何度も何度も
新規の評価、ブックマーク、誤字報告、感想をいただきありがとうございます。
お読みくださっている方々に感謝します。
今回始めは、黒竜をNTRれたもとい奪われたラーナイア・ソウマ視点です。
何度も、何度も、こんな奴と一緒にいるのは嫌だと思った。
いらぬ面倒事やトラブルを日常的に引き起こす問題児。スキルがあっても手綱を握れないほどのじゃじゃ馬ぶりで、ストレスでいつ胃に穴が開いてもおかしくないほどだった。
「う、ぁぁあああああっ……!!」
『ガァァァァアアアアッ!!!』
私がいくら鬨の声を上げようとも、黒竜の咆哮にかき消されてしまう。
当たり前だ。竜と人では身体の造りそのものが違う。なにもかも、黒竜には遠く及ばない。
なんだかんだ言って戦闘面では頼りになるし、王国の主力と言っていいほどこれまで多くの脅威から我が国を守ってくれていた。
何百年も、勇者リョータとの約束を守り続けてきていたんだ。
黒竜の奔放な性格に胃を痛める私を、なにかと気に掛けるくらいには温情はあった。
ストレスの原因のコイツに気を使われても、余計に苛つくだけだったが。
もうコイツの飼い主など御免だと、思わない日のほうが少なかった。
だが、それでも切っても切れぬ縁があると、心のどこかで諦めに似た確信があったのもまた事実だったのだ。
本当に私のもとからいなくなることなど、考えたこともなかった。
いつか引き継ぐその日まで、コイツに付き合うくらいはいいと、思っていたのに。
もう、黒竜との繋がりが感じられない。
テイムを強制的に上書きされたらしく、ただ吠えながら破壊を撒き散らすだけの黒竜を見ていると、ひどく歯痒い。
「私と一緒にいる時よりも、ずっと強くなっているな。……私では、お前の主は務まらないというのか……」
『ガァッ!!』
黒竜の口から、ブレスが放たれる。
【ホーミング・ドラゴンブレス】か。相手を追尾する魔力弾を複数放つ、竜族スキル。
鳥型の魔獣の群れなどによく使っていたな。……今、私の使役している魔獣たちを撃ち落としているように。
一発一発が、私を殺すのに充分過ぎる威力。
避けられん、逃げられん……!
『キガァァァアア!!』
『ギャィァァァアアアア!!』
「! お、お前ら……!?」
使役している魔獣たちが指示もなく私を庇い、ブレスに焼き尽くされていく。
……済まん、感傷に耽っている場合ではなかった。そのせいで隙を晒して、お前たちを死なせてしまった……!
もう、駄目だ。
あわよくば、またこちらに戻ってきてくれるとでも思っていたのか、私は。
このままでは、他の者にも被害が及ぶ危険があるというのに。
……倒せはしないだろうが、せめて手傷を負わせてから、他の者たちが倒してくれることを祈るしかない。
「済まない、どうやらここまでのようだ。……私も一緒にいくから、最後まで付き合ってくれるか?」
『キィッ……』
私が乗っている鷹型魔獣の頭を撫でながら、優し気に残酷な言葉を述べた。
それを、顔を顰めながらもシルバーホークは了承してくれた。……済まない。
テイムスキル技能Lv9【爆獣弾】。
使役している魔獣を使い捨ての爆弾と化して、超高火力の爆発を引き起こす。
今まで一度も使ったことはないが、もうこれしか黒竜にダメージを与えられる見込みがない。
頭まで接近して、シルバーホークを爆発させる。
……私もろともな。
「黒竜、覚悟しろっ!!」
スキルを使い、機動力を大幅に引き上げて不規則な軌道で飛び、撹乱。
能力値で負けていようとも、こちらのほうが小さい分小回りが利く。
ブレスの弾幕を避け切れば、接近することができるはずだ。
「……っ!? これは……!!」
弾幕を越えた直後、私とシルバーホークに暴風が襲いかかってきた。
【ドラゴン・ウィング】か! まさかここまで的確にスキル技能を使ってくるとは!
ただ操っているのではなく、黒竜の戦闘経験を活かしたまま支配しているというのか……?
い、いかん、身動きがとれん!
このままでは、いい的になるだけだ!
黒竜の口に、ブレスの前兆の光が集束していくのが見える。
考えろ、考えろ! 今、私にできることはなんだ……!?
……駄目だ、どう考えても、詰んでいる。
黒竜がいなければ、私はこうも無力で無能なのかっ……!
ブレスが、あと一秒ほどで放たれるというところで――――
急に、ブレスを放つのを中断したのが見えた。
そして
耳を劈くような、鋭く甲高い音が鳴り響いた。
黒竜の首元に【ドラゴン・スケイル】が展開されているのが見える。
スケイルを発動させるために、ブレスを中断したようだ。
そのスケイルのすぐ傍に、人影が見えた。
黒竜の首元に、手刀を押し当てている。
「ちっ、防いだか。首を落としてやろうと思ったのに、やっぱ頑丈だなこのウロコは」
『……!?』
「まあ、もっと強化すりゃ関係ないけどな!」
人影が、黒竜の顔面に拳を繰り出した。
この世のどんな盾よりも頑丈なはずの【ドラゴン・スケイル】をいとも容易く砕きながら、顔面を思いっきり殴りつけた。
素手で、無造作に。
あれは、王宮で見た………『飛行士』、か?
