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いざ、懐かしのダンジョンへ

新規の評価、ブックマーク、誤字報告、感想をいただきありがとうございます。

お読みくださっている方々に感謝します。


今回始めは会話描写だけで、誰かの視点というわけではないです。




「『何日も連絡とれなくてごめん。ちょっと魔王に腹パンされて気絶してたみたいで、グースカ寝てました。ホントにごめんなさい』……心配するだけ損だったな」


「魔王に腹パンされたって……」


「多分それで重傷を負って倒れて、魔王に死んだと思わせて難を逃れたんじゃないかな。……なんで、魔王はわざわざヒカルを……?」


「続けるぞ。『なんか魔王は俺のこと知ってるっぽかった。『梶川光流』って名前も『パイルバンカー』って技の名前まで口にしてた。でも大槌のことは見覚えなさげだった。会ったことがあるとしたら、誰なんだろうね』」


「大槌が作られる前で、なおかつパイルバンカーを使えるようになった後にカジカワさんに会ったことがあるってことっすか?」


「……でも、それらしい人に会った覚えがない。いったい、誰……?」


「『魔王の正体はよくわからん。分かるのは、今の俺が逆立ちしても敵わないくらい滅茶苦茶強いってことだ。臨戦態勢に入ってたのに、気が付いたらやられてた。超怖い。一人じゃ絶対勝てないわアレ』」


「あのオッサンをあっさり倒したってのか。……ホントのバケモンみてぇだな魔王ってのは」


「『魔王のメニューの目から逃れるために少しの間、身を隠します。最低でも10日くらいかな。ワガママ言って申し訳ないけど、どうか許してほしい。本当にごめん』」


「ごめんごめんって、何回謝るんすか。……別に気にしなくていいっすよ」


『ピィ……』


「うん。……無事で、よかった」


「『その間、アルマとレイナにはやってもらいたいことがある。アルマの御両親と、その稽古を受けてるメンバーを全員集めてほしい』」


「稽古を受けてるメンバーって、ラディアさんやヒューラさんたちのことっすかね。もう動いても大丈夫なんすか?」


「ああ、全員ピンピンしてるぞ。伊達にあの教官たちの稽古を生き残ってねぇな」


「『集めたメンバーにやってもらいたいことは―――』」








「『あと、偉そうなこと言える立場じゃないけど、アルマ、ちゃんとご飯は食べなさい。ネオラ君に送っておいたから、これでも食べて元気になってほしい。……なかなか帰れなくて、ごめんな』」


「ネオラさんに送ったって、なにをっすか? ていうかネオラさん、カジカワさんと会ったんすか?」


「いや、会ってない。【アイテム画面】に送ったものをアルマたちに渡してほしいって連絡を受けたんだけど、……なんでコレなんだろうな」


「ん、お肉っすか? あ、なんかいい匂いするっす」




「……ショウガ焼き」


「うん、豚の生姜焼きだな。……いや、美味いんだろうけど、なんで生姜焼きなの?」


「……ヒカルが、初めて作ってくれた料理が、コレなの」


「そ、そうか。思い出の料理なんだな………って、おお? すごい勢いで食べ始めた……!?」


「あ、アルマさん、そんながっついて食べたらノド詰まらせるっすよ。……てか自分たちの分も残してほしいっす! ちょっと! なんで全部平らげる勢いで食べまくってるんすか!?」


