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最強の勇者、ここに爆誕

新規のブックマーク、感想をいただきありがとうございます。

お読みくださっている方々に感謝します。



試練の遺跡の最深部にあったものは、簡素な祭壇に祀られている一振りの刀。

拵えは豪華でもないし、極々普通の刀に見える。

こっちの世界で日本刀なんか見たことなかったけど、まさかの勇者専用武器ってことなのかね。



「刀だ……」


「刀だね」


「カタナ? その剣のこと?」


「独特なつくりの剣ですね」



んー、やっぱこっちの世界じゃあまり一般的な武器じゃないっぽいな。

まあ叩き切る『剣』と比べて独特な運用が必要だし作るのも大変そうだし手入れもめんどくさそうだし、むしろ広まるほうが変か。

……そう思うと、日本がいかに変な武器を好んでいたか分かるな。俺も刀は好きだが。



「とりあえず、取ってみたら?」


「お、おう。……握った途端に『今宵の虎徹は血に飢えておるぅ!』とか言いながら振り回すようなことにならないだろうな?」


「勇者の武器が呪われてるとかどんなトラップだよ」


「大丈夫よ、私やオリヴィエは斬られても生き返るし。このオッサンは、……むしろネオラが殺されそうなんだけど……」


「それは大丈夫と言っていいのか。あと梶川さんの心配はゼロかよ」



恐る恐るといった様子で勇者君が刀を掴み、鞘から刀身を抜いていく。

刀身は、墨のように真っ黒な峰と、濡れているかのように滑らかに、かつ鋭く磨かれた刃が綺麗な一本線で繋がっている。



「スゲー綺麗な刀だなぁ。ホントにこれって観賞用とかじゃなくて、実戦用なんだよな? ………!?」



刀を抜いた直後、ネオラ君の身体が眩い光に包まれた。

いや、ホントに眩しいなオイ。エフェクト過剰すぎやろ。



「うわわわわ!? なに!? なにコレ!?」


「ネオラ君、落ち着け! 多分ジョブチェンジする際の演出でそれっぽく見せるために光ってるだけだ!」


「そう言われるとなんか安っぽく見えてくるんだけど!」



だってこの世界のスキルとかのエフェクトって、火か雷とか実際にエネルギーとして運用されているモノ以外は演出みたいなもんらしいし。魔刃の光とか。

多分、この光もその類のもんだと思う。光自体には特別な力なんか感じないし。



光が晴れると、そこには刀を鞘に納めつつ困惑したような顔の勇者君が立っていた。

おお? 見た目は変わってないけど、刀をとる前よりも明らかに存在感が増してる。てか、今の俺とほぼ変わらんのじゃないかこれは。


……ジョブチェンジしただけでここまで強くなんのか? やっぱ勇者ってチートだわーズルいわー。

いや、今まで貯めた経験値がレベルアップに使用されたからここまで強くなったのかもな。


ちょっとステ確認してみるか。





ネオライフ


Lv71


年齢:15


種族:人間


職業:真の勇者


状態:正常


【能力値】


HP(生命力) :3212/3212

MP(魔力)  :1915/1915

SP(スタミナ):1124/1528


STR(筋力) :2812

ATK(攻撃力):2812(+????)(+100)

DEF(防御力):2741(+430)(+310)

AGI(素早さ):2784(+120)

INT(知能) :2799

DEX(器用さ):2631

PER(感知) :2797

RES(抵抗値):1971

LUK(幸運値):398


【スキル】

剣術Lv10 天剣術Lv6 槍術Lv10 穿槍術Lv1 盾術Lv10 堅盾術Lv2 体術Lv10 極体術Lv6 拳法Lv10 格闘術Lv4 斧術Lv9 棍術Lv8 弓術Lv9 投擲Lv7 隠密Lv5 攻撃魔法Lv10 上級攻撃魔法Lv4 補助魔法Lv7 回復魔法Lv10 中級回復魔法Lv3 他、任意で表示


【マスタースキル】

オーラ・ミティゲイション

マギ・ミティゲイション

マギ・リジェネレイション

カウンター・フィスト

次元刃

螺旋昇竜槍

パリィ・アーマー


【ブレイブスキル】

刀剣術

勇天融合

????(未開放)


【ギフトスキル】

未選択



装備

銘刀『勇刃』(破壊不能 アイテム画面収納不可 感情変動 ????)

ATK+????