~~~~~飛行士視点~~~~~
アルマのもとまで飛んでいって、ようやく会えたと思ったらいきなり『ラーナイア・ソウマを助けてほしい』と言われた。
なんでも、黒竜に襲われているところを命がけで逃がしてくれたとかなんとか。
その黒竜の元飼い主だし、以前やったことを考えると助けてやるのは正直遺憾だが『直々に謝ってきたし、なによりこうやって助けてくれたから、ここで死なせたくない』ってさ。
……しゃーない、本人がそう言ってるなら、もうこれ以上俺がとやかく言う筋合いはないか。
ただし黒竜、テメーはダメだ。
元飼い主に対しても容赦なくブレスを放とうとしやがったな。
本当に魔王の狗に成り下がったか。ならもう容赦する必要はないよな?
ここで解体して身一つ残さず食肉にしてやる。
その前に、邪魔者を排除しとかないとな。
ラーナイア・ソウマのところまで魔力飛行で急接近してから、ここから離れるように
「邪魔だ。さっさとどこかへ行ってろ」
「飛行士殿……」
「お前が魔獣草原でアルマを危険に晒したことは、正直言って今でも許しがたい」
「……その節は、申し訳ありませぬ。ですので、私の身など放っておいてどうか貴方のほうこそ避難をしていただきたい」
「……だが、アルマはお前を助けてほしいと言っていた。だから――――」
「そぉいっ!!」
「ぶほぁっ?!!」
ソウマの顔面に、平手打ちをかましてやった。
死なない程度に手加減してやったが、歯が2、3本折れたっぽい。……ちょっと強すぎたかな。
平手打ちのショックで気絶したソウマを、銀色の鷹が心配そうに見つめている。
「ウダウダ言ってないではよ消えろ。邪魔だっつってんだろうが。おい、そこの銀色の鷹。コイツを乗せて死ぬほど遠くまで飛んで逃げろ」
『ク、クキィィ……!』
「仕方ないだろ、ダラダラと会話してる暇なんかないんだっての。いいから行け!」
主人を殴られて怒ってるのは分かるが、緊急事態だ。許せ。
こちらを恨めしそうに睨む鷹を宥めつつ、避難するように促す。
その甲斐あってか、渋々ながらソウマを乗せて飛んでいった。
さて、後はコイツをぶちのめすだけか。
っ!
『グルゥ……カァァァァ………!!』
黒竜から感じる力が増して、溢れて、膨れ上がっていく。いや、身体そのものがデカくなってる……!?
この感じ、高レベルの魔族や魔獣と同じで能力値を倍化させるスキル技能か?
≪竜族スキルLv10技能【真竜化】 一部を除き、能力値を2~3倍に上昇させ、さらにサイズを巨大化させる技能。魔王から『リソース』を譲渡されて強制的にレベルアップさせられたことで習得した技能の模様≫
……2~3倍とな? マジすか?
ちょっと、ステータス確認。
竜族:ブラック・ドラゴン
Lv81
状態:【真竜化】 テイム(魔王)
【能力値】
HP(生命力) :10340/11489
MP(魔力) :4214/6783
SP(スタミナ):3655/4130
STR(筋力) :17067
ATK(攻撃力):17067
DEF(防御力):16453
AGI(素早さ):8795
INT(知能) :3412
DEX(器用さ):1983
PER(感知) :5847
RES(抵抗値):8425
LUK(幸運値):512
【スキル】
竜族Lv10 体術Lv10 極体術Lv10 牙術Lv10 貫牙術Lv10 爪術Lv10 鋭爪術Lv10
【マスタースキル】
ドラゴニック・エンペラー
オーラ・ミティゲイション
オーラ・ヒール
バイタル・タスク
金剛牙
熔焔爪搔
ディザスター・クロー
……ヤバい。
魔王ほどじゃないが、頭おかしいレベルの能力値とスキル。さらにマスタースキル7つとかアホかと。
こりゃ俺か勇者君じゃなけりゃ倒せねぇな。
よくこんなのを捨て駒として運用する気になったもんだ。
まあ、俺がすることはなにも変わりないんだけどな。
「いくぞ、クソトカゲ」
『グゥォォォオオオアアアアッ……!』
気力操作で能力値を20000程度まで強化し、速攻でブチ殺す。
俺がするべきことは、それだけだ。
『ガァァァァアアアアアッッ!!!』
「死ねぇぇぇぇえええええああああああっっ!!!」
互いに至近距離まで接近し、ブレスと火力特化パイルを撃ち合う。
何度も、何度も、空に赤黒い花火のような爆発が起こる。
周囲の山が消し飛び、地面が抉れ、天変地異でも発生したかのように滅んでいく。
……我ながらちょっと環境破壊しすぎじゃないですかね。
戦いが終わるころには、この周辺草一本残ってなさそうだなー……。
お読みいただきありがとうございます。
>迷惑だったら辞めますけど。
いえ、むしろ楽しみながらツッコミ入れさせていただいております。
>超兄貴RPG(なおR-18)
超兄貴ってSTGだったような。やったことないけど。
>最近の流行は"首狩り"のようですね~
そんな物騒なトレンド嫌だ(;´Д`)
なお主人公は流行に乗るのに失敗した模様。




