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またこのパターンか

新規の評価、ブックマーク、誤字報告、感想をいただきありがとうございます。

お読みくださっている方々に感謝します。



勇者君にあのヘビ公どもを始末するまではこっちくんなと注意されたが、レイナに危機が迫っているとなるとそうも言ってられない。

まあ、一応ぶちのめしてその死体の大部分は解体しながらアイテム画面に放り込んでおいたが、解体してる途中で『レイナが危ない』とメニューさんに警告されたもんだから一部置いてきちまった。……後で回収しておこう。


で、その際に返り血を浴びまくったままの状態でファストトラベルした結果、レイナにホラー映画さながらの叫び声で怖がられる始末。

こんな状態じゃ無理ないとはいえ、助けにきた相手にそのリアクションはどうかと思うの。



「……何者だ、貴様……!」


「黒髪の手練れってことは、まさか勇者ってやつか? こりゃまた大物が釣れたもんだ」



俺を見ながら残った二体の魔族が呟く。ちゃうわ。つーか今代の勇者金髪やぞ。

つーかさっき殺った奴らもだけど、こいつら結構強いな。幹部か? いや、幹部は一つの大陸に一体だけのはずだが、はて。



「まあいい、この場で倒しても大した意味はないだろうが、ひとまず排除させてもらおう!」


「真魔の力、受けてみろやぁっ!!」



二体の魔族の能力値が倍化したのが確認できた。真魔解放か。

んー、幹部じゃないけど幹部と同等クラスのステータスを持った魔族ってことか?

今まで見てきた幹部以外の魔族は大体Lv50以下の雑魚ばっかだったのに、ここにきて急に格が上がってんな。



ま、むしろレベルが高いほうが好都合だけどな。経験値的な意味で。



「さあ、死ぬがい  ゴパッ!!?」


「あん? おい、どうし、た……!?」



二体の魔族のうち、一体の頭が前触れなく弾け飛んだ。

まあ、魔力の遠隔操作でパイルを頭にブチ当てただけなんだけども。


ふむ、能力値は高いが、鬼先生やアルマの御両親みたいに目に見えない魔力を感じとったりはできないのか。

なんというべきか、勘が鈍いという印象を受ける。というか実戦経験が浅いのか?



「て、めぇ、なにしやがったぁああああ!!?」



目を見開き、恐怖と怒りがないまぜになったような顔で殴りかかってきた。

余裕で避けられるけど、あえて顔面でまともに受けた。


え、なんでかって? 効かないし。つーか、今の俺を殴ったりしたら、ねぇ?



