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とりあえずの、フィナーレ

新規の評価、ブックマーク、感想をいただきありがとうございます。

お読みくださっている方々に感謝します。


今回で、ひとまずの区切りとさせていただきます。

ここまでお読みいただきまして、誠にありがとうございます。


あとがきの一番下に、ちょっとしたご報告がありますので、興味のある方は最後までお読みいただけると幸いです。


「あの、すみません、いつもの20倍くらいの種類と量を用意しましたんで、どうか勘弁していただけませんかね」


『……』


「いや忘れていたわけじゃないんですよ? ただ、疲労がたたったせいか魔王との戦いの後に半月くらい寝たきりの状態でしてね?」


『……』


「あ、そうだ、このステーキとか、最上級の固有竜の肉を使ってましてね。これまで召し上がっていただいたどんな肉よりも美味しくできまして、自信作なんですけど。あの、聞いてます?」


『・・・・・・』


「……あれ? 先生、なんか能力値がモリモリ上がってませんか? え、ユニークスキル? 軽く10倍くらい強くなってるんですけど。え、なんでさらに真獣解放まで使ってるんですか? これじゃ真魔解放状態の魔王以上に強くなってるじゃないですか」







『グルッガアァァァァァァァァァァアアアアアアアッッ!!!!』


「ひいいぃぃいっ!? そんな力隠し持ってたならアンタも一緒に魔王と戦ってくれればよかったじゃないですかヤダぁぁああっ!!! ひでぶァッ!!?」









~~~~~









「ラスフィ、次はどこへ行こうか?」


「第2大陸の魔獣洞窟に、Lv80を超える強力な魔獣が巣をつくっているらしい。討伐に向かおう……なんだその顔は、嫌なのか?」


「いや、いいけどよ……。あの戦争以来、なんかお前戦闘狂みたくなってきてねぇか?」


「そうかもしれない。強い相手と戦う時の高揚感が、癖になってきているのが自分でも分かる」


「気持ちは分からなくもねぇけど、ほどほどにしとけよ。ホントにヤバそうならすぐに止めるからな」


「その時は、お前が守ってくれるのだろう? バレド」


「……へいへい。やれやれ、なんでこんなのに惚れちまったかね……」








~~~~~









「ラディアさん、明日アルマさんの誕生日パーティするんで是非来てくださいっす!」


「え、そうだったのか? てかあの姉ちゃんいくつなんだ?」


「明日で17歳だとか。カジカワさんもお料理いっぱい作って祝う準備にしゃかりきっす。御馳走食べ放題だから期待していいっすよー」


「そうかぁ。ならお祝いになんか買っていくかな」


「自分もお酒でも買っていこうと思ってるっす。よかったら一緒に買い物しましょうよー」


「お、おう。あんま飲み過ぎんなよ?」


「めでたい席なんすから、たまには羽目を外さないと。ラディアさんこそいっぱい飲みましょうよー」


「誕生祝いそっちのけで飲もうとしてんじゃないかお前……?」


「ふふふ、ぶれーこーっすよぅ。……っていうか、ホントは誕生日パーティじゃなくて――――」







~~~~~








「娘さんを、私にください」


「……いつか、こういう日がくるんじゃないかと覚悟していた。そして、その日を迎えた時に、どうするべきかと思わなかった日は、一日たりともなかった」


「……大体予想はつきますけど、お返事は」


「これを見ても、分からないかね? 私よりも強くなければ認められん。その力を示してみなさい」


「剣構えてますし、やっぱそうなりますか……はぁ、俺じゃなかったら、アルマ一生独身のまんまだったかもしれないな」






「では。……………(アルマ)がほしければ私を倒してからにしろやこの青二才がぁぁぁぁああああああっっ!!!!」


「やっぱそうなりますよねぇぇぇぇえ!!!」









