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かかってきやがれ

新規の評価、ブックマーク、感想をいただきありがとうございます。

お読みくださっている方々に感謝します。




『グルォォォオオオオアァァァァアァアァァァアアッッ!!!』



空を裂くかのような荒々しい咆哮。耳が痛い。物理的に。

なんつーか、前に戦った時はまだ咆哮に理性が感じられなくもなかったが、今のはもう完全にアカンやつじゃないですか。


バカみたいにうるさい叫び声を上げながら現れたそれは、やはりバカでかく、黒い霧を纏った竜だった。

黒い身体に赤く禍々しい文様が浮かび上がっていて、身体のいたるところから牙に似た棘が突き出ている。

瞳は血のように朱く、牙は毒々しい紫を帯びていて、まさに邪竜といった佇まいだ。



メニュー、ステータスを表示。





竜族:★暗黒神竜


Lv91


状態:【真竜化】 テイム(魔王《相馬竜太》)


【能力値】


HP(生命力) :18697/18697

MP(魔力)  :9780/9780

SP(スタミナ):7006/7041


STR(筋力) :20399

ATK(攻撃力):20399

DEF(防御力):20001

AGI(素早さ):10784

INT(知能) :4123

DEX(器用さ):2715

PER(感知) :7098

RES(抵抗値):9993

LUK(幸運値):31


【スキル】

竜族Lv10 体術Lv10 極体術Lv10 牙術Lv10 貫牙術Lv10 爪術Lv10 鋭爪術Lv10 


【マスタースキル】

ドラゴニック・エンペラー

オーラ・ミティゲイション

オーラ・ヒール

バイタル・タスク

金剛牙

熔焔爪搔

ディザスター・クロー


【ユニークスキル】

魔喰者









やっぱ全体的に能力値がはね上がってやがる。幸運値がえらく減ってるのが気になるが。


≪ステータスを持つ全ての生き物は同族を殺害した場合、幸運値が著しく下がる仕様≫


同族を殺害って、……こいつ、まさか今までドラゴンどもを殺しまくってレベルアップしてたのか?

例の竜や魔獣が支配する大陸にでも行ってレベリングしてたのかな。俺もそっちでレベリングしておくべきだったか。いや、そんな暇なかったけどさ。


そして、名前の横に★の表示。ヒヨ子と同様、こいつも固有魔獣、いや固有竜とでも言うべき存在に進化したようだ。

その証拠にユニークスキルが新たに追加されている。


≪ユニークスキル【魔喰者】 攻撃魔法や剣術スキル技能などによる『魔力による攻撃』を無効化・吸収し、自身の生命力へ変換するスキル。梶川光流の使用する『魔刃改』『魔力パイルバンカー』なども例外ではないと推測≫



……最悪だ……!

ここにきて、なんて能力引っ提げてきやがったんだこのクソトカゲ!



