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船での生活

新規の評価、ブックマークありがとうございます。

お読みくださっている方々に感謝します。


的当てゲーム、けっかぱっぴょー。


1位 ヒヨ子氏 驚異の72点


2位 レイナミウレ氏 貫禄の65点


3位 アルマティナ氏 2位と僅差の63点


4位 俺氏 ドン底の13点



どうした。笑えよ。

チクショウメェ!! だから俺だけスキルが無いんだからもうちょっと手加減してくださいよぉ!



「……ヒヨコに、負けた……」


「ヒヨコちゃん、投擲スキルLv1なのになんでそんなに上手いんすか……」


『コケェ』



ドヤ顔で胸を張るヒヨ子。いやホントなんでお前そんなに正確に投げられるんだよ。

レイナなんか投擲スキルLv5なのに、それよりもスコアが上ってどういうことやねん。

……んー、ちょっと検証してみるか。



「ヒヨ子先生、あと一回だけお手本を見せていただけないでしょうか?」


『コケェッ』


「うわ、とうとうヒヨコちゃんにまで頭下げちゃったっすよこの人」



やかましい。ちょっと確認したいことがあったから見せてもらおうとしただけだ。



『コケッ!』



蹴爪で弾を掴み、投擲。

真っ直ぐ、そう、まるで重力の影響を受けていないかのように真っ直ぐ弾は進み、的のど真ん中に命中した。



「うわー、やっぱヒヨコちゃん上手いっすー!」


「……あの蹴爪で、どうやってあんなに正確に投げられるの?」


『ココ、コケッ』


「ありがとうございました、先生」



礼を言いながら、ヒヨ子を抱き上げる。

こうしてもってみると重くなったもんだと気付く。まだ2ヶ月程度しか経ってないのに、随分成長したなぁ。色々と。



「うん。本当によく成長したなヒヨ子」


『コケッ』


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。……なあ?」


『ココッ…コ、コケッ……!?』



得意げな顔から一転、焦ったような声を漏らすヒヨ子。



「え、魔力の、なに?」


「どういうことっすか?」


「コイツ、自分の魔力を固めて弾に纏わせて、それを遠隔操作して軌道を修正していやがったんだよ。こんなふうに、な!」



さっきのヒヨ子同様、弾に魔力装甲を纏わせ投擲。

その魔力装甲を魔力飛行なんかの要領で操れば、自由自在に軌道を制御できるというわけだ。

これなら、いくら下手くそな俺でも楽勝で命中させられる。

実際、さっきヒヨ子が投げた弾に継矢のように命中させることができた。……後で弁償しよう。



「き、きたないっすよヒヨ子ちゃん!」


「……ずるい」


『……コ、ココッ……』



ズルがバレて、ジト目で二人に怒られて申し訳なさそうに鳴き声を上げるヒヨ子。

……ここまでしょげられたら、これはこれでなんか見てて可哀想だな。



「んー、じゃあもっかいやり直すか?」


「そうっす! 再戦っすよー!」


「今度は、負けない」


「ヒヨ子、今度はズルしないようにな。ルール説明が甘かったことも踏まえて、初戦はお前の勝ち扱いにしてやるから」


『コ、コケッ!』



負けん気が強いのは認めるが、ルールは守りましょう。ズルはアカン。

それよりも気兼ねなく楽しむのがゲームをするうえで大事なことだ。

それにしても、まさか魔力操作まで習得していたとはな。子の成長は早いものよのう。

……ところで、2戦目以降も1位の人に奢らなきゃいけないんですかね。



その後、3セットほど勝負を続け、それぞれ1位になった回数がレイナが2回、アルマが1回、ヒヨ子が初戦の1回。

で、結局全戦最下位の俺が全員に奢るハメになった。

ちょっとみんな本気出しすぎでしょーイジメヨクナイヨー……。






そんな具合にしばらくゲームを楽しんだり、運動場で軽い運動をしたりしながら過ごす日々が続いた。

食堂のご飯は海の上だから海鮮料理が主かと思いきや、普通に肉料理なんかもあってレパートリーは割と豊富だ。

これなら飯に飽きることはなさそうだ。というか自炊もしないと食費がかさむから食堂のメニューばっか食うわけにもいかんし。


不満があるとすれば、魔獣との戦闘の機会が無いから、レベリングがストップしてしまってることくらいか。

2週間近くレベリングが止まるのは正直結構痛い。

移動に費やす時間で一番痛いのが魔獣との戦いができないこととか、我ながらだんだん戦闘狂じみてきてんなー……。


で、早くも1週間ほど経過したくらいで、その問題を解決してくれるイベントが起きた。


いや、要はトラブル発生なわけですが。





「大変だぁああ!! ま、魔獣の群れが接近してきてるぞぉっ!!」


見張りを務めている船員が、大声で警報を出した。


「き、規模は!?」


「ざっと見たところ、中型が30体近く、大型が3体いやがる!」


「マジかよ、なんとか振りきれないのか!?」


「無理だ! 速さも小回りも向こうの方が上だ! くそ、比較的安全な海域だから魔獣避けの加護を弱めてたってのに、運が無ぇ!」



魔獣避けの加護? エンカウント率を下げる魔法でもかかってたのかね?


≪神聖魔法スキル技能【セイントヴェール】 魔獣から認識されづらくなる魔力のバリアーを発生させる魔法。その効果を発生させる機関が船に搭載されている模様。なお長期間の航海のため、燃料の魔石を節約するために一時的に出力を弱めていたので発見されてしまった模様≫


そりゃ魔石ケチった船側が悪いわ。

まったく、乗客の事情も考えてほしいわー。

仕方ない、ここは魔獣の駆除に向かうとしますかねー。いやーホントに困った船員さんたちだわー。

……決して、久々にレベリングができるからって喜んだりしてませんよ。ええ、ホントに。


「そんじゃあ、ちょっと片付けに行きますか」


「うん。たまにはまともに実戦をしないとね」


「はいっす!」


『コケッ!』



アルマたちと一緒に船の甲板に出た。

海面を見下ろすと、サメのようなヒレが数十ほどこの船を囲んでいる。

さらに、遠くにはクジラのようにデカい魚が3体ほど、こちらの様子を窺っているのが見えた。

……ふむ、あの3体が指示を出して、このサメたちに船を襲わせてると見ていいのかな。


ところでメニューさん、船を囲んでるあのサメって食えるの?


≪身の部分は食感が悪く、食用には不向き。しかし、ヒレの部分は適切に調理すれば美味≫


そうですか、ありがとう。

……今日はフカヒレパーティーだな。1匹残らず美味しくいただきましょうかフフフフフ……。


お読みいただきありがとうございます。

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 9/5から、BKブックス様より書籍化!  あれ、画像なんかちっちゃくね? スキル? ねぇよそんなもん! ~不遇者たちの才能開花~
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