キレやすい最近の若者
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剣王二人の猛攻を、辛うじて防ぐ。
ギリギリとはいえ、魔王とやり合っただけあって半端じゃない連携攻撃だ。
「どうしたぁ! そんなもんで魔王を倒せると思うか小僧がぁ!」
「いや、魔王倒すのは勇者の役目ですって! 俺よりまずネオラ君のほうを鍛えてあげてくださいよ!」
「ネオラ君たちは今レベリング中だそうだ。新しく覚えた勇者専用スキルの慣らしも兼ねて、Sランク魔獣が大勢生息するテリトリーで暴れてるとか言ってたな」
チクショウメェ! こんな時に限って!
……いや、でもまあ後のことを考えると少しでもレベルを上げてくれるのは正直有難いか。
「ふむぅ、儂とデュークの攻撃をしのぐとはなかなかやりおる。アランの恋敵だという話じゃったが、こりゃちっとアランにゃ厳しいかもしれんのぉ……」
「ハハハなにをおっしゃりますかスパディア様私の娘を預けるにはまだまだ二人とも力不足ですよはははははハは」
「白目で乾いた笑いを漏らすのはやめい、気色悪いわ」
じい様が余計なこと言ったせいで、アルマパパの攻撃が3割増しくらい激しくなった気がする。誰が恋敵だ。
わざとか、わざとなのかこのじい様。そんなにアルマパパに俺を殺させたいのかこの野郎。
……話題を変えるために、組手をしながら話をふってみるか。
「そういえば、お二人も21階層に行ったことがあるのならなにか『持ち帰って』いたりはしないんですか? 魔王相手に使えそうなアイテムとか」
「あー、申し訳ないが戦闘用のアイテムは一切手に入れていない。なんというか、用途に困る物ばかり手に入ってね……」
「たとえば? もしかしたら意外に有用なものがあるかもしれませんよ」
「ううむ、といっても『一錠につき24時間だけ性別が入れ替わる謎の錠剤』とか『ジャガイモを中に入れると同質量のサツマイモに変わる麻袋』とか、魔王攻略に役立つと思うかね……?」
「……やっぱダメそうなんでいいです」
……前者は融合状態の勇者君に好まれそうだが、どんな副作用があるか分かったもんじゃないし黙っとこうか。
元に戻った時に性別が入れ替わったまま治らなくなったりしたら最悪だし。
それから1時間ほど稽古を続けていたが、アルマたちもそろそろ息が乱れ始めている。
これ以上は明日に響くのでそろそろお開きにしておこう。
……と言ってみたが、じい様がまだ続けたいとゴネておられる。どんだけ元気あんだよ……。
「ふははは! やめたいのなら儂を叩き伏せて止めさせてみるがいい! あるいは儂がぶっ倒れるまで付き合ってもらおうか!」
「いや、だから明日の戦争前に体力使い果たしてどうするんですか。暴れたいなら明日魔族にでも思いっきりぶちかましてやればいいでしょうが」
「否! 魔族なんぞよりお前のほうがよほど滾るわい!」
「……ヒカル君、どうする? 思った以上にスパディア様の興が乗ってしまったようだが」
「ファストトラベルで逃げたりとかは―――」
「その後、欲求不満に陥ったスパディア様の相手を私たちがしろと? 勘弁してくれ……」
「連れてきたのはお二人でしょう。それくらいなんとかしていただけませんかね」
「聞こえとるぞー。今逃げようもんなら戦争中にでも喧嘩ふっかけてやっからのー」
ボソボソとアルマパパと小声で話しているところを剣でツッコミ入れてくるじい様。危ないからヤメロ。
こりゃ下手に逃げたりしたらどんな暴れかたするか分からんな。どうしよう……。
「ああそうだ、別にお前じゃなくても向こうの娘っこたちに相手してもらうのもよさそうじゃな」
は?
「スパディア様……?」
「とりあえず、あの黒髪の娘とでも斬り結んでみるかのぉ。モリッツの青二才をあそこまで打ちのめすほどの腕のようじゃし、まずはどちらかの腕が一本落ちるまでやり合ってみるかのぉ」
「お待ちください! いくらスパディア様と言えどもそれはさすがに許せませ―――」
アルマと。斬り結んで、腕が、なんだって? 落ちるまで? ははは、そうですか。
「死ねジジイ」
「っ!!?」
能力値を瞬間的に20000まで強化し、ジジイに向かって殴りかかった。
「くっ! ……なぁっ!?」
咄嗟に剣で拳を防いだようだが関係ない。
剣を握り潰してへし折り、そのまま顔面に向かって拳を――――
「ヒカルッ!!」
っ!