「なんなんだテメェは! まともに喰らったのに、なぜ死なない!? ……な、て、手が、熱、あ、溶けて、う、うがぁぁあああ!!?」



俺を殴った拳が、みるみる溶けて崩れていく。あらら、ご愁傷様。

並の人間が一滴でも触れたら即死するヨルムンガンドの猛毒血液に触れれば、そりゃそうなるわな。


そのまま手に纏わりついてる毒血を、まるで手洗いの後に水を切るように振り回して魔族に浴びせてみる。



「ほれほれー、パッパッパ」


「ひぎゃぁぁぁあああっ!! やめ、やめろォぉぉおおおっっ!!!」



毒血がかかるたびに、魔族の身体がどんどん腐って崩れていく。

こんなもんに塗れてるのに、よく無事で済んでるな俺……。

あんまり苦しませるのも可哀想だし、さっさと楽にしてやるか。


悶え苦しんでいる魔族の首を魔刃改で斬り落として、状況終了。ちゃんちゃん。



「やれやれ。レイナ、怪我は無いか?」


「はいっす。おかげさまで無事っすよ」


「なら、よし。……ちょっとごめんけど身体洗ってきていいかな。全身が猛毒塗れのままだと近付くのも危険だから」


「いいっすけど、カジカワさんいったいなにやってたんすか……?」


「ちょっとヤバめのヘビ型魔獣の討伐やってました。あ、俺に付いてた血には絶対触るなよ。死ぬぞ」


「こ、怖いっす……。てかなんでカジカワさんは無事なんすか……?」



とりあえず、地下にいる人たちの解放と介抱はレイナに任せるか。いや別に寒いギャグ言ったわけじゃ(ry

勇者君も地下に向かっているみたいだし、手が足りなくなることはないだろう。


ひとまず、俺はひとっ風呂浴びてきますか。

銭湯とかじゃ毒に汚染されちまうし、自分で魔力操作で簡易風呂でも作って洗うかな。

というわけで、目立たないところまでファストトラベルといきますかね。












~~~~~ヒューラ視点~~~~~












「やれやれ、どこもかしこも魔族だらけだね。暴れ放題で気が楽というか、味方がほとんどいないから心細いというか」


「いや、お前いっつも一人で暴れまわって仲間と連携なんかできねぇだろが。一緒に戦ってて軽く2、3回くらい死ぬかと思ったぞマジで」


「あはは、ドンマイドンマイ」


「いやお前のせいだからな!? なんで俺が足手纏いになって死にかけてるみたいな反応してんだよ!」



孤立した状態で魔族に囲まれてた時は、面食らったのと同時に胸が躍ったもんさ。

これなら、誰も巻き込まないで思いっきり暴れられるってもんだからね。

ガナンと合流してからは少しは気を使いながら戦ってたつもりだけど、やっぱ他人との連携は苦手だねぇ。



「他の奴らもさっさと見つけてやらねぇと、さっきみたいに囲まれて袋叩きに遭っちまうだろう。早く合流しないとな」


「別にあたしは一人でもいいけどねぇ。こんくらい普通に切り抜けられるだろ」


「普通の奴は単騎で数十体もの魔族とやり合えるほどタフじゃねぇよバーサーカーが。心配なのはお前じゃなくて他の奴らだっての」


「はいはい。……ん? なんだいありゃ」



遠くに、列になっている人影が見える。

対魔族軍の行軍かなんかかと思って千里眼で確認してみたが、なんだか様子がおかしい。



「並んでる奴ら、なんというかどいつもこいつも死んだような目をしてるねぇ。顔に生気が無いし、足取りもおぼつかない感じだ」


「老若男女問わず、全員同じほうへ向かってるみたいだな。……引率してるあの女、なんだか気配が禍々しいが、魔族か?」


「みたいだねぇ。覇気のない顔つきの奴らばっかりの中で、一人だけニヤニヤ笑ってやがるし」



洗脳でもして引率してんのか? いったいなにをするつもりなのやら。

まあ、普通に考えたら同士討ちを狙うために捨て駒にするための人間を回収しているって考えるのが自然だろうけど。


あ、よく見ると対魔族軍の女隊長まで一緒についていってるじゃないか。

あっさり取り込まれやがって。頼りにならないねまったく。



……ちっ、嫌な状況だね。

連れている人間を人質にでもされたら身動きがとりづらい。


不意打ちをしようにも、あの女魔族は相当な手練れに見える。おそらく、第5大陸で見た魔族の幹部よりもさらに強い。

あたしとガナンだけじゃ、ちときついか。



……性には合わないけど、ここは後をつけてどこへ行くか様子を見るとするかね。




「! おい、あれ!」


「ん、なに?」



ガナンが指さしたほうを見てみると、洗脳されているであろう人間たちの中の一人が目に入った。

……あれは……!?




「なにやってんだい、アラン……!」


「まさか、アイツも洗脳されてんのか……?」















~~~~~アルマ視点~~~~~











レジスタンスのアジトから私が向かったのは、『巨大なクジラとニワトリが争っている場所』だ。

レジスタンスたちからは止められたけど、どうもこの『ニワトリ』というのがヒヨコである気がしてならない。

というか、十中八九そうだと思う。この先に感じられる魔力は、ヒヨコのものと同じだから。


ただ、感じられる力がとてつもなく大きい。

まさか、進化したんだろうか。それも、大型の魔獣に。

……サイズ差が大きい相手に対抗するために大型の魔獣に進化したのは分かるけど、今後色々と不便になりそう。



そこに辿り着くまでの道中でも、魔族たちは絶えず襲撃をしてくる。

レベルはそれほど高くないけど、こう何度もこられるとさすがに消耗が激しい。



「あ、ようやくクジラっぽいのが見えてきたけど、……なんだあれデカすぎだろ」


「大きい……多分、Lv80は超えてると思う」



一緒についてきてくれたラディアが唖然とした顔でクジラを眺めている。

なるほど、あそこまでサイズが大きいと、ヒヨコのサイズじゃ仕留めるのは難しそうだ。



そういえば、ヒヨコはどこ?