光虎革の胸当て

DEF+430


紫電一閃のブーツ

ATK+100 DEF+310 AGI+120


【称号】

勇者 真の勇者 終焉災害事前討伐勇士 魅惑の美男子 死を乗り越えし者 格上殺し 怖いもの知らず 命知らず 蛮勇者 生き急ぐ者 魔獣キラー 魔獣ジェノサイダー スキルマスター 処刑人 千の壁突破 二千を超えて 三千世界へ 四千の海渡り










「うわ、すっごいなオイ!?」


「な、なんだこりゃあ!?」



あまりに強力なステータスに、思わず声が漏れた。

ネオラ君も自分のステータスを確認したのか、素っ頓狂な声を上げている。

どうやらジョブチェンジと同時にメニュー機能も復活したみたいだな。


≪はいはい、お元気でしたかー! ジョブチェンジに伴い、晴れてメニューちゃん復活ですよー! ワタシが居なくて寂しかったでしょう? 罠にかかりまくって死にまくったでしょう? 普段どれだけワタシに支えられていたかよく分かったでしょう? そう、まるで甲斐性なしの夫に尽くす嫁が仕打ちに耐えかねて実家に帰った時にはじめて今までどれだけ自分を助けてくれていたかを分かるかのように!≫


「あ、おかえり。あとそのくだりもう既出だから」


≪既出ってなんですか!? てか冷たいです! もっと温かくワタシの復活をお祝いしてくれてもいいじゃないですか!≫


「いや、するなら普通お前の復活じゃなくてジョブチェンジのお祝いやろ」




「な、なんかまたネオラが一人でブツブツ言いだしたわ……」


「ネオラさんだけに見える誰かと会話しているのを見るの、久しぶりですね……」



メニューと会話している勇者君を、ちょっと引き気味に見ながら小声で話す二人。その危ない人を見るような目はやめて差し上げろ。

……俺も他人事じゃないな。他人の目があるところで声を出してメニューと会話するのは避けよう。うん。



≪さて、ジョブチェンジのための試練も済みましたし、早速新技能の試運転といきましょうか!≫


「へ? 試運転って、どういうことだ? ……な、なんだ、地面が揺れてるけど、地震か?」


「違う、地震じゃないわ。祭壇が開いて、下からなにか出てくる!」


「こ、これは……!?」




ウィィィン……と、まるで近未来SFのロボット出撃用の発射口が開くように、祭壇が真っ二つに開いていく。

そして、下から出てきたのは、これまた巨大ロボットを彷彿とさせる……というには少し無骨すぎる、金属製の巨大人型ゴーレムが出てきた。

体高5mくらいか? よくこんなもん収納してたなこの遺跡。てか誰が作ったんだ?



「な、なんかコレジャナイ感じのロボ、いやゴーレムが出てきたんだけど……なんだこれ」


≪試練を乗り越えた『真の勇者』の試し斬り用の戦闘ゴーレムですよー! コレ相手に新しく使えるようになった技をバンバン使っちゃいましょー!≫


「いや、デカすぎだろ。試し斬りよりもむしろこいつを魔族にぶつけたほうが絶対有用な使いかたできるだろ」


≪残念! サイズが大きすぎてこの遺跡からエネルギー供給を受け続けなければ動けないので、魔族相手には使えません!≫


「ホントに壊される以外に用途ないのかよ、なんて悲しい存在だ……」


「……とりま、その刀で斬ってみたら?」



試し斬りっていうからには、まずは刀の攻撃力を確かめてみないとな。

破壊不能って書いてあるし、刃こぼれしたり折れたりはしないだろう。



≪あ、ちなみにこのゴーレムは硬化の術式がかかっていて、ヒヒイロカネくらいの硬度があります。要するにアダマンよりもさらに硬いってことですねー≫


「いや、無理だろ! さっきそのアダマンの大玉に追いかけられてヒィヒィ言ってたとこなんだぞ!?」



勇者君が狼狽えている間に、ゴーレムが腕を振りかぶって拳を突き出してきた。

容赦なしかよ。てか速ぇな!? 素早さ軽く3000くらいないかこのゴーレム!



≪きますよー。早く刀を使って!≫


「っていいいい!? ちょっと待て速すぎ―――」



勇者君にゴーレムの拳が当たる直前、その刹那。


ギュインッ と、鋭さと鈍さが混じったような金属音が鳴り響いた。




「……え?」



赤い三つ編み少女ことレヴィアリアが、呆気にとられたような声を漏らした。


無理もない。とてつもなく硬いはずのゴーレムの身体が、拳から胴体まで綺麗に真っ二つになっていたのだから。

ズゥンッ と地面を揺らしながらゴーレムの身体が地面に倒れた。



「や、やべぇ……刀を抜く直前に、ゴーレムの動きが止まって見えた……!」


「すっごい速さだったな、居合ってやつか。いや、抜刀術か?」


「刀を抜かずに相手を制し、いざ戦いになったら先手をとるのが居合で、武器を抜く前に相手を殺すことを目的としているのが抜刀術とか、なんかの本に書いてあったような……」