『ピィ! ピピッ!!』


「……意外と食い意地張ってんだな、お前……」













~~~~~













……アルマ、元気になったかな。


≪ネオライフのアイテム画面に送った生姜焼きを摂取したことを確認。栄養補給はできた模様≫


そうか、よかった。

俺のせいで体調崩したままじゃ、気になってダンジョン攻略どころじゃないからな。


≪……ただ、消化器官が少々弱っている状態で大量に摂取したため、現在腹痛に陥っている模様。一時間もすれば回復する程度の症状なので、大きな問題はない≫


……え、もしかして一人で全部食べたの? アレ、レイナとヒヨ子の分も入ってたんですけど。

ま、まあいいや。あのマスコットたちは健康体っぽいし、帰ってこれた時にまた作ってやるか。




しっかし、赤イノシシの時といい、暴食スライムの時といい、俺が一人で行動してると大抵ロクでもない結果になるなぁ。

どんだけ強くなったつもりでも、やっぱ一人じゃ限界あるわ。自惚れちゃアカン。


そして、それは魔王にも言えることだ。

準備が整ったら数の暴力もとい助け合う力ってものを思い知らせてくれる。グヘヘヘヘ。

特に勇者君の力がカギだ。ガンバレ勇者。はよ仲間集めてジョブチェンジしてくれ。





さーて、向こうはアルマたちに任せて、こっちはこっちでやるべきことをやりますかね。

このダンジョンを攻略していって、21階層を目指せばいいんだよな。



≪肯定。21階層以降ならば時空間が不安定なため、メニュー機能による情報網からも逃れることができる≫


≪ただし、そこに辿り着くまでの道のりはかなりの危険が伴う。特に15階層以降はSランクの魔獣が当然のように闊歩しているうえに、殺傷力の高いトラップも多数存在する≫


≪さらに、21階層以降は物理法則の乱れ、時空間の歪み、アノーマリーなど、予測対処困難な現象が常に吹き荒れている≫


≪そして10日以内に辿り着けなかった場合、魔王のメニューに存在を察知される危険性がある。たとえダンジョンの深層にいようとも、魔王の能力値ならばほぼノータイムで梶川光流を追跡・殺害可能と推測≫



こええなオイ! どんだけ俺に対する殺意強いんだよ魔王サマは!

てかノータイムで追跡可能って、どんだけ能力値高いのやら。もうやだあのストーカーロン毛魔王。怖すぎワロタ。


まあ、要するにモタモタしてると魔王に殺されるから急いで進めってことね。アクションゲームの強制スクロールかな?

道中の魔獣を狩ってレベリングもしておかないとな。なんせ地力が低いままじゃ話にならん。


≪そのうえで、21階層以降から有用なアイテム等を『持って帰る』ことができれば、より魔王を討伐できる可能性が高まると推測≫


まあ下手したら『持っていかれる』危険性もあるみたいだけどな。怖いわー、手足の2、3本くらいならすぐ生えてくるけど怖いわー。……俺のほうが怖いか。

そんな場所を1階層分だけでも攻略して、無事帰ってきたアルマの御両親はやっぱヤバいわ。



さて、こっからダンジョン攻略開始なわけですが、なんか準備しなきゃならんこととかないかな。


≪王都防衛戦に向けて準備していたアイテムや装備を使用すれば問題ないと推測。魔王の攻撃によって胸当てが破損しているが、道中の魔獣の素材を合成・修繕すれば充分使用可能≫


んー、確かにポーションとか結構な量を準備しておいたから、足りなくなることはないか。

食料もこれまで倒した魔獣の肉とか買い込んでおいた野菜なんかが潤沢にあるし、たとえ数ヶ月潜ることになっても食いつなげるだろう。

仮に足りなくなったりしたら、道中の魔獣の肉を食うことも検討しよう。……魔獣の解体なんかやったことないけど。

では、いざ攻略開始。







ダンジョンの中は相変わらずほどよく明るく、攻略を進めるのに便利な環境が整っている。

いつの間にか自然発生しているって話だけど、それにしちゃ明らかに誰かの手がかかっているようにしか思えないんだよなぁ。


浅い階層じゃ魔獣もトラップも大したことないな。無視してゴリ押しで進めるレベルだ。

その分、手に入るアイテムもショボいが。バニソイ豆はもうええっちゅーねん。炭酸豆も既出だっつの。……なんで木の実ばっか拾うんだろうねおかしいね。


空の宝箱もいくつかあったけど、どこかのパーティが攻略中なのかな? またあの3バカじゃねーだろうな。

1時間くらいで4階層まで進んできたけど、ホントに魔王ならノータイムで攻略可能なのかね?


≪可能。罠、魔獣、フロアの間取りや階層すら強引に無視して突き進み、確実に梶川光流のもとへ辿り着くと推測≫


怖すぎィ! もうはよ進もうそうしよう!

もうホラーゲームの主人公にでもなった気分ですわ。どんだけ俺を過大評価してたら、そんなしつこく殺そうとしてくるのやら。


てか、会った覚えが無いのになんで『魔力パイルバンカー』のことを知ってたんだ?

仮に前世で会ったことのある人間が勇者で、二度目の転生で魔王になったとしたのなら俺の名前と容姿を知っていてもおかしくはない。

