは自分で気付いた方が面白いけどさ。世界の危機じゃないんですか?
魔獣とは、地球の動物に近いものが主で、危険な生物は大体これに分類されているらしい。
中にはゴブリンとかオークとかオーガとか、人型に近い魔獣もいるらしいが、知能はあまり高くないとか。…ホントに捻りのないこと。
魔獣によっては食肉や、道具の素材がとれたりするので、決して邪悪な存在とは限らないらしいが。
問題は、魔王の支配下にある【魔族】だ。
魔族には人間並みの知能があって、人間と同じように言葉を発し、スキルを運用し、見た目も人間に近い者がほとんどらしい。
が、人間や亜人に対して極めて強い敵意を持っており、残酷な方法で街や人の住処に対して破壊活動を行うらしい。
もう魔族と人間の間には決して埋まらない溝ができており、和解は絶対にできない、互いに見たら殺し合うのが常識だとか。
しかも明らかに楽しみながら人間を殺戮しているという辺り、恨み云々以前に元々精神構造そのものが違うのかもしれないから、分かり合えないのも当然なのかもな。
…情報を鵜呑みにするわけじゃないが、実際にこの目で見て、どうしても分かりあえないと感じたら排除することにしようか。
《あと、勇者が魔王を討伐するまでに仮に命を落としたとしても、再召喚という形で再び蘇ることになります。同行する仲間ができた場合、その方たちにも同様の効果があります》
(いわゆる死に戻りですか。遠く離れた場所から帰還したい時なんかに便利そうですねハハハ)
《顔が見えないのに、引き攣っているように感じますね…》
(自分のステータスを確認するには、どうしたらいいんですか?)
《こちらの世界に召喚された時点で、貴方のサポートのために【メニュー機能】というものが授けられます。異世界から召喚された人間のみに使える機能で、ステータスチェックや情報検索を始めとした、様々な機能があります。レベルが上がるまで、使える機能には限りがありますが》
(ますますゲーム染みてますね)
《低レベルのうちは自分の称号を確認できないでしょうが、最初のうちは鑑定のスキルを持った人に確認してもらえばよろしいかと。他に質問は》
(ええと、あとオレの前にも地球から誰かその世界に来たことがありますか?)
《はい、過去の勇者に日本出身の方が何人かいらっしゃいましたよ》
(あ、過去にも勇者っていたんですね。…ってことは魔王も?)
《ええ、魔王は一定周期で生まれる、王というより災害や災厄に近い存在なので、その度に勇者を召喚して世界を救っていただいているのです》
(で、今回はオレの番ってわけですか。過去の勇者って言ってましたけど、今の時点でオレ以外に誰かそちらの世界に地球から来た人って居ないんですか)
《…………一人だけ、居ます》
2、3秒ほど間をおいてから、回答が返ってきた
え、なにその間は。
お読み頂きありがとうございます。
今度こそ次回で閑話は終わりで、本編に戻ります。