「やばい、あのクソトカゲ、魔力による攻撃が効かなくなってやがる……!」


「え……魔法や、遠当てが効かないってこと?」


「それどころか、魔刃なんかの技能も効かない。むしろ攻撃を吸収して回復しちまうらしい。……まずい、攻撃手段が一気に狭まっちまった」


「ど、どうするんすか?」


「……レイナとヒヨ子はブレスを吸収しても、黒竜には反撃するな。吸収されるだけで、かえって状況が悪化する。アルマは予定通り重力魔法でサポートを頼む」


「重力魔法は吸収されないの?」


「実体がない分、他の魔法に比べて吸収されづらいらしい。回復こそしないけど、効果は減退しちまうみたいだが」



現時点で、あのクソトカゲにダメージを与えられる手段は気力操作で強化した肉弾攻撃と、例の肉断ち包丁くらいなもんか。

あの包丁、攻撃力がランダムに変動するからちと使いづらいんだよなー。つーか、あんだけデカい相手じゃちょっと刃渡りが心もとない。




『ヴァギャヴァァアァアアアァアァァアアアッッ!!!』


「……くる!」



仕方ねぇ、ここは予定を大幅に変更だ。



「これより、持久戦に入る! 丸一日戦い続けることも視野に入れて、とにかく時間を稼ぐんだ!」


「え、丸一日っすか!? そりゃいくらなんでも無茶っすよ!」


「ああ、ファストトラベルで休憩はさみながら戦いますので、トイレとか行きたい人は遠慮せずにすぐ言ってくださいねー」


「う、うん……」


「カジカワさんがマイペースすぎて緊張感が無くなっていくっす……」


『コケェ……』




さーて、とにかく今は無理に攻撃せず、ひたすら防戦を意識して戦うとするか。

危険な攻撃がきて回避が困難な場合はすぐにファストトラベルで逃げられるように、サポートを頼むぞメニューさん。


≪了解。梶川光流及びパーティメンバーの安全を最優先にサポートを開始≫



『ギャヴァァァアアアァァアアアッッ!!!』


「かかってきやがれクソトカゲぇぇぇえっ!!!」



咆哮と絶叫が響き渡る。


なお、威勢よく叫びはしたもののこれからするのは牛歩戦術な模様。せこーい。









~~~~~勇者視点~~~~~









はいどうも勇者ですよー。

……ここんとこ毎晩貞操の危機に陥ってて若干寝不足ですが、私は元気です。


レヴィアやオリヴィエも相当魅力的な女の子だと思うんだが、不思議と誰も夜這いをかけたり襲ったりすることはない。

もし仮に誰かがこの二人に手を出そうとしようもんなら、Sランク魔獣の闊歩する超危険地帯に放り込んでエサにしてやるところだけど。


で、なぜか二人をスルーして、ここんとこ深夜になるとオレの寝床まで夜這いかけてくる野郎どもが毎晩最低でも2~3人くらい出没している件について。

オレは男だと何度言わせれば(ry

いや、むしろ男だから襲っても罪は軽いとでも思ってんのか? 重いよ。重罪だよ。仮にもオレ勇者やぞ。死刑。

……もういいや。こんな話ばっかやオレ。



気を取り直して、今の状況を整理するか。

現在、戦争開始五日目。非常に早いペースで魔族に支配された街、いや地域を奪還していってる。

梶川さんによる慈悲のカケラもない戦略で次々と魔族を殲滅していき、今では大半の地域を魔族から奪い返すことに成功した。


……毒の雨を降らせたことで、しばらく生き物が住めなくなってしまった街もいくつかあるが。どうすんだよあの死の大地。


≪あの程度の毒の量なら神聖職による広範囲浄化魔法で中和可能です。……数十人が三日間くらいつきっきりで浄化すればの話ですが≫


結構な手間がかかるじゃないですか。

環境破壊はほどほどにしてくださいよホンマに。……今更か。



他の手練れの人たちが大陸中に出現したSランク上位魔獣どもを相手にしている間に、オレたちは魔族の幹部を倒すために魔族の本拠点を目指している。

ラディアの話では『ハルカウバ』という街の周辺にある岩場の中に(ニセモノ)が混ざっていて、そこに拠点への入り口があるらしい。


梶川さんが送ってきたマップ情報と照らし合わせてみたが、どうやらその情報に間違いは無さそうだ。

つーか、マップ情報だけじゃどこに入り口があるのかイマイチ分からず無駄に時間をくうところだった。ナイスだラディア。

……いわく、実の兄が死に際に遺した情報だったとか。重い、重すぎるよラディア。今度メシでも奢ってやろう。



探索を始めてから大体一時間くらいでニセモノの岩を発見し、拠点へ侵入することができた。

このニセモノ、なんとメニュー機能すら欺く謎の技術が使われているらしい。


≪梶川さんのメニュー(デフォ子)が送ってきたマップにも、なぜか入り口の範囲だけが表示されていませんでしたからねー。このニセモノ、かなり異質な技術が使われているようです。……まさか、異世界の魔法かなにかでしょうか≫


異世界のって、え?

例の『21階層』ってところから持ち帰った『なにか』を利用しているってことか?


≪その可能性は否定できません。魔王の前世、過去の勇者である相馬竜太は21階層から生還した人物ですから、転生のためのアイテムの他にも異質オブジェクトを持ち帰っていて、それを魔王が利用していると考えるのが自然でしょうね≫


それって、思ったよりもヤバくないか?

ただでさえステータスが絶望的に強いのに、そんな不確定要素まで備えてるとか対策のしようがないだろ。

梶川さんは『多分、なんとかなる』って言ってたけど、ちょっと楽観視しすぎじゃないかな……。


≪こっちも異質オブジェクトで対抗すればいいんじゃないですかね。教官から『性転換できる丸薬が無限に出てくる薬瓶』を受け取ってますけど、使います?≫


いらねぇよ! 使っても意味ねぇだろそんなもん!

……なんでそんなものがアイテム画面に入ってるのかいまだに分からん。酔った勢いかなんかで受けとったのかな……?





「はぁ、やれやれ。……おわっ」


「おっと、ボーっとしながら歩くなよ、気を付けろ」


「あ、すんません」


「……ん?」



溜息を吐きながら通路の角を曲がったところで、誰かとぶつかりそうになった。

誰かって、誰? 



「あ」


「え?」



魔族ですが、なにか。

うん、魔族の拠点だもんね。そりゃいるのは魔族に決まってるよね。



アカン。




「し、侵入者だ!! 総員出撃ぃぃいいいっ!!!」


「なんだとぉ!? 一人たりとも生かして帰すな! 皆殺しにしろぉ!!」



クソァ!! 余計なこと考えながら歩いてたら見つかっちまった!

仕方ねぇ、全員まとめてかかってこいやぁ!!



「……またネオラがゴリ押ししようとしてる」


「この場合は、仕方がない気もしますが……」



やめて、そんな冷ややかな目で見ないで二人とも。

次は気を付けるから。見つかっても全員ぶちのめせば結果オーライだから。


お読みいただきありがとうございます。



>間違いを発見したので報告します――――


あ、誤字報告ありがとうございm 違うわ! それ誤字ちゃうわ! 人間だから! 多分! おそらく! きっと!


>神喰らいの白剣って、条件達成で進化させようとしたら――――


黒竜の名前を見てお察しください。


>強くなった蜥蜴、味は前よりも美味しくなっているのかな?


魔獣や竜は高レベルになるほど、進化するほど美味しくなる傾向にあります。

竜族は特にそれが顕著ですので、あとはお分かりですね?


>素朴な疑問なんですけど、ヒカルの称号に―――


武器を使うことが称号を得る条件ではなく、ヘラクレスは『ヒュドラ』スサノオは『ヤマタノオロチ』トールは『ヨルムンガンド』を倒すことが条件です。神話そのまんまでなんの捻りもないですがが(;´Д`)


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 9/5から、BKブックス様より書籍化!  あれ、画像なんかちっちゃくね? スキル? ねぇよそんなもん! ~不遇者たちの才能開花~
― 新着の感想 ―
[一言] 強くなった蜥蜴は、何にして食べるつもりですか?
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