ミニマム(小さいとは言ってない)
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「あの、本当にありがたいのですが、大丈夫なのですか? 先ほどギルドにいた他の冒険者の方々は毒の森に行くのは自殺行為だと……」
「大丈夫です。抵抗値の高さだけは自信がありますから。毒よりむしろ花粉症にならないか心配なくらいですよ」
「そ、そうですか。で、では、どうかお願いします……!」
ギルドで依頼を受けてくれないかと懇願していた銀髪ウェーブの女性『ニーナメリア』さんに見送られながら、いざ鎌倉もとい魔獣森林へ。
ニーナメリアさんの旦那さんのためにエリクサーが必要だというので、森林の奥地まで触媒となる果実を採取しに行くことに。
生命力操作で旦那さんを助けられないかと思ったが、見たところ身体の末端から徐々に石化していく奇病で、石化し始めている部分を切り取っても切断面から石化が進行していくなんとも厄介な病気のようだ。
上級状態異常回復薬ですら気休めにしかならない。一刻も早くエリクサーを投与しなければいずれ内臓や重要な組織にまで石化がおよび、死に至る。
……もしも、俺はともかくアルマやレイナに同じような奇病が降りかかったりしたら、と思ってしまった。
できれば余分に持ち帰って、俺たちの分もエリクサーを手に入れておきたいが、さて。
街から十数分ほど歩いたところに魔獣森林へ入る入り口がある。
魔獣森林【ダンクヴァーズ】 グルオーズとは段違いにヤバい気配がビンビン伝わってくる。
「毒の森までは、私たちが露払いをする」
「奥に行くまでカジカワさんは力を温存してるといいっす。……ところで、その装備もうちょっとなんとかならなかったんすか?」
「仕方ないだろ。いくら抵抗値が高くても過信は禁物だ」
『ピ、ピピ……』
コーホー、コーホーと某帝国軍のリーダーよろしくフルフェイスの防毒マスクを被り、さらに気密性の高いスーツを着込んで毒対策。
一応、生身でも問題なく毒には抵抗できるらしいが、胞子が肺の中に侵入して塵肺にでもなったらヤバいし。
「見た目完全に不審者なんすけど」
「正直、ちょっと怖い……」
「勘弁してくれ。俺だってこんな装備好きで着てるわけじゃないんだぞ?」
「ちょっと前まで空飛ぶ時に変な仮面付けてたし、てっきり趣味なのかと思ったっす」
「お前とアルマの分も買ってあるけど被ってみるか?」
「「いらない(っす)」」
「ヒヨ子、お前は?」
『ピピピピ』
「……すごく嫌そう」
俺だって嫌だっつーの! 蒸し暑いし今すぐ脱ぎ捨てたいわ!
今思うと魔力パワードスーツで充分な気もするけど、念には念を入れておきたかった。今では後悔しかしていない。クソが。
さて、数時間ばかし森の奥へ向かって進んでいるうちに辺りの様子に変化が出始めた。
木々の葉っぱの色が、奥に進むにつれて緑色から徐々に毒々しい紫色へと変わり始めている。
……そろそろヤバそうだな。
「アルマ、レイナ、ヒヨ子。みんなはここで待機だ。この先は毒の影響が強いから危険だ」
「……うん。周りの植物の色もおかしくなってきてるし、嫌な臭いもしてきた」
「カジカワさん、危なくなったらすぐに逃げてくださいっす」
『ピピ……』
「無理はしないつもりだ。ヤバくなったらすぐにファストトラベルで逃げるから、もしも俺の気配が消えたらみんなも街に戻ってくれ」
「分かった。気を付けてね、ヒカル」
「ああ。正直怖いけど魔獣を上手く避けながら進めば比較的安全に進めるはずだ。…コーホー…」
「むしろ魔獣の方が避けそうなくらい怪しさ満点な恰好なんすけど……」
俺の装備についてはもういいだろ! いい加減にしろ!
さて、気を取り直して先に進みますかね。
まずは空から森全体を観察しようとしたが、メニューに止められた。
なんでも、奥地に生息している魔獣は目がいいので、視界の開けた空に姿を見せたりしたら一斉に狙い撃ちされかねないとのこと。危ねー。
まだ木々で視界がある程度遮断されている森の中を進んだほうが、比較的安全に果実のもとまで辿り着ける可能性が高いらしい。ズルせず地道に歩けってことね。
「チェストォォオ!!」
『ギャアアア!!?』
フォレストタイパン・リーフスケイルとかいう葉っぱ状の鱗を纏ったヘビ型魔獣を撲殺。
道中、どうしても避けて通れないところに陣取っている魔獣は、極力気配を消して接近し、充分近付いたところで爆裂大槌でダイナミックステルスキル。
ステルスっていう割にはズガァン! と派手な音が響いてるけど。……これ、他の魔獣寄ってきたりしない? 大丈夫?
