表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

356/584

風船

新規の評価、ブックマーク、誤字報告、感想をいただきありがとうございます。

お読みくださっている方々に感謝します。



いや、ちゃうねん。誤解やねん。

猛毒塗れの状態でいるとうっかり大惨事になりかねないから、全身の洗浄は割と急務だったんですよ。


ヘビ公たちとドンパチやった後の疲れを癒すのも兼ねて、魔力で模った湯船で身体を洗ってたら今度はアルマがピンチだとメニューさんに(ry

で、なにも考えずにそのままアルマを襲ってるクジラをぶちのめした後になって、全裸のままだということに気付きました。どうしてこうなった。

ラディア君が困惑した様子でこっちにツッコミを入れてきて、アルマは声にならない叫びをあげた後に手で顔を覆って蹲ってしまった。



「戦争中なのに暢気に風呂なんか入るかフツー……?」


「いや、あのね? 諸事情で全身毒塗れだったから早めにサッパリしたかったんだ。湯船に浸かってる最中にアルマがピンチになってるから慌てて来たんだけど、まあ、その、ご覧の有様だよ」


「いいから服着ろよ」



はい、そうですね。……さっさと身嗜み整えるか。

全身をタオルで拭いてから魔力操作の温風で乾かして、服と装備をメニューに着せてもらおう。



「はい、お待たせ」


「着替えるのはえーな……」


「アルマ、もう服着てるから顔上げてもいいよー。……アルマ?」


「……ごめん、ちょっと、待って……」



顔を覆った状態のまま動かないアルマ。手で隠していても分かるくらいに顔を真っ赤にしている。

まあ、いきなりオッサンの裸なんか見せられた日にゃこうなるか。俺なら軽く2、3日引き摺るわ。

……もう完全に変質者の扱いじゃないですかーやだー。



「こりゃしばらく立ち直りそうにないな。しばらくそっとしておいてやれよ」


「……ごめんなー……」


「しっかし、アンタらすげー仲良さそうなのに、裸見ただけでこの有様とか実はまだそんなに進展してないのか? ……てか、普通にいい体しててちょっとビックリした」



どういう意味だねラディア君。つーか裸見られても平気な仲ってなんだよ。

……あ、ああ、そういうことね、うん。……進展、できるといいなあ……。






『コケェェェエエエッ!!』





うわ、ビックリした!

なんだ今のでっかい声。ニワトリっぽい鳴き声だったけど、大型のニワトリ魔獣でもいるの……か……!?


声がしたほうを向くと、山のような巨大なクジラが見えたけど、驚くのはそこじゃない。




そのクジラとほぼ同じ超ド級サイズのニワトリが、クジラを踏みつけながら雄叫びを上げている光景がそこにはあった。




なんだあれ。



……えーと、あのニワトリの魔力反応に物凄く覚えがあるんですがそれは。

メニューさん、ちょっとあいつのステータス確認。








ヒヨ子


魔獣:★風船鳥


Lv63


状態:高揚 興奮 身体拡大(大) テイム(梶川光流)


【能力値】


HP(生命力) :9473/9473

MP(魔力)  :897/1354

SP(スタミナ):345/1151


STR(筋力) :5312

ATK(攻撃力):5312

DEF(防御力):4289

AGI(素早さ):542

INT(知能) :758

DEX(器用さ):314

PER(感知) :2784

RES(抵抗値):3987

LUK(幸運値):978



【スキル】

魔獣Lv7 爪術Lv10 鋭爪術Lv6 牙術Lv10 貫牙術Lv3 体術Lv10 極体術Lv7 拳法Lv7 投擲Lv4


【マスタースキル】

ドレイン・クロー

イート・ビーク

オーラ・トランス


【ユニークスキル】

バルーンボディ


装備

セーフティ・ネックレス

状態異常耐性付与


【称号】

格上殺し 怖いもの知らず 命知らず 蛮勇者 終焉災害事前討伐勇士 生き急ぐ者 魔獣キラー 魔獣ジェノサイダー 魔族討伐 スキルマスター 受け継ぐ者 人類の味方 グルメ魔獣 固有魔獣 風船の身体 千の壁突破 二千を超えて 三千世界へ 四千の海渡り 五千の空を 六千の星数え 七千階段を上り 八千代を繋ぎ 九千年を経ようとも










あー、あいつやっぱヒヨ子だったのか。

いやー、いつの間にかこんなに立派に育ってお父さんびっくりしちゃったぞーはははははー。


待たんか! いくらなんでもおかしいやろ!

なんらかの条件を満たした状態で進化して、固有魔獣になれたのは分かる。ここまではいい。


だが、まず能力値がヤバすぎる! 攻防力が一気に4~5倍くらいまで上がってるってどういうことだ!?

それになんだあのサイズは! いくらなんでもデカすぎるだろ! もう一緒に宿に泊まることもできそうにないんですがそれは。


≪現在、ヒヨ子の体積および能力値が変化しているのは、ユニークスキル【バルーンボディ】の効果によるものである≫


え、なにそれは。



≪【バルーンボディ】 自身の質量・体積を任意で自在に増大・縮小することが可能になるスキル。巨大化すればHP・ATK・DEF・RES・PERに大きく補正がかかるが、AGI・INT・DEXが反比例して減少する。縮小すればそれぞれ増減する能力値が逆になる。サイズの上限はレベルに応じて上がっていく≫



えーと、要するに今のヒヨ子は自分の身体のサイズを自由に変えられるってことか?

