もみもみベキベキ
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お読みくださっている方々に感謝します。
「あ、あわわわわ……インプが114体、オークが44体、ウェアウルフが34体、フォレストプラントが31体、ってち、ちょっと待ってください、まだあるんですか……!?」
「はい、読み上げてもらったので大体半分くらいですね。あ、終わったら後ろの二人の分もお願いします」
「ひいぃ……! この3日間毎日こんな感じじゃないですかー……!」
とりあえず路銀を稼ぐために近くの魔獣のテリトリーで荒稼ぎ。
なるべく群れている魔獣を狩るようにして1日中ひたすら魔獣を狩って、数だけは多く狩れた。
でも、いかんせん生息してる魔獣が弱すぎて経験値の入りが良くない。あれだけ狩りまくったのに俺はレベルアップしなかった。
大ガニを倒した時もレベルが30以上離れてるならきっととんでもなくレベルアップしたに違いないと思ったのに、上がったレベルはたったの3。現在はLv46だ。
レベルが40を超えたあたりから必要な経験値が激増するというのは本当らしい。あれだけ狩って1すら上がらないとかどんだけ経験値が必要なのやら。
他のメンバーはレイナとヒヨ子が2、アルマが1だけレベルアップ。
ただし、魔獣山岳でレベリングした分、いわば経験値の貯金が残っている状態でこれだけしかレベルアップしなかった。
この子たちも大分ヤバいペースで魔獣を狩っていたはずなのにねおかしいね。
薬草鑑定やってるわけでもないのに、魔獣討伐の集計をしただけでぐったりした様子の受付嬢に挨拶してからギルドを出た。
今日だけでも一人頭十数万エンから数十万エンは稼いだ。これだけあれば王都までの足代くらいにはなるだろう。
「あぁすみませぇん、ちょっとボクたちにお小遣いを分けていただけませんかねぇぇ?」
「雑魚狩りで随分頑張っちゃったみたいだけど、そんなあぶく銭すぐなくなっちまうよぉお? なら、お兄さんたちに預けてみないかぁい」
……そして、その金に目を付けて絡んでくる奴らの鬱陶しいこと。
他の街はまだマシだといいなー。さっさと片付けて次の街へ移動するとしよう。
「ひいぃ……ま、またギルドが壊れるぅ……!」
後ろで受付嬢が悲壮感を漂わせながら泣き言言ってるけど無視。
壊れたところの弁償代はこいつらにツケといてくださいな。
ギルドの壁に数人分ほど人型の穴を開けてから、馬車乗り場に直行。すぐに出発して脱出。
こんなチンピラばかりの町にいられるか! 俺たちは次の街にいくぞ! と死亡フラグめいたことを言いたくなるくらい毎日カツアゲにくるやつばっかだったなー。
正直もっとゆっくりこの港町を見て回りたかったけど、さっきみたいなチンピラやガラの悪いのに絡まれたりするのが鬱陶しいし、武術大会に間に合わせるためにもあまりのんびりしてられない。
「ホントに治安悪かったっすねー、あの町」
「日に2、3回は誰かに絡まれてた…」
『ピ』
「ヒューラさんが『ガラの悪いやつが多い』って言ってたのも納得だな。他の街はどうなのやら」
馬車に揺られながら、全員が愚痴を漏らす。
まあ、悪いことばかりでもないけどな。色んな大陸の食材や調味料なんかを随分と買い貯めることができた。
保存がきくものばかりで、現地でしか手に入らないようなものは無理だったがそれでも嬉しい収穫だ。
第5大陸でしか手に入らないものも、今後手に入れる機会がめぐってくることだろう。今から楽しみだ。
「王都へ向かうのに、どういうルートで行くの?」
「次の街は医療都市と呼ばれるくらい医療や薬品の開発が盛んな都市で、そこで目ぼしい回復薬なんかを購入してから、炭鉱都市を抜けて王都へ向かうつもりだ」
「医療都市っすか。なーんかイマイチパッとしないっすねー」
「歳を食ったら、色んなトコにガタがくるもんなんだよ。俺もお前もジジババになったら世話になるかもしれんぞー」
「それを考えるのはまだ早いっすよー」
「でも、孤児院の院長先生のお土産になるようなものもあるかもしれないし、レイナも色々見て回ってもいいと思う」
「あー、言われてみればそうっすね。……院長の場合、肉のお土産ばかりイメージしてしまってそこまで気が回らなかったっす…」
うん、まあ、分かる。
実際、毎日肉料理を食べるようになってからみるみるやつれた頬に張りが戻っていってたし、あまつさえ俺たちが出発する日には子供たちと追いかけっこする姿すら見せてくれた。
……あれ? やっぱあんま必要なくね? 院長元気すぎワロタ。
「カジカワさんはどこかガタがきたりしてるんすか?」
「いや、特にはないが。強いて言うならちょっと肩がこってるくらいか」
「ぷぷぷ、おじいちゃんみたいっすね」
「黙レイナ」
「変な造語を作らないでほしいっす。ほらほら肩こってるなら揉んであげるっすよー……っ!?」
おふざけ半分で俺の肩を揉もうとしたが、ちょっと揉んだところで自分の手と俺の肩を見ながら目を見開いた。
「……どうしたの?」
「か、カジカワさんの肩、まるで岩みたいにかたいんすけど……!」
「いや、リアクションが大げさすぎるだろ」
「……ヒカル、ちょっといい?」
「え? あ、ああ」
今度はアルマが俺の肩を掴んできた。
レイナはともかく、アルマに触られるのはなんだか妙に気恥ずかしい。
「……ホントだ。まるで鋼鉄みたい」
「表現がより酷くなってませんかね?」
「カジカワさん、今の能力値どれくらいなんすか?」
「えーと、……大体1080以上かな」
「ワームを倒した時より、さらに強くなってる……!?」
「原因それっすよ! 強くなりすぎてマッサージすらまともに受けられなくなってるっす!」
能力値が高くなりすぎると、こういった弊害が出てくるのか。
うーん、まあ魔力操作があればセルフでマッサージできるし、さほど深刻なことでもないだろ。
って、おい。アルマ? なんで指先に気力を集中してるんですかね?
