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監視して、監視されて

新規の評価、ブックマーク、誤字報告、そして感想を4件もいただき、ありがとうございます。

お読みくださっている方々に感謝します。


あと、念のためお伝えしますが前回出てきた銀髪ポニテは男です(;´Д`)


気持ち悪い気配がする。




さてさて、今日は珍しく全員単独行動の日です。

基本いつも一緒に行動してるんだけど、たまには一人で羽を伸ばす時間も必要だと思いましてね。

いや別に一緒にいるのが苦痛だなんてカケラも思っちゃいませんよ? 本当に。


ただ、3日くらい前に対魔族軍に勧誘されてから、どうにも誰かの視線を感じるんですよー。わーいったいだれのしせんなんだろうなー。

……まあ、ぶっちゃけ視線の主は分かってるんだけどね。メニューに頼んでマーキングしてあるし。


アルマやレイナには大して興味が無いのか、二人は特に何も感じていないそうな。

俺に対しては敵意丸出しの視線を、遠くからでも分かるくらいこれでもかと送ってくるくせに。うっとーしーなーもー。

まあ直接ちょっかい出してくるようなことは今のところない。今のところはだが。


ただ、俺一人で行動するようになったら、なんらかのアクションを起こしてくるかもしれないという考えもあっての単独行動だが、さて。



「はい、焼きパナン1つ1000エンだよー」


「アッハイ、どうもー」



それまでは街の中で歩き食いでもしながら様子を窺うとしますかね。

むむ、このパナン、港町で食べたヤツと全然食感が違う。港町は皮がモチモチしてたけど、これはまるで饅頭の皮みたいだ。

ちっちゃい肉まんみたいなもんかな。これで1000エンってやっぱ高いわー……。


あ、でも美味い。ふむふむ、魔獣山岳に生息してる豚型魔獣の肉を使ってるのか。

あの山岳の魔獣、下処理や仕込みが面倒な魔獣が多いんだよなー。このパナンに入ってる肉だって臭みを抜くのに結構な手間がかかっておる。

そのことを考えると1000エンでも妥当っちゃ妥当……か?


同じような料理でも、地域によって調理法や食材が微妙に違うのが分かる。

単純な美味しさだけじゃなくて、こういった細かいところを楽しむのも歩き食いの醍醐味だよね。うまうま。

お、あっちの屋台から焦げ臭いのに妙に食欲をそそるスメルが。蒲焼かな? レッツラゴー。

鬼先生との組手明けで、気力にも空きがあるし思う存分食えるぞーふはははは。……胃の中より財布の中が心配だ。




あと、気持ち悪い方も見ておかないとな。





~~~~~銀髪ポニテ青年視点~~~~~





……隊長の指示で、ここ数日あのパーティの監視を続けている。

特にリーダーの黒髪男を重点的に見るように言われている、のだが。

結論から言って、こいつはやはりただの大飯喰らいの凡人だ。


我ながらストーカーじみたことをしているとは思うが、これも任務だ。

…なにが悲しくてあんな冴えない男の監視なぞしなければならんのか。

まだあの少女たちを監視する方が ゴホンッ! ……話を元に戻そうか。


魔獣のテリトリーに向かう姿は今のところ確認していない。

いや、というかいつの間にか街の外へ出ていたり、かと思ったらすぐに戻っていて街中で買い物をしていたり、なんというか足跡が不自然に途切れることが何度かあった。

まさか監視に気付いているのか? いや、ならばもっと人目を避けて行動してもよさそうなものだが…。


……それにしても、コイツさっきから食べ歩いてばかりで監視の意味がまるでない。

なぜこんな卑しい食いしん坊にあの少女たちはついていってるのか。こちらは魔族の脅威から国民を守るという使命を受けた身でありながらまるで女っ気のない職場だというのに。

いや、美人の女性もいるにはいるが、男勝りの女傑ばかりで正直恋愛の対象としてはちょっと……。

はっ、いかんいかん、ボーっとしていたらターゲットを見失ってしまうところだった。


妬ましさによる敵意が視線に混じってしまって、こちらを気取られないか案じていたが特にこちらを向いたりする様子はない。

鈍いのか、あるいはこちらに気付いたうえで無視しているのか。……あの食いっぷりを見る限りでは前者だろう。というか何人前食べるんだアイツは……。



ん、狭い路地に入った?

あの男が通っている武器屋の路地とは違う。あそこはただの廃材置き場のはずだが。

……なにかいかがわしい取引の場にでも使っているのかもしれない。

ついに隠れた悪行の尻尾を掴んだか? 確認せねば。








路地に入り、見えたものは



黒髪のターゲットが、見知らぬ女性の首を掴み釣り上げている場面だった。








~~~~~カジカワ視点~~~~~







「ぐぐぐがが……かはっ……!!」



首の骨をへし折るつもりで、強く握る。

女性が出しちゃいけないような、嗚咽じみた呻き声を上げているがこのまま死んでもらおう。



「貴様ぁぁああっ!!」



おおっと。こっちの方にばかり気をとられてて銀髪ポニテのこと忘れてたわ。

剣を抜き、怒りの形相で斬りかかってきた。ちょっと殺意強過ぎんよー。



「はあああっ!!」



うーん遅い。いや鬼先生や暴風剣使ってるアルマと比べるのは酷だろうけど、遅い。

避けるのは容易いが、そうするとますますイラついて会話するどころじゃなさそうだ。


身体に魔力装甲を纏い、斬りかかってきた銀髪の剣を何もせず受けた。

甲高い金属音が響き、剣が弾かれる。



「なっ……!?」


「あのー、とりあえず話だけでも聞いていただけませんか」


「な、ならばその女性を解放しろ! ロクでもない男に違いないと目を光らせていたが、まさか通り魔の類とは思わなかったぞ!」



ちゃうっつーねん。誰が通り魔じゃ。

まあ、はたから見てると美人さんの首根っこ掴んでるサイコパスに見えるかもしれんが誤解やねん。

……こんなことになるなら、さっさと殺して死体をアイテム画面にでも放り込んでおけばよかった。



「た……す………けっ……」



今にも死にそうな青白い顔で、か細い声で助けを求める女。

ヘルプ出す相手その人でええんか? ()()()()()()()



