稽古と交渉
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
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やれやれ、夜までになんとか現状をまとめることができたな。
重要なメンバーはアイザワ君とあの女隊長以外回収できたし、まあ及第点。
人類側の被害は決して少なくはないが、致命的というわけでもない。
いや弱かろうと強かろうと一人一人大事な人員であることは変わりないんだが、本当にやられたらまずい人はとりあえず無事という意味でね?
ヒューラさんとガナンさんはファストトラベルで強制的に回収。
尾行していたのになんで勝手に転移させたと文句を言ってきたが、アイザワ君と女隊長にマーキングしてあるから奴らの行動筒抜けなんですよ。
つまり尾行するだけ無駄。はよ他の戦場へ行ってもらったほうがずっと有効に働いてもらえる。
それでもアイザワ君を心配していたようだが、いざとなったらすぐにファストトラベルで回収可能なので問題ない。
つーか、なんか妙にあっさり洗脳されてたなアイザワ君。
まさか魔力操作の修業の時に『どこに逃げても君の位置は手に取るように分かる』って言ったのを覚えてて、あえてスパイとしてわざと洗脳されたとか?
……だとしたらちょっと無茶しすぎじゃないですかね。つーか女隊長がいるから別にそんなことする必要ないんだけどなー。
ラスフィーンとバレドはソウマと一緒に進軍してもらって、進路上の魔族や支配されてしまっている街を攻め落としてもらうことに。
援軍がいるなら呼ぶように言っておいたが、正直必要なさそうだ。
なにせ、Sランク魔獣を含めた高レベルの魔獣たちがそのまま戦力として扱えるんだ。
相手も同じだけの戦力があるとはいえ、高レベルのテイムスキルを取得しているソウマの指揮には敵わないだろう。
さらに、気力・魔力操作の基礎を習得してるうえに、ジュリアンのトンデモ兵器を装備したコンビがいるんだ。並の魔族や魔獣じゃまず相手にならん。
この二人もできるだけレベルが上がっていると終盤に少しは楽ができるんだが、さて。
で、夜遅くになってようやく休めるかと思ったが、甘い。
まだなにかやることがあるのかって? ええ、もちろん。
鬼先生との稽古ですが、なにか。
戦争中くらいは休みたいんですが、こないだ半月近く放置してたこともあって次に約束をすっぽかしたら今度こそ殺されかねないんですよー……。
『グルゥッ!!』
「おらぁっ!!」
拳がかち合う。それだけで魔獣山岳全体に衝撃波が広がっていく。
もしかしたら工業都市のほうにまで音が伝わってるかもしれない。……夜中にお騒がせして申し訳ない。
今の俺は、素の状態で鬼先生とほぼ互角かそれ以上の能力値をもっている。
だというのに、鬼先生は無傷で俺のHPは拳がぶつかり合うたびにガリガリ削れていく。
マスタースキルかなんかの影響かと疑いそうになるが、鬼先生は追加ダメージ発生スキルや物理ダメージ無効化スキルなんか持ってない。
メニューが言うには、自分のダメージを軽減して、なおかつ相手には確実にダメージを与える、まさに神業というべき御業を息を吐くように容易く連発しているらしい。
もう攻撃を喰らった瞬間にダメージを受け流すのが反射レベルでできてるんだとか。なんだこの鬼。
やっぱ強い、強すぎる。
この鬼が魔王相手に戦ってくれれば、どれだけ心強いか。
でも、鬼先生って戦うのは好きなんだけど、戦わされるのは大嫌いみたいなんだよなー。
もしも強力な魔獣をトレインして倒してもらおうとでもしようもんなら、連れてきた奴まで一緒に殴り殺しかねない。怖すぎやろ。
「おおぉぉぉぉおおおらぁぁああああっっ!!!」
『グルァァァァアアアアッッ!!!』
全気力を集中した正拳突き。
こいつをまともに喰らえば、さすがの鬼先生もただじゃ済まない。
恐らくマッハを超えている速さの拳を、同じく鬼先生は拳で迎え打ち―――――
いや、打たなかった。
拳を開いて俺の腕を掴み、まるでバトル漫画に出てくる合気道の使い手のように俺の身体を宙に投げた。
「なぁっ!?」
『グォガァッ!!』
「うわらばッ!!」
そしてそのままエルボーを俺のどてっ腹に打ち込んで、終了。
どこぞの自称天才の断末魔みたいな呻き声を漏らして悶絶。
あがががが、HPが尽きて超痛い……!!
正直、この鬼に一生勝てる気がしないんですがそれは。
こちとら魔力操作も気力操作も自重無しで使いまくってるのに、鬼先生はほとんどスキル技能を使っていない。
ステータスも条件も、あらゆる点で俺のほうが圧倒的に有利のはずなのに、勝てない。
……ここまで力の差を見せつけられると、正直凹むわー……。
さ、さて、今日の鍛錬も終わったし、最後にちょっとお話というか、交渉をしてから帰りますか。いてて、腹が……。
……下手したらまたぶん殴られかねんが、やれることは全てやっておきたいからね。仕方ないね。
~~~~~レジスタンスのアジトにて~~~~~
「あ、カジカワさんおかえりなさい……ど、どうしたんすか!? 顔に紫色の手形ができてるんすけど!」
「誰かに殴られたの……!? 許せない、今すぐ……待って、ヒカルを殴ってダメージを与えられる人なんて存在するの?」
「……気にせんといてください……」
『ピィ……?』
~~~~~翌日~~~~~
はいはい、おはようございます。
勇者君に回復魔法をかけてもらってHPを回復して、生命力操作で傷を癒したので身体は快調。
その勇者君は軽く修羅場だったけどな。
具体的に言うと、なんかハゲの筋肉ムキムキのオッサンに夜這いかけられてた。
ファストトラベルで他の大陸まで飛ばしてようやく事なきを得たみたいだが、この子も割と身の危険が近くにあるな。男なのに。
「昨晩は貞操の危機だったぜ……」
「……お疲れ」
「もう融合解除してるのに、なんかあのハゲ含めて3人くらいオレの寝床にきたんだけど。しかも全部男。マジふざけんな」
勇者君お疲れ。マジお疲れ。
「ところで、仮に可愛い女の子が夜這いにきてたらどうしてた?」
「……ノーコメント」
そこは冗談でも『そのまま朝チュンですよ』とか、あるいは『オレにはレヴィアとオリヴィエがいるから』とでも言っとけよ。返事が生々しくて反応に困るわ。
さてさて、妨害魔法の影響を受けないエリアができたおかげで他の大陸からの増援も集まってきたし、こっから本格的に魔族への反撃開始だ。
レジスタンスたちの情報をもとにしかるべき場所にアルマの御両親やら剣王のじい様やらジュウロウさんやらを投下すれば、それだけで侵略完了できるだろう。震えて眠るがいいフハハハハ。
……問題は、あと一週間以内に戦争を終わらせないと予定が大幅に狂う危険性があるということなんですがね。はよせな。
お読みいただきありがとうございます。
>明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。
ご丁寧にアリがどうございます。
こちらこそ、終わりが近く先の短い小説ですがよろしくお願いします。
>もうどっちが魔王だかわかりませんね。―――
カジカワ「なにコイツ怖い」
魔王「なにコイツ怖い」
お互いの印象はこんな感じだったり。両方ともその気になれば世界を滅ぼせるのでどっちが魔王か分からないというのも頷けます。
>そんなヒカルさんに某帝国の4つ目の仮面をプレゼント(はあと)―――
あけましておめでとうございます。
ウル〇ラマンはあまり詳しくないです。申し訳ない(;´Д`)