ジジイの顔面に当たる寸前で、ピタリと拳が止まる。
アルマの叫び声が聞こえなかったら、そのまま殴り殺していたかもしれない。
「ヒカル、駄目。あのまま当ててたら、死んでた」
「ご、ごめん、頭に血がのぼってつい……」
「心配してくれるのは嬉しいけど、味方相手に本気を出したら駄目。……今のヒカルは多分誰よりも強いけど、抑えが利かなくなったら誰よりも危険だから、落ち着いて」
「……うん。スパディア様、すみませんでした。お怪我はありませんか?」
「い、いや、儂のほうこそそちらの娘に絡もうとして済まんかった。……デューク、お前の教え子はとんでもない怪物のようじゃの。先ほどの彼奴は、魔王と遜色ないほどの力を感じたぞ」
「そう、ですね。……まさか、ここまで強くなっているとは思いませんでした」
苦笑しながら謝るじい様とアルマパパ。急にキレたことに少し驚いているようだ。
……アルマが絡むとすぐにタガが外れるのは悪い癖だな、いい加減直さないと。
今の俺が魔王とやり合えるのは、おそらく10分程度が限界だろう。
それも第一形態の話だ。本気を出されたらまず相手にならん。……頼んだぞ、勇者君。
「そしてそれを止められる胆力をもつ、あの娘も大したもんじゃわい。……やっぱ、アランじゃ無理そうじゃなぁ……」
「むぅ……彼がアルマに必要というよりも、彼にアルマが必要なのか……いやでもしかしそう簡単に認めるわけにはブツブツ……」
悩むような顔で呟きを漏らす剣王二人。じい様はともかくアルマパパはなに言ってんだ?
……もうほっといてそろそろ帰るか。
あ、モリッツゲイトさんもそろそろ起きてください。なんで気絶してるんですか。
てか、他のメンバーもバテバテじゃないですか。明日の戦争大丈夫か? だからほどほどにしておけとあれほど(ry
宿に入り、汗を流すために浴場へ入る。
さすが王都一デカい宿屋というべきか、共用とはいえ軽く1000人近く入れそうなくらいデカい大浴場があるなんて。まるでプールだ。
普段はシャワーばっかで湯船に入るのは久しぶりだし、のんびり静かに浸かりたいもんだな。
まだ昼前だというのに、他にも何人か利用客がいるな。
俺たちと同じように、鍛錬の汗を流すためにひとっ風呂浴びようとしているのかもしれない。
「スゲー! 見ろよバレド、泳げるくらい広いぜここの風呂!」
「はしゃぐな! つーか湯船に入る前に身体洗えよきたねぇな!」
緑髪の子が湯船で泳ぎながら騒いでいるが、まあ気持ちは分かるから大目に見よう。
でも身体は洗おうぜラディア君。
「お、おいおい嬢ちゃん! こっちは男湯だぞ!? 女湯は向こうだっつの!」
「オレは男だっつってんだろうがぁぁぁああ!!」
……騒いでるほうを見なくても誰が入ってきたか分かるわー。キレすぎやろ勇者君。
勇者君もレベリング帰りなのかな? 湯船に浸かりながらちょっと明日の相談をしてみるかな。
てか勇者君の近くにいる野郎どもの挙動が変だ。なんでみんな前かがみになってんだ……?
お読みいただきありがとうございます。
>好きなアニソンは何ですか?
クックロビン音頭とか。
>アルマペアレンツは、21階層から―――
今回紹介した以外にもいくつか持って帰ってますが、どれも戦闘には役に立たない模様。
ちなみに性転換薬は魔王には効きません。人間にしか効果ないので。
持ち帰ったリソースはその世界全体からすれば極々微量なものですので、ほぼ影響はないです。
あと地球から持ち帰ろうにも、地球の場合は生きた人間しか膨大なリソースは得られませんし、仮に人間を殺しても経験値取得システムの都合上、リソースを得られないという罠。なんでこんなトコばっかしっかりしてんだ地球の神は。
>この話のタイトル見た時は「誤字?」って思ったけれど―――
あ、ちょっと誤字あったので修正しときます(;´Д`)
見学者はいませんが、語り部として総おじがいる模様。『死ぬかと思った』としか言いませんが。
>なんか勇者「が」ハーレム入りしそうな流れじゃな…
さすがに勇者相手にフラグは立てまs……いやでもちょっと面白そうな気も(ry




