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それぞれの、決戦前夜

新規の評価、ブックマーク、誤字報告、感想をいただきありがとうございます。

お読みくださっている方々に感謝します。


今回はセリフのみで、しかも視点がコロコロ変わります。

読みづらかったら申し訳ありませぬ(;´Д`)





「……来たか、アラン」


「ああ。今日、アンタからその剣を譲り受ける」


「譲るつもりはない。欲しければ、力ずくで奪い取ってみせろ。そう教えてきたように、今までそうしてきたように」


「無論、そのつもりだ。構えな」


「待て、なんだその木剣は。真剣勝負でなくそんな玩具での打ち合いで―――」


「俺はこれでいい。アンタはその剣を使えばいいさ」


「……なんだと?」





「アンタにゃこれで充分だっつってんだよ、叔父貴。いいから構えろよ、魔族相手に尻込みしてる腰抜けに持たせて錆びつかせるにゃ、その剣はあまりにも勿体ないぜ」


「っ! 吠えたな、尻の青い餓鬼がっ……腕の一本くらいは覚悟しろ!」








~~~~~








「なあ、ラスフィ。魔族との戦いが終わったらさ―――」


「ストップだ。それ以上言うな、死ぬぞ」


「……は? なんでだ?」


「歴代の勇者が、大きな戦いが終わった後のことを戦いの前に言う奴は高確率で死ぬと全員が口を揃えて言っていたらしい」


「いや、たまたまだろ……?」


「私もそう思っていたのだが、勇者に向かって『この戦いが終わったら結婚してください』と言っていた兵士の顔から急に死相が現れたと、街の占い師が言っていてな……」


「なんだそれ怖えなオイ!?」


「だから、戦いの後のことは終わった後にゆっくり考えればいいさ」


「お、おう。……ところで話が変わるが、あの『カジカワ』とかいう奴から変な装備を渡されたんだけどよ」


「む、届いたか。ふふ、ラディアが使っていた籠手を作った職人作の一品だ。お前も今日のうちに使うのに慣れておけ」


「あー、あの爆発する籠手の? ……アレ、下手したら使ってるほうの腕がぶっ飛びそうなんだがなぁ、怖ぇよホント……」


「ハイリスクハイリターンだが、上手く使いこなせれば強力な武器となるだろう。これも勝って生き残るためだ、こらえろ」


「へいへい。……それにしてもあのカジカワって野郎の声、なーんか聞いたことがある気がするんだよなぁ……前にどっかで会ったっけ?」







~~~~~








「うひ~ひひひ、ラディアさんちゃんとのんでるっすか~?」


「飲んでねぇよ、つーかレイナ飲みすぎだろ。二日酔いになったりしたら明日の戦争どうする気だよ」


「だいじょーぶっすよー。きょうはもうこれでおねむっすー。……ところで、なんでそんなこわいかおしてるんすかー?」


「! ……怖い顔、してたか?」


「はいっすー、おこったカジカワさんよりはこわくないっすけどねーへへへー」


「あの人と比べんなよ。……ちっと、考え事しててな」


「んー? もしかして、おにいさんのことっすかー?」


「……」


「こないだ、そのひとのせいでしにかけたっていってたっすけど、まだきずがいたむんすかー?」


「いや、カジカワさんに治してもらったから大丈夫だよ。……ただ、もうホントにアイツは後戻りできないくらい堕ちちまったんだなって思ってな」


「そっすねー。かぞくをないがしろにするやつなんかさいていっす。じぶんもちちおやにうりとばされそうになったことがあるっすから、どれだけショックかよくわかるっすよ」


「え、今なんつった? 父親に、売り飛ばされ、え?」


「あのときはまだよわくてにげるしかなかったっすけど、こないだじぶんをおってきたアイツとあったときにはカジカワさんにちからをかしてもらってボコボコにしてやったっす」


「そ、そうか……お前にも、つらい事情があったんだな」


「ウジウジなやんだり、あいてをかいしんさせようとかむずかしいことかんがえるまえに、まずおもいっきりぶつかってボコボコにしてやればいいんすよ。そうすれば、どれだけこっちがおこってるかわかるだろうし、きぶんもスッキリしていいことずくめっす」