~~~~~









「勇者様! どうか俺の嫁に―――」


「メニュー、ファストトラベルで他の大陸へ飛ばせ」


≪はいはい。……婚姻迫ってくるのをあしらうの手慣れてきましたね≫


「もういちいちリアクションとるのすら疲れてんだよ。ったく、お前があんな人前で勇天融合なんか使うから毎日あんなのが寄ってくるじゃねぇかクソァ!」


≪しかも女性からのお誘いがほとんどないのがまた。……ホントに成長したらイケメンになるんですかねー。なんか、女性っぽいままで成長する気しかしないんですけど≫


「なるよ! なってみせるよ! もう女に間違われるのなんかうんざりだよ! レヴィアとオリヴィエもこんな女っぽい顔よりも、イケメンになったほうがいいに決まってるだろ」


「いや、そのまんまでいいけど」


「今のネオラさんも、充分格好いいですよ」


「……ありがとう」


「むしろ可愛いままのほうがケホケホッ」


「ん、なんか言った?」





≪……分泌されている女性ホルモンが多いうえに、老化しにくい体質に造ってあるらしいので、成長しても外見が男らしくなる確率は絶望的だっていうのは黙っておきましょうか。カワイソウですねー……≫








~~~~~
















俺が想いを伝えると、それをアルマは極上の笑顔で受け入れてくれた。

つーか、あの告白の後にアルマに抱き着かれたかと思ったら唇塞がれながら押し倒されまして、それで、……これ以上はやめておこう。うん。



その後、数多の試練(主に鬼先生とアルマパパ)を乗り越えて、晴れて結ばれることに。

かといって、恋愛感情だけで突っ走るわけにはいかない。


恋をしている間は互いの長所ばかりが見えて、いざ結ばれてみると互いの粗が目立つようになってきて離婚なんてことはよくある話だ。

相手を理解し、自分を理解してもらえるように努めて、直すべきところはお互いに改善していって、末永く幸せになれるようにしないと。

結婚は子供の遊びじゃない。一人の人間として、二人の男女として真剣に向き合っていく覚悟を決めるということなんだ。




……まあ、堅苦しいことはこのへんにしといて、今は調理を進めますかね。

あんまりこんなことばっか考えてると息が詰まるし、今はアルマとの時間を大事にするべきだろう。



「ヒカル、タマネギ切り終わった」


「よし、じゃあ炒めていきますか」



今作っているのは、黒竜の肉を使った生姜焼きだ。

他にもステーキやらハンバーグやら照り焼きやら燻製やら角煮やら軟骨入りつくね団子やら、黒竜の肉料理のオンパレードである。


アルマの誕生日パーティのために、これまでアイテム画面に入ったままだった黒竜の肉を使った料理を振る舞うことに。

大半は俺が作ったが、生姜焼きはアルマとの共同作業で作ることに。


アルマと最初に食べた料理も生姜焼きだったっけ。今となっちゃ懐かしい。

……あれから軽く二年と二ヶ月くらい経ってた気もするが、実際には一年も経っていないという恐怖。……なんて内容の濃い日々だ。



『ピピッ!』


「こらこら、今日はつまみ食いするのはやめなさい。晩御飯のパーティになったら好きなだけ食べられるから。……頼むから巨大化して全部食ったりしないでくれよ」


『ピィ……』


「ヒヨ子も待ちきれないくらい楽しみみたいだね。……そういえば、ヒカルの誕生日っていつ?」


「さあ? 目が覚めた時にはもう26歳になってたけど。……寝てる間に誕生日迎えてたっぽいなこりゃ。まあ、この歳じゃ誕生日迎えてもあんまり嬉しくないけどなハハハ」


「それでも、ヒカルが産まれた特別な日。なら、祝ってあげたかった」


「……そうか、ありがとな」


「だから、次の誕生日は私が腕を振るって料理を作る。そのためにも、料理を教えていってほしい」


「おう、いくらでも付き合うよ」



……次の誕生日が楽しみだなんて思えるのは、いつ以来だろうか。

こっちの世界へとんできて、アルマと出会えてよかった。ぐすん。





アルマの誕生日パーティは、なんだか思ったよりも大ごとになってしまった。

俺だけじゃなくてアルマママまで料理を用意していたらしく、合わせて軽く数百人前はある。

ちょっとした貴族の社交界みたいだな。……余った分はアイテム画面に放り込んで後日いただくとしよう。