「え、居合って迎撃用の技じゃなかったっけ?」


「ごめん、オレもうろ覚えだから正直あんま詳しくないんだわ」


「俺もだ。知ったかぶってメンゴ」


「……ついてけないんだけど」


「なんでこんなにこの人ネオラさんと仲が良いんでしょうか……」



HAHAHA、と二人で盛り上がっている様を白い目で見るお嬢さん方。正直すまんかった。


初めて握ったはずの刀をまるで熟練の刀剣使いのように扱えたのは、おそらくブレイブスキルの【刀剣術】の恩恵だろう。

これも充分強力なスキルだが、重要なのはもう一つのスキルのほうなんだよな。



「いやー、なんか物凄く強くなっちゃったなぁ。……てか、あれ? レヴィアとオリヴィエもステータス上がってないか?」


「そういえば、ネオラが光ってから身体が軽いような……」


「うわ!? 二人とも能力値が平均1500から2000にくらいまで跳ね上がってるんだけど!」


「え、ええ!? 2000!? この遺跡に入るまで、せいぜい1000前後くらいしかなかったはずよ!?」


「ね、ネオラさんがジョブチェンジをした影響でしょうか?」


「かもな。うわぁ、まさかここまでサービスしてくれるとは思わなかったわ。神様ありがとうございます」


≪あ、今の感謝の言葉、神様にメールしときますね≫


「神様にメールできるの!?」





≪さて、最後に【勇天融合】の効果を確認してみましょうか。きっと驚きmブフォップフククク……!≫


「だからなに笑ってんの!? これどういうスキルなんだよ!」


≪いいからいいから、そーれ☆≫


「え、ちょ、なに勝手に発動させてんだ!」



それ、魔王討伐には必須なくらい強力なスキルなんだけどねー。

……神様もなんであんな仕様にしたのやら。



「え、ちょ、ちょっと!?」


「はわわわわ!?」




勇者君(のメニュー)が【勇天融合】を発動すると、ネオラ君、レヴィアリア、オリヴィエールの三人が光に包まれた。

その光は徐々に輪郭を失っていき、一つの強い光に束ねられていく。
















光の中から出てきたのは、金の長髪に赤と銀の前髪が混じった美少女だった。


ネオラ君を思わせる青い右目、レヴィアリアを思わせる赤い左目、そして、……オリヴィエールを思わせる、豊満な胸。




まあ、その、アレだ。いわゆるフュージョン的なヤツですね。


三人の身体的特徴が混ざり合い、さらに能力値もそのまま足し算で強化されていて、ここに地上最強の勇者様が爆誕されておいでになった。





ちなみに性別は割合の多いほうに決まるそうです。






「………………………………………オレが、なにをしたっていうんだ…………」




勇者(美少女)が、顔を真っ赤にしながらぽつりと泣き言を漏らした。


……泣くな、生きろ。


お読みいただきありがとうございます。


おめでとう! 男の娘勇者はTS勇者にジョブチェンジした!

ちなみに割合が同じだった場合は、上はたゆんたゆん下もぼるるんばるるんなことに(ry

あと、任意でいつでも解除できますのでご安心を。




>まさか、命という命が全て死んだ世界って......―――


あ、今回はSCPとかは関係なくて、ホントに全てが終わった後の世界です。ある意味みんな死んでしまったというのも間違いではないですね。

あとあのロボのセリフだけで元ネタ分かるのはさすが。でもあくまでパロディです。そこまでいくと龍玉の二次創作になってしまいますので……。


>勇者の立場がねぇぜ…ネオラ強く生きろ(´TωT`)


今回ですっごいパワーアップしたよ! 梶川なんかよりずっと強くなったよ! やったね! (ゲス顔


>世界崩壊後でもうちょい探しとけば最終武器の素材集まりそうなもんだが―――


それを持ち帰って、また数百万年後まで崩壊乗り越えて、それをまた持ち帰って……ってな具合にもなりそうですね。

そういったアイテムって本当に不滅の素材じゃないと成り立たないので、なんというか本当に異質なイメージがありますねー。


>えっ!?何!?ヒカル壁に何したの!?―――


能力値爆上げして、魔力飛行で体当たりしながら遺跡をぶち抜いていっただけなのでご安心を。

壁は、多分神様あたりの手で修復されるんじゃないっすかね(適当

あと、アダマンは鋳溶かされて並の兵士用の装備に作り直される予定です。主人公たちが持っててももうあんま役に立たないので。


>ネオラ君がつくるダンジョンは―――

>書き忘れて居ました―――


それなんて萌え系アニメの皮を被ったディストピアアニメ?

……実際、広告と内容の差に強いショックを受けた人は多いと思いますね(;´Д`)





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 9/5から、BKブックス様より書籍化!  あれ、画像なんかちっちゃくね? スキル? ねぇよそんなもん! ~不遇者たちの才能開花~
― 新着の感想 ―
[一言] 萌え系アニメの皮を被ったディストピアアニメだけで何かわかるのいいよね
[一言] >勇天融合  え~、どこのトリ○ルファイター?  もしくは、どこのパ○レンジャー?
[一言] 勇者ちゃん君がただの勇者ちゃんになってしまった これはキャラクター性の喪失に等しい 戻してどうぞ
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