既に進むのに邪魔な魔獣を5体もミンチに変えているけど、特にこっちに向かってくるような気配は感じられない。
≪大槌の爆発音が威嚇となり、かえって他の魔獣の接近を防止している模様≫
そうなの? なら常に爆発させながら進めば安全に進めるってことか?
≪非推奨。魔力の消費が激しいうえに、威嚇が通じない強力な魔獣を呼び寄せる危険性がある≫
そりゃ勘弁だな。これまで潰した魔獣はLv50~60台のやつらばっかだったが、それを超えるとなるとちとキツい。
あの大ガニみたいに的がデカい魔獣相手なら問題なく命中させられるだろうが、もしも並サイズの魔獣、つまり鬼先生みたいにサイズはデカくなくても能力値がバランスよく高い相手には、ハンマー投げみたいに大槌を当てるのは難しい。
一応、ヤバそうな気配にはばれないように進んでいるんですが、あとどれくらい奥へ行けばいいのやら。
魔獣の反応とは違った魔力の塊みたいなのを目指してるけど、これ本当に合ってるのかな……、
そろそろ魔力の塊に辿り着きそうだ、と思ったところでなにやらあたりの様子がおかしい。
……この魔力は、いつの間にか魔獣に囲まれている? いや、違う。この魔力は一体だけのものだ。
ただ、その一体が、長い。
とんでもなく長太い、一体のヘビ型の魔獣が、俺の周りの木々を胴体で囲んでいるんだ。
周りの木々ごと俺を絞め殺そうと一気に胴体を締めつけてくるのを、すんでのところで上空へ跳躍し回避。
締め上げられた木々が締め付けられて、いやすり潰されていく。木の破片通り越してもはやおがくずになってますやん。
全長何十、いや何百メートルあるんだこいつは。太さも直径3m近い。
締め付けを避けた俺を忌々しそうに睨むそいつの顔を見て、ステータスを確認。
魔獣:ミニマム・ヨルムンガンド
Lv76
状態:正常
【能力値】
HP(生命力) :2864/2864
MP(魔力) :2002/2101
SP(スタミナ):2487/3012
STR(筋力) :1841
ATK(攻撃力):1841
DEF(防御力):1887
AGI(素早さ):1341
INT(知能) :874
DEX(器用さ):699
PER(感知) :1312
RES(抵抗値):2412
LUK(幸運値):178
【スキル】
魔獣Lv8 体術Lv10 極体術Lv6 大蛇獣Lv8 牙術Lv10 貫牙術Lv7 竜族Lv3
【マスタースキル】
オーラ・ミティゲイション
ポイズン・タスク
どこがミニマムだ! 滅茶苦茶巨大な魔獣じゃねーか!
今まで見た中で一番デカい魔獣だ。いったい身体全体で何トンあるんだコイツ……!?
しかも竜族スキル持ちかよ。いったいどんなスキルを使えるんだろうか。
『シャァァァァアアア!!!』
海の上での戦闘とはまた状況が違う。
あの時はヒューラさんが攻撃し続けていたからこそ、その隙を突いて俺が足をもぎ取ったりできた。
だが、今は一対一だ。隙をつくるのも、隙を突くのも俺がやらないといけない。
でも、なんでだろうか。
負ける気がしない。
「毒抜きすれば、蒲焼にできそうだな。大ガニは美味かったけど、お前はどうかな……コーホー……」
『シャァァアアッ!!』
たまにはゲテモノも悪くない。どんな食い方をできるか、楽しみだ……!
≪全身余すことなく毒が浸透しているため、食用には不向き≫
あ、そっすか。じゃあいいや。イラネ。
……はぁ、テンションだだ下がりだわー……。
お読みいただきありがとうございます。
>受付嬢さんどんまい。。――
カジカワの担当になった受付嬢は大体苦労するというなんともはた迷惑な話。
まだステータスはバケモノにはなっていません。そう、まだ。
>次の話で久しぶりに戦闘が見られそうで――
なお道中の魔獣は大幅カットの模様。申し訳ない。
大蛇戦はどうなりますやら。過度な期待はしない方がよろしいかと(;´Д`)
>毒素を含んだ胞子を放出する木々…腐海?――
別に浄化作用で毒を撒き散らしているわけではなく、毒に適応した進化をしただけだったり。
某風の谷は映画だけでマンガの方はよんだことないんですよねー。
その内、放射線とかも抵抗できそう――
どうなんでしょうか。核兵器に該当する魔具や魔法が存在しない世界なのでなんとも…。
あと髪色ドピンクな超能力者は関係ないですハイ。
カジカワも昔はステータス詐欺でしたが、今では立派なバケモノ予備軍にいややっぱステータス詐欺だわ。気力操作あるし。
>準備しっかりして飛んで取って帰って来そう
魔力飛行をどう封じ込めるか筆者の悩みどころだったり。
誰だ主人公空飛べるなんて設定にした奴は! 私か!