「いいから早く離せ! この外道がぁっ!!」



怒号を上げながら、再び斬りかかってくる銀髪ポニテ。

あー、もうめんどくさいしとりあえずやることやっとくか。



首を掴んでいる女の身体を、銀髪ポニテの剣とかち合わせる。



「ああぁっ……!!」


「なっ!? き、貴様っ……!!」



はい。そんなことすれば当然、女の身体の方はえらいことになるわけで。

深々と胴体に切り傷ができて、血が噴き出してきた。どう見ても致命傷だ。


俺が盾代わりに使ったことが原因とはいえ、女を自分の手で斬ってしまったことに狼狽えている様子の銀ポニ。

大丈夫大丈夫。俺もあんたも人殺しなんかやってないから。



「なぜだ! なぜこんな真似をするのだ貴様は!!」


「うーん、強いて言うならそちらの仕事のお手伝いでしょうか?」


「なにを言っている!?」


「あ、死んだ。となれば正体も分かるかな……お、元に戻ったっぽい」


「…え、な、なにっ……!? い、色が……」



出血によるショック死。まあ助かるかもと期待してたのにザクッて斬られたら落差で死んでもおかしくないか。

で、女が死んだ直後、死体の体色が透き通るような美白から、毒々しい紫色の肌へと変わった。


魔族のスキルで、人間に擬態していたのがこの女というわけだ。

ヴィンフィートの魔族たちもこのスキル技能使ってたっけ。



「魔族を倒したのは初めてですか? まあ対魔族軍といっても、全員が魔族と戦ったことがあるわけじゃないのは分かりますけど」


「魔族!? この、女性が……!?」


「ええ。奴らは人間に化けて街の様子を窺い、準備を整えてから街を破壊する工作をするようです」



これまで訪れた街に魔族が来てないかは、メニューさんに頼んで24時間監視している。

ディオルゴでもそれっぽい気配を感じていたし、常に警戒しておくぐらいが丁度いいと思ったが案の定この街にも来やがったな。

メニューさんに負担をかけっぱなしなのはちょっと罪悪感あるけどね。


≪監視し、報告する程度ならばほぼ負荷はかからない≫


そ、そうっすか、働き者ですねメニューさんは。でもつらかったらつらいって言ってくれてもええんやで?



「……なぜ、彼女が魔族だと?」


「なーんか挙動不審な動きをしているうえに、買い物もせずに街中をぐるりと見て回っていて怪しいなーと思って、簡易鑑定レンズで覗いてみたら案の定でした」


「『簡易鑑定レンズ』? そんな魔具があるのか?」


「ええ。前に仕留めた魔族が持っていたものです。使い捨てですし、そんなに数は多くないんですが」



この簡易鑑定レンズ、どうも人間や亜人の間ではまだ開発されていない魔道具のようでどこの店にも売っていなかった。

鑑定できる対象は生物限定だけど、こんなものが広まったら鑑定士の仕事が減ってしまうだろうなー。



「前に仕留めた、だと? まさか、既に魔族を仕留めたことがあると……?」


「はい。といっても2体だけですけど」


「なぜ勧誘された時にそれを言わない!? 魔族を討伐した実績があるのなら文句なしに対魔族軍に入る資格があるではないか!」



だからこそ言わなかったんだっつーの。

こちとら軍になんか入りとうないんですよ。

社畜扱いはもう日本だけでお腹いっぱいです。自由に生きたい。

……ていうか、この人いつまで俺に付き纏ってくるつもりだったんだろうか。暇なの?



お読みいただきありがとうございます。



>初っ端から3割なら、完熟で更地になりそう・・・


光になーれぇー。さすがにアレと比べると規模は小さいです。当たり前か。


>仕事場に、インド周辺の国の人が何人か居て、日本のカレーに付いて聞いた事があるのですが――


不味くはないけどカレーじゃないとはこれいかに。

まあ基本日本は外国の料理を自己流にアレンジする傾向が強いみたいですしね。肉じゃがとか。


>いくらなんでも直ぐに喧嘩売りそうな女の人は――


残 念  男 で す 。

ややこしい外見の描写してるから誤解させてしまって申し訳ない。

それにしても、男だと思ってたキャラが実は女だったーってパターンはよくあるけど、逆はそんなに見ない印象です。女装とかしてたなら話は別だけど。……どうでもいいか。ゴメンナサイ。


魔力って硬さや軟性を変えられるんなら、ジョ――


ほぼ同じことができるでしょうね。ただ、地面を柔らかくしたりは無理です。プシュン☆

いや、アルマならできるか……? ちょっと角砂糖買ってくる。

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 9/5から、BKブックス様より書籍化!  あれ、画像なんかちっちゃくね? スキル? ねぇよそんなもん! ~不遇者たちの才能開花~
― 新着の感想 ―
[一言] 男かよ...(´・ω・`) カジカワさん3割以上でどうぞ
[一言] こういう勘違い君にこそあのハンマーを叩き込みたいもんだが…社会って面倒だよネ!(コラ)
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