「これくらい強化すれば、マッサージできる。ヒカル、力を抜いて」
そしてそのまま肩を揉み始めた。
凄い力だな。常人だったら肉抉れてるわこれ。
「ちょっと待って、アルマ、それ強化しすぎだから。痛くないけど生命力が地味に減ってるから。あ、でも結構気持ちいいかも」
「いやいやいや、さっきからベキバキョって人の身体から鳴っちゃいけない音が聞こえるんすけど! 大丈夫なんすかそれ!?」
まあマッサージってのは痛みを伴うものも多いし、これくらいなら大丈夫だろ。
……でも。HPが1000を切ったら一旦やめてもらおう。怖いし。
マッサージを受けてから、すごく肩が軽くなった。
ガチガチに固くなっていた筋肉が、揉み解されて血行が良くなってるからだと思う。
「……疲れた」
そのかわり、アルマが気力の使い過ぎでぐったりしてしまったが。
「アルマ、ありがとな。……大丈夫か?」
「……揉んでるうちに、こっちの肩がこってきた」
「今度はカジカワさんの番っすよー」
「……え?」
「ヒカル、揉んで」
言い方ぁ! 誤解されそうだからちゃんと肩をって言いなさい!
これってセクハラにならない? 大丈夫?
ま、まあこっちばかりマッサージされっぱなしだと悪いし、お返ししないとな。
「……ぅんっ……ぁっ……!」
揉むたびに悩まし気な声を漏らすのやめてもらえませんかねぇ!? なんだか変な気分になってくるでしょうが!
……そんな状態で揉んでいたら変に気が張って、かえって身体が強張って余計に肩の調子が悪化した。どうしてこうなった。
医療都市に、いい感じのマッサージ機でもないかなー…。
お読みいただきありがとうございます。
>鬼先生と鬼先輩が出てきて面白かった。――
この小説だと、素手での戦闘術は大体ごちゃ混ぜになってますね。
拳法や格闘術スキルも人によって覚える技能や得意な技が違ってきたり。というか、書き分けるのが面倒くs(ry
>最近のお気に入りです。応援してます。――
ありがとうございます。鬼先生は角が二本額から生えて髪が無い豪〇みたいなイメージですね。
別に背中に『天』とか鬼の顔が浮かび上がったりはしません。めふんが好物でもないです。
>勇者がサ◯ヤ人編としたら――
さすがにそこまでの実力差はまだないかと。というか某野菜人の変身形態増えすぎワロタ。
>鬼先生に鬼先輩……カジカワ=サンは鬼弟子かな?
称号欄に『鬼の弟子』とか項目増えてそう。あと別にカジカワはニンジャを殺すことに執念燃やしてません。レイナ逃げて。
>久々の勇者視点とカジカワ視点で互いに成長――
勇者は勇者で世界を魔王の手から救うために割と真剣に必死だったり。
むしろそれ以上に無茶やらかしてるカジカワ一行がおかしい。見ればわかるけどおかしい。
勇者君は鬼先生と出会う日がくるのか、それは筆者にも分かりませぬ。考えてないし。
>その内勇者くんも自爆魔法的なの――
習得すれば、使えます。自爆魔法、近畿もとい禁忌ではありますが余裕で存在します。
他人を犠牲にする魔法なんかも厳しい条件をクリアすれば一応使用可能ですね。
>感想への感想の一言
ご心配いただき、ありがとうございます。
返信できるうちはこうやって皆様の声にお答えしたいと考えておりますが、もしも万が一返信しきれないような状況になった場合はまた別の方法を考えようかと。
……というか、このスペースじゃなくて感想欄で返信した方がいいんでしょうかね…?