パーティの会場まで準備してくれたようで、というかギルドの酒場を貸し切って会場にしててもうバカ騒ぎする気満々である。

あ、冒険者ギルドの看板に『アルマの誕生日パーティ』ってデカデカと上書きされてる。……突貫工事なのか、今にも留め具が外れそうだけど。



パーティには、レイナやアルマの御両親はもちろん、勇者君一行に他の修業メンバーにアイナさん、孤児院の子供たちに院長にレイナのお母さん、ゲンさん師弟にジュリアン、さらにギルマスたちやスパディアさんまで来ている。

忙しい中来てくれて嬉しいけど、仕事は大丈夫なんだろうか。



「……毎日毎日缶詰にされて仕事してるんだから、たまにはこうやって羽目を外さないとやってられないんだよぅ。あ、お酒おかわりー」


「おい年長者。なにもう出来上がってやがんだ」


「まだパーティが始まってないのに飲むな。そして代わりを要求するな」



もう既に飲んでるロリマスをダイジェルのギルマスとコワマスが諫めている。……この酒飲み幼女め。

レイナも飲み過ぎないように注意しておかないと。いや、多分無理だな。……このアル中幼女どもめ。




パーティ用にかなり立派な背広を日本で買ってきたけれど、変じゃないかな。

てか、肝心のアルマがどこにもいないんですがそれは。


≪衣装の着付けに時間がかかっている模様≫


誕生日用の衣装なんかあるのか。こっちの誕生日パーティって気合入ってるんだなぁ。

……そう考えると、レイナの誕生日パーティってかなり地味だったんだろうか。なんか申し訳ないなー……。


とか思ってたら、更衣室からアルマが出てきた。


………………………………。



そこには、純白の衣装に身を包んだ、天使と見紛うほどの美少女がいた。

……ちょっと気合入りすぎじゃない? まるでウェディングドレスだ。


少し顔を赤らめながら、アルマが俺に声をかけてきた。



「ど、どう、かな……?」


「あ、ああ。……綺麗すぎて見惚れてた」



あかん、なんだこの空気は。

まるでこれから結婚式でも始まるかのような雰囲気じゃないか。

周りがニヤニヤしながらこっちを見ているのがホントもう。

……早く席に座ろう。





パーティが始まり、アルマが軽い挨拶を済ませたくらいにアルマママがなにやら大きなコンテナを運んできた。



「……? それは?」


「うふふ。今日のために、立派なケーキを作ってきたのよー」


「おお、誕生日ケーキですか。気合入ってますね」


「うふふ、愛しい娘のために、つい本気を出しちゃったわぁ。そーれっ!」




コンテナを開けると、……中からとんでもないサイズの巨大なケーキが出てきた。

待て。これ誕生日ケーキじゃないだろ。



どう見てもウェディングケーキのそれじゃないですかーやだー。



「はい、じゃあヒカルさんとアルマちゃんは一緒にこれ持って」


「……え?」



アルマママが剣を、いや、ケーキカット用のナイフ? を手渡してきた。

どういうことだ。なにが始まるんです?



「ふんっ!」



頭が半ば混乱しているところで、アルマパパが剣を振るってギルドの看板に遠当てを放った。

看板に上書きされていた『アルマの誕生日パーティ』の板が斬り落とされ、その下から新たな看板が表に出てきた。



そこには、『カジカワヒカル・アルマティナ 結婚パーティ』の文字がががががががががが。



・・・・・・・・・・・。



や ら れ た 。




誕生日パーティの話を出してきたのはアルマママだったけど、こんなサプライズを仕込んでくるとか。

てかこういうのはサプライズにしちゃダメだろ! もっとちゃんとした形で―――



「ヒカル、合わせて」


「え、アッハイ」



流されるままに、ケーキ入刀。

初めての共同作業、これでええんか。



「……できれば、こういう場はしっかりとした準備をさせていただきたかったのですが」


「駄目よ。ヒカルさんの場合、そう言いながら復興とか冒険とかを理由にズルズルと婚姻の時期がずれていく予感しかしないわ。デュークもそうだったし」


「うぐっ……」



……見透かされておる。

実際、結婚式とか準備が大変そうだけどいつしようかなーとか漠然としか考えてなかったんだけれども。




「では、挨拶の締めとして、誓いの接吻をどうぞ」


「っ?!!」



マジすか。

いや、もうファーストはとっくに済ませたわけなんだけれども、人前で?