「……元からそのつもりだよ。あんのクソ兄貴は、思いっきりぶん殴ってやんなきゃ気が済まねぇ……!」


「そのいきっすよー。というわけでラディアさんもきょうはのみましょーへへへー」


「いや、だから飲まねぇしお前ももうこれ以上飲むのはやめとけ! また二日酔いで寝込んじまうぞ!」







~~~~~








「うふふ、うふふふふ、ネオラさん、ネオラさんがいっぱいですぅ……」


「なーにいってんのよぉ、ネオラは3人しかいないでしょぉへへはほほほ」


「いや一人しかいねぇよ! 二人とも酔っぱらいすぎだろ!」


「んんふふふ、ふれーこーぶれーこー、ネオラ君ももっと飲みなよー」


「いや、なんでアイナさんまで混じってんだよ! いつからここに!?」


「別にいいでしょー、それより飲んで飲んでー」


「ほらぁ、飲みなさいよぉー」


「なんでそんなにグイグイ飲ませようとしてんだよ……?」


「飲まないなら、口移し、しちゃーうぞ?」


「待った、飲みます。飲むからやめてください」


「だ、だめれふ、くちうつしなんてはしたない! それならわらひがひまふ!」


「え、ちょ、オリヴィエ? め、目が据わってるんだが……? んぐっ……ん、んんんっ?!」


「あ゛ぁぁぁああ!? ちょっとなにしてんのよ! ぐぬぬ、私より先に……! こうなったら私も!」


「アタシもー!」


「んくっ、んんっ! ぷはっ! はぁ、はぁ……! ち、ちょっと! やめ、へ、ヘルプ! 助けて! 誰かタスケテェェ!!」







~~~~~







「……アランにはああ言ったが、下手すりゃ今回の戦いが儂の最後の戦場になるかもしれんのぉ」


「まだ折り返しではなかったんですか」


「いやぁ、それがな、最近は日に日に身体が錆びついているかのように、思うように動かなくなっていっとるんじゃよ。こないだの魔王との戦いも、まるで力が出せなんだ」


「それであれほどの剣技を振るえたのなら充分ですよ。しかしそう言うなら、残る時間は安らかに過ごしていただきたかったのですが」


「儂の死に場所は寝具の上ではなく、戦場じゃ。まあ、儂がおらんでも若手が粒揃いのようじゃし、大丈夫じゃろうけどなぁ」


「少々、生き急いでいる子たちばかりですがね」


「お前の娘も、その連れもな。生き急がねば、死に追いつかれる。なんとも忙しない状況じゃ」


「……酒精はここまでに致しましょう。明日から、悔いなく剣を振るうために」


「おう。……よき酒の席であった。注がれる酒も、つがれる者たちも、な」




「うっぷ……の、飲み過ぎた……!」


「ヒューラ、いくらなんでも飲み過ぎだ! お前いったい何升飲んだんだ!?」


「さ、三升?」


「いや、お前の酒瓶が5,6本転がってるんだが、どう見ても三升どころじゃないだろ。まさかこれ全部一人で空けたのか……?」


「う、だ、ダメだ、ガナン、エチケット袋もってき……ううっ……!」


「オイ待てここで戻すな耐えろダメだここで吐くなってぇぇぇええ!!」




「……やっぱあんまよくなかったかもしれんの」







~~~~~







「明日は、いよいよ第3大陸か」


「ええ。……やっと、故郷を取り戻す時がやってきましたね」


「そうだな。もう取り戻せないものも山ほどあるんだけど、な」


「私は、今でも昨日のことのように覚えています。あの日、街が、人が、故郷が焼き尽くされていったことを」


「俺もだよ、ナクラム。……今度は、奴らを同じ目に遭わせてやる番だ」


「二度とあんな虐殺を許さないためにも、精一杯頑張りましょう」


「おう」




「ですので、早く書類の処理くらいはしてください、ジャングラジマー隊長殿」


「……明日から戦争なのに、なんでこんな雑用なんかやらなきゃならないんですかねぇ、ナクラムラダ副隊長」


「私の分はもう済みましたので、お先に失礼します」


「ちょっとは手伝ってくれよぉ! 明日に響いたらどうするんだよぉ!」


「ずっと雑務を溜めていた隊長が悪いってだけでしょうが! いいからキリキリ書きなさい!」






~~~~~







「ヒカル」


「んー、なにぃ?」


「私もこんな、酔ってる時にしか言えなくて、ごめんけど、ね」


「んんー……? どしたの?」












「あなたが、大好き」


お読みいただきありがとうございます。



>くっ一話感想書くのを忘れてしまった。


ご無理なさらず。


>カジカワさんとアルマの関係に進展がありそうで嬉しい。――――


ほんのすこし、続いていました。

この後は無意識にベッドまで足を運んで寝ただけです。なんもありません。ええ、ホントに。

……洗n関連云々は、また後のお話にて。待て次回。


>あとがきがなげえ


こうしてコメ返しをさせていただいております故、どうかご容赦を。

読みづらくてかなわんという声が多ければ、個別返信に切り替えることも考えておりますが……(;´Д`)

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 9/5から、BKブックス様より書籍化!  あれ、画像なんかちっちゃくね? スキル? ねぇよそんなもん! ~不遇者たちの才能開花~
― 新着の感想 ―
[一言] 良かったな、ネオラちゃん君 女の子達にモテモテやぞ まあ、凄まじく酒臭い状態だがな それはそうと酔ってたせいで忘却される告白シーン・・・なんとまあ
[一言] 1人カラオケで5時間歌って来ました、楽しかったです、 別にボッチじゃないですから、ただ暇だったから行っただけで友達居ますから。
[一言] さらっと流されるヒロインの重要な場面
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