でも魔力パイルはこっちの世界で使えるようになった技だ。それを知っているってことは、こっちの世界でも会っているんだよな。それも俺が戦っているところを見ているってことだ。

うぬぬ、どういうことだ? 分からぬ。







「う、うわぁぁぁあ!!」


「クソぉっ! 全員脱出ポータルまで走れぇぇえ!!」


「り、リーダー! ノックの野郎がのびちまってて、自分で逃げられねぇ!」


「なら担げっ! さっさと逃げろ!!」




……考え事してる時に、くっそうるさい野郎どもの叫び声が聞こえてきた。

またどっかのパーティが魔獣にでも襲われてるのか? もうこれで累計3回目やぞ。三人娘と3バカの次は誰だ。



声がしたほうに行ってみると、なんというかレトロな映画のトラップのように巨大な鉄の大玉に追いかけられている男たちの姿が見えた。

なにあの某インディーみたいな状況。てか、あいつらどっかで見たような……? 気のせいか。

んー、あの様子じゃ放っておいてもなんとか切り抜けられそうだし、ガン無視でいいか。



「ちくしょおおお! いつまで走りゃいんだあああ!!」


「つーかこの大玉、俺たちを追いかけてきてねぇか!? 曲がり方が明らかに不自然だぞ!」


「無駄口叩くな! 走れ! こっちの部屋ま、で……!?」



うわ、こっちのほうに大玉連れてきやがった。

俺に気付いたリーダーっぽい金髪の男が、目を見開いてこちらを凝視しているのが見えた。



「おい! 逃げろ!! 早くしないと潰されんぞ!!」


「ってあの黒髪のバケモンじゃねーか! なんでこんなとこに一人でいるんだよ!?」



誰がバケモンだ! ……てか、もしかしてこいつら俺のこと知ってる?


≪元D、現Cランク冒険者ダランディズマの率いるパーティ『天空の竜』と判定≫


ダラ、……誰だっけ? 

てかパーティ名ひどいな。名前負けしすぎやろ。……ああ、なんか思い出してきた。アルマにパーティに入るように言い寄ってきたクソバカどもだわこいつら。

とりあえず、いつまでも追っかけまわされるのも鬱陶しいし大槌で大玉を壊すか。……あ、魔王に壊されてたんだった。

はぁ、仕方ない。素手で壊すか。



お読みいただきありがとうございます。


>これから出来ること全てやって備えるわけだが―――


さすがにゴブリンやコボルトみたいな人型の魔獣は食べないでしょうが、追いつめられたら食えるものは何でも食うでしょうね。

ダンジョンに生息する魔獣からしたらとんでもない捕食者が住処に入ってきたようなもので、さながら住宅街に侵入したライオンみたいなものでしょうか。


>無理やり唇でも奪うかと思った―――


まだ手に入れていない女性に手を出すほど無粋じゃないようで。なお顎クイはした模様。

もしも手を出そうものなら主人公の脳破壊されそう。そしてその後アイザワ君の頭も破壊されそう。物理的に。


>顎を掴んだ...だと?有罪(ギルティ)。―――


ちょっとずつ罰が妥協されていってて草。

顎クイの現場を見ていたら主人公マジギレだったでしょうね。


>タイトルが「たんこぶ」だから―――


アイザワ君がいなかったらレイナが引っ叩いてた可能性もあったので、予想自体は当たらずとも遠からずだったり。

アイザワ君のキャラ薄いのは筆者が扱いきれてないからでしょうね。すまぬ(;´Д`)


>梶川からのメッセージ(嘘)―――


今度はアルマの脳が破壊されそう。思わぬ伏兵が……。

密閉空間での窒息攻撃は条件を満たせばエグい効果が得られそうですね。魔力飛行の揚力で機動力もばっちりだぜ。


>あーまじですか…二人の進展を楽しみにしてた私としてはかなりショックかな。―――


なにかをきっかけに、一気に仲が深まるのもいいですが、徐々に少しずつ小さなことを積み重ねて一定のラインを超えた時に結ばれるパターンもアリかなーと。

まあそのペースが遅すぎて、くっつくのがいつになるのか分からないのでヤキモキしそうですが、決して進展しないというわけではないです。軽々と変なコメして、不安にさせてしまって申し訳ない(;´Д`)

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 9/5から、BKブックス様より書籍化!  あれ、画像なんかちっちゃくね? スキル? ねぇよそんなもん! ~不遇者たちの才能開花~
― 新着の感想 ―
・・・これから会うんじゃね? 時空間が乱れたダンジョン 壊れた大槌
[気になる点] ちょっと前に、メニューさんブチ切れ回で、「魔王の前世の情報、リーク完了」って書いてあったけど、ヒカルに魔王の正体言わないんですか? [一言] あ、ヒカルさん、ハツ抜きのことは隠して、腹…
[一言] 時空が歪んでいて、魔王のメニューが 機能しないって事は、逆に言えば メニュー先生も外の情報探知が出来なくなる、 という事ですね分かります。 いやいや、壊さなくても掴めばその瞬間に 収納でき…
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