『コッケェェェェェエェエエエエエッッ!!!!』






「いぃっ!?」


「……っ!」



ビリビリと、空気が引き裂かれるような爆音があたりに響いた。

耳を塞がなければ、そのまま鼓膜が破れて気絶してしまいそうなほどの、とてつもない絶叫。


今のは、ニワトリの鳴き声? ということは……



っ!?




『ヴァヴォァァァァアアッ!!』





こちらに向かって、クジラの一体が突進してきた。

まずい、すぐに【大地剣】で迎撃!




「ぐうぅぅう……っ!!」


『ヴァァァァアアアアアッ!!』




見た目通り、すごい重さだ。

なんとか大地剣で巨大化させた剣を突き立てて突進を止めることはできたけど、このままじゃまずい。

ラディアも相当消耗しているから、魔力を譲渡されても大して意味がない。




『ヴァヴゥッ!!!』


「うあぁっ……!!」




いけない、【轟突進】で無理やり押し込んで潰すつもりだ。

このままじゃ、私も、ラディアも潰される―――――



いや、大丈夫だ。


だって










「またこのパターンか。……いい加減にしろやテメェら!!」








さっきのニワトリの絶叫並みの爆音が、クジラの頭部から聞こえてきた。

これは、『火力特化パイルバンカー』の音……?



ああ、やっぱり、来てくれた。


一人じゃ、自分一人の身すらまともに守れない私を支えてくれる、彼が、来てくれたんだ。




「ヒカ……っ……」




名前を呼ぼうと、ヒカルを見た瞬間に、私の身体は凍り付いたように硬直してしまった。





「か、カジカワさん、その恰好は、いったい……?」







そこには、一糸纏わぬ姿の、産まれたままの姿のヒカルが、全身びしょ濡れの状態で佇んでいたから。







「~~~~~~~~~っっ!!!!」





声にならない叫びが、私の口から発せられた。

さっきのニワトリより、さっきの爆音よりも甲高く大きくあたりに響き渡った。




「……あ、ごめん。いやちょっと風呂入ってたもんだから決して露出趣味があるわけじゃあのスミマセンこっち見ないでホント違うんです誤解なんですよぉぉおお!!」




お読みいただきありがとうございます。



>今のヒカルさんキャ○ー状態?―――


むしろDMC3の魔獣の腹から出てきたダ〇テ的な。

ヒヨ子の出番はまた次回にて。


>人間vs魔族vs血塗れのやべーやつ vsダークライ


異物混入で草。

てか血塗れの彼が人間にカウントされてないのがもうね。


>血の滴るヤベーおっさん


今は水も滴るオッサンに軟化したよ、やったね!

なお隅から隅までバッチリ見られた模様。……もしもし、ポリスメン?


>何故だ…!!せっかくのヒヨ子のピンチの時にできなかった―――


という意見があったので、もっかいやり直し。

その結果がコレだよ。どうしてこうなった。

ここんとこシリアスばっか書いてたから、バランスとるために変なもんばっか書いてるような……(;´Д`)

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 9/5から、BKブックス様より書籍化!  あれ、画像なんかちっちゃくね? スキル? ねぇよそんなもん! ~不遇者たちの才能開花~
― 新着の感想 ―
[良い点] いよぉっし!見たな?アルマ見たな?オッサンのオッサンを!! 描写がねぇからわからんしとりあえず腹筋割れてるかとか努力値がちゃんと体に出てるかとか股の間に生息のゾウさんがどのくらいかとか満足…
2024/02/01 17:18 退会済み
管理
[一言] 致死毒塗れになったとおもったら、今度は裸族になって登場 変態性は増すばかり、か
[一言] お巡りさーん、この人です! 梶川さんは、まともな登場の仕方した事あったかな?笑
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