デカくなれば力強くタフになるけど動きが鈍く大雑把な動きになって、逆に小さくなれば小回りが利いてすばしっこくなるけど力が弱くて貧弱になるって具合かな。

……うむ、もうアイツだけで充分じゃないかな。



『コケェェェエエッ!!』


『ヴァギャァァァアアッ!!?』



今も、山ほどの大きさのクジラを殴るわ蹴るわの単純な攻撃だけで叩きのめしてるし。

並のサイズだけじゃなくて、デカい相手にも対応できるようになったのは戦力的に考えて非常に大きな進歩と言える。

気力操作を使えばさらに何倍も強くなるだろう。……あれ、もしかしてコイツ頑張れば黒竜くらいなら殺れるんじゃね?




『ヴァァァァァアアッ!! ……ガバァッ……!!』


『コケコッコォォオオオオッッ!!』




あ、最後のクジラも仕留めおった。てか鳴き声うるせーな。

結局、俺が倒した一体以外はヒヨ子が全滅させちまったな。よくやった。



『コケェェエエエッッ!!!』


「お、おい、あのニワトリまだ暴れるつもりみたいだぞ!?」


「ヒヨ子! もういいから落ち着きなさい!」


『コケェ! コケェェエ!!』



まだ暴れ足りないといった様子で地団太を踏んでいるヒヨ子をなだめるが、まるで収まる気配が無い。

いい加減にしなさい! てかマジでうるせぇんだけど! 耳がいったいわもう!



「暴れるなら魔族か魔獣相手に戦う時にしろ! 無意味に暴れるな!」


『コケェエエエッ!!』


「カジカワさん、全然聞いてねぇぞアイツ! てか、こっちに突っ込んでくるぞ!?」


『コケェェエエァァァアアッッ!!』





「……今すぐ落ち着かないと、お前の今晩のデザートカニミソにするぞ」




『コッ……!?……プシュルルルル………ピッ……』




静かな声で、ヒヨ子にとって最悪な脅し文句を告げると身体がみるみる萎んでいき、いつもの手乗りサイズのヒヨコへと姿を変えた。

しっかり聞こえてんじゃねーか。進化してテンション上がったのは分かるが頭を冷やせ。



「よし、御苦労。よく頑張ったなヒヨ子」


『ピピッ』


「……あんだけ暴れ狂ってたのをたった一言で止めたよこの人……」


「これだけクジラ肉があれば、皆の食料にはしばらく困らないだろう。お手柄だ、後で好きなだけクジラ料理食わせてやるぞ」


『ピッ!』



さっきまでとは似ても似つかぬ小さな身体で、嬉しそうに鳴き声を上げている。

頼むから肩に乗った状態のままで巨大化しないでくれよ。死ぬから。



「さて、アルマとヒヨ子も回収したし、レイナのところへ戻って合流しますかね」


「……アルマ姉ちゃんがまだ立ち直ってねぇぞ」


「……えーと、アルマ、ファストトラベルでレイナのところまで行くぞー」


「……ぅん」



消え入りそうな小さな声で返事をするアルマ。

そんなにすっぽんぽんな俺がトラウマなのか。ちょっとショック。


……? なんか鼻を覆ってる指の間から血出てない? え、のぼせただけ? 大丈夫か?








レイナのところへファストトラベルで戻ると、さながら野戦病院のように慌ただしく人が動いている。

どうやら、レイナが影潜りで避難させておいた人たちを集めて、住民たちの治療と介抱をしているようだ。



「回復ポーション持ってる人いないっすかー! この人、かなり危なそうなんすけど!」


「うぅ……腹が……はらが……」


「おい、しっかりしろ! 腹がどうした、痛いのか!?」


「腹が……減った……」


「ベタ過ぎるだろ!」



……住民たちも割と余裕ありそうだな。

でもお年寄りや小さな子供は結構ヤバそうなのが何人もいるようだ。


あ、対魔族軍の隊長と副隊長もいるじゃん。

街の住民の手を取って、声をかけているのが見える。



「お、おお、お前は……」


「おっちゃん、分かるか。俺だよ」


「ジ、ジャン、……名前なんだったっけ……?」


「いやそこは覚えていてほしかったなぁ俺……」


「隊長、涙拭いてください。再会が嬉しいのは分かりましたから」


「いや名前忘れられてて悲しいだけなんだが……」



……そこそこ深刻な状況なのに、あちこちでコントじみたやりとりが見られてイマイチ緊張感が湧かない。

生命力操作で回復させてから炊き出しでもして、住民たちに栄養補給をさせますかね。




お読みいただきありがとうございます。



>なるほど、パイルバンカーか


パイルバンカー(意味深)やめーや。


>ヒカル、お前もまたこのパターンか!!(笑―――


主人公がまともにカッコイイ姿見せるのはなんかこう解釈不一致というか(ry

アルマは別に怒ったりはしていないようですが、ちょっと軽く限界化してしまって出血した模様。


>アルマ「ヒカルのお父さんよりおっきい。」


それ言うとアルマパパの脳が破壊されるのでアカン。


>お巡りさーん、この人です!―――


やめたげてよぉ!

ヒカルの登場シーンというと、ニワトリの頭を吹っ飛ばしたりオオカミを蹴り飛ばしたり熊の頭を殴って粉々にしたり、……ロクな登場シーンがねぇ……。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 9/5から、BKブックス様より書籍化!  あれ、画像なんかちっちゃくね? スキル? ねぇよそんなもん! ~不遇者たちの才能開花~
― 新着の感想 ―
[良い点] アルマ、お前ムッツリやったんやな……! きっといざとなれば限界超えて逆に攻め攻めになり……、なり………………なって欲しいなぁ…… [気になる点] ラディア君の言ういい体が筋肉に関してなのか…
2024/02/01 17:31 退会済み
管理
[一言] アルマちゃんは、すごい想像力(意味深)を持っているフレンズなんだね。
[一言] バルーンボディ...風船...破裂...あっなんだいつもの事か
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