アルマを見ると、もうキス顔でスタンバイOKの御様子。

そして周りの方々は全員神妙な顔で静まり返り、こちらを凝視している。


……。




やるよ。やらせていただきますとも。ええ。






手でアルマの顔を優しく寄せて




………唇を、重ねた。


それとともに会場に囃し立てるような甲高い歓声と口笛が響いていく。超恥ずかしい。




「指輪の交換は、結婚式の一月後にそれぞれが用意して行いますので、近くの教会まで行きましょうね」



……こっちの世界の結婚イベントの順序がイマイチよく分からんな。




「アルマちゃん、ガッシリ掴んで離しちゃダメよ」


「……うん」


「ヒカル君、……娘を、頼んだぞ」


「……はい」




誕生日パーティ改め、サプライズ結婚式というハチャメチャなイベントを終え、そのまま食事会へ。

もう恥ずかしいやらハメられて悔しいやら嬉しいやら複雑な心境だ。



半ばヤケ食いに近い勢いで食いまくっていると、アルマが口を開いた。




「ヒカル」


「なに?」








「あなたが、大好き」




「っ……!! ……俺も、だよ」








それでも、断言できる。


今の俺は、世界一の幸せ者だ。




これから、もっともっと幸せになるために、そして彼女を幸せにするために、ともに人生を歩んでいこう。

















「ヒヨコちゃ~ん、もっともっとのむっすよ~うへへ~」


『こ、コケッ!! コケェェエエゥ!!』


「レイナ、ニワトリにラッパ飲みさせんな! 死ぬぞ!」


「おい、お前も今融合して美少女になれ。そんで俺と結婚しろ」


≪りょ!≫


「誰がするかふざけんな、っておいちょっと待てなに勝手に融合してんだコラァァァアアッ!!!?」


「若いねぇ、はぁ、私もそろそろ結婚したいなー。ライザはどうよ?」


「……悲しいことに、見合い相手が会った途端に全員逃げ出していくのでな」


「ライザちゃん迫力ヤバいもんねー。なんで普段からそんな怖い顔してるの? このままじゃ一生独身 ブベラッ!!?」


「わー! エルフのおねえちゃんがぶっとばされたー!」


「こらこら、行儀悪いっすよ。結婚式なんだから、もう少し落ち着きをもって粛々と―――」


「いや院長自分の皿に肉盛りすぎだろ。アンタももっと自重しろよ」


「ふははははっ!! 結婚おめでとうマイ・カスタマーとそのパートナーよ! ここで一発、我の開発した魔石花火でも―――」


「ヒグロ、止めろっ!!」


「それ花火という名の爆弾だろうが! 絶対に使うなよそんなもんっ!!」






……随分と、賑やかな未来が待っていそうですね、ハイ。



あ、おい、ジュリアンそれ止めろ! ちょ、待―――――

お読みいただきありがとうございます。

ここまで書き続けて、無事に(とりあえずの)完結まで執筆できたのも、ひとえにお読みくださっている方々の応援あってのことであると実感しております。

改めて、感謝を。本当にありがとうございます。

今後も後日談を書く予定ですので、完結済みには致しません。ご了承くださいませ。





あ、そうそう。なんか新作書いてるっぽいですよ。

↓興味のある方は今日のAM7:00以降より、このURLからどうぞ。

https://ncode.syosetu.com/n9804gu/

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 9/5から、BKブックス様より書籍化!  あれ、画像なんかちっちゃくね? スキル? ねぇよそんなもん! ~不遇者たちの才能開花~
― 新着の感想 ―
[一言] 作り込みも良く 物語も面白く 素晴らしい作品
[良い点] 数えきれないくらいなろうを読んで来ましたが、ここ数年はある一定の所まで行くと他作品に移行する、と言う事を繰り返してました。 別に飽きたり内容が予想出来たりで読むのを止める訳ではないですが例…
[一言] この作品を発見してから、気付いたら三日目に突入していました。 取り敢えず、「時間ドロボー、この二日間を返せ」と言っておきます。 というか、今日はこのまま睡眠時間まで奪われそうな気配。
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