攻略報酬
梶川 光流
Lv40
年齢:25
種族:人間
職業:ERROR(判定不能)
状態:空腹(大) 疲労 貧血(小)
【能力値】
HP(生命力) :1030/1030
MP(魔力) :640/640
SP(スタミナ):60/402
STR(筋力) :826
ATK(攻撃力):826
DEF(防御力):825
AGI(素早さ):824
INT(知能) :829
DEX(器用さ):845
PER(感知) :841
RES(抵抗値):819
LUK(幸運値):819
【スキル】
※取得不可※
【称号】
格上殺し 怖いもの知らず 魔獣キラー 魔獣ジェノサイダー 魔族討伐 奇跡の癒し手 恐怖の化身 理に背くもの 死を乗り越えし者 千の壁突破 二千を超えて 三千世界へ 手八丁 健啖家
Oh………What?
いやいや、いやいやいやいや。ちょっと待ってほしい。
まず、スタミナと魔力の上がり幅、おかしくない?
≪人体の欠損すら修復した実績を持つ者に贈られる称号『奇跡の癒し手』と、一度の食事で一定以上の食料を摂取した者へ贈られる称号『健啖家』の影響と推測。いずれも最大MPおよび最大SPの増加と成長率の上昇効果あり≫
お、おう。そうなのか。
……嬉しいんだけど、段々バケモノじみたステータスになってきて自分が怖い。
しかも能力値が800以上まで上昇しているんですが。
えーと、2~10が54、11~20で155、21~30で255、31~40で355。
それらを足すと819。うん、計算に間違いはなさそうかな。
……白金ニワトリとほぼ互角なんですがそれは。しかもこっちの方がレベルが10も下なんですけど。
でも、努力値というか鍛えて上がる分の数値がほとんど増えていない。筋トレとか寝る前に結構やってるつもりなんだがなぁ。
≪能力値が上がった分、通常の筋力トレーニングでは効果が薄い模様。単純に負荷を増やせば努力値は上がると推測≫
そ、そうだったのか。
どうりで最近腕立て伏せや腹筋が楽だと思った。
……次からは、岩でも載せながらやることにしようかな。
装備品はさっきのクソデカミミズに潰されてオジャンになってしまった。
仕込み刃付きのブーツ、結局役に立たなかったなー……。
まあもうすぐ新しい装備品も手に入るし、この際ブーツも新調してしまおう。
で、問題は称号欄なのですが、まず『恐怖の化身』ってなにさ……?
≪本人(梶川光流)に対し恐怖を抱き、気絶や発狂などの状態異常にかかった者の数が一定数を超えた際に贈られる称号。他者を威圧する際により強く威圧感を与える≫
なんかあんま嬉しくない効果なんですがそれは。てか称号の字面が酷過ぎる。……もういいや。
『二千を超えて』『三千世界へ』ってのは、能力値が一時的にでも2000、3000を超えた人に贈られる称号なのかな?
≪肯定。獲得する経験値がより多く増加する効果あり。なおどちらも人族の場合、Sランク冒険者クラスの者しか獲得した例がない極めてレアな称号≫
ふーん。まあ気力操作で無理やり能力値を爆上げした結果、棚ぼたで手に入ったようなもんだし、実際のSランクの人と比べたらまだまだ弱いんだろうけどなー。
あと、『死を乗り越えし者』はHPが1以下になって生還した人に贈られる称号らしい。俺、何度か0になってるんだが…。
……最後に質問。『理に背く者』ってのは?
≪魔力、スタミナ、生命力全てを直接操作する者に贈られる称号。………というより梶川光流に名指しで贈られた称号の模様≫
つまり、コトワリが『お前を見ている』と警告してるってわけか?
≪世界の理のため、回答不能。……しかし、他にこの称号を持つ者は存在しないため、高確率でそうであると推測≫
やっぱりねー。コトワリさんすっごいイライラしながらこっち見てそう。いえーい、見てるー? あ、すんません謝りますから天罰とかはマジ勘弁で。
「ヒカル、顔が引きつってるけどどうしたの?」
「んー、ちょっと自分のステータスを見ててね……」
「大方、すっごいえげつない感じのステータスだったんでしょうねー。全能力値が500超えてたりとか?」
「いや、800超えてるんだが」
「「800!?」」
「まあ、スキルが使えない分の救済措置なんだろうな。おかげでそこそこ格上とも戦えるし」
「……800……」
「や、やっぱりカジカワさんはこちらの予想の斜め上をいってるっす……」
呆然とした表情でこちらを見る二人。
言っとくが、スキルと気力操作を使えば君たちもこれくらいの数値には簡単になれるからな?
能力値の差なんか、工夫次第でいくらでも埋められるし、このくらい誤差だよ誤差。……いや、ちょっと無理があるかな。
さて、全員のステータス確認も終わったし、脱出ポータルで帰りますかね。
……そういえば、ダンジョン攻略報酬ってのはどこで手に入るんですかね?
≪脱出ポータルを通り入り口に帰還した直後、目の前に報酬の宝箱が出現する≫
そうですか。そのタイミングで横取りとかされないのかな?
≪ダンジョン内で、ダンジョン攻略者以外の者が報酬に触れた時点で、触れた者に重大なペナルティが発生するため、その心配は無いと推測。ダンジョン攻略者に対して害ある行動をとった場合も同様≫
そうか、よくできてんな。
さーて、多分また木の実かなんかだろうけど、もうそれでいいや。
命があるだけありがたい。今後のダンジョンの攻略は、もっと強くなってからにしよう。
そう思いながら脱出ポータルの上に乗り、地上へ帰還した。
「ふう、やっと帰ってこれたな」
「お疲れ、みんな」
「おつかれっすー」
『ピピ』
全員が背伸びしながら、無事に帰ってこられたことを労い合う。
本当に、全員で戻ってこられてよかった。
……お?
「あ、宝箱っす! ……ってデカッ!?」
「俺の身長と同じくらいの高さだな。……どんだけデカい木の実なのやら」
「いや、初めから木の実だって諦めたように決めつけないでくださいよ! あんな死ぬ思いで手に入れたのがただの木の実だったら自分キレるっすよ!?」
「だってさー、ここぞという時に俺が宝箱開けると大体木の実だしー。まあ内心すごく欲しがってたもんだったけどさ」
「じゃあ、もういっそ全員で開ける?」
「それがいいかもな。魔力で足場を作るから、それに乗って皆も一緒に開けてくれ」
「うん」
「りょーかいっすー」
『ピッ』
「せーのっ!」
全員で、宝箱に手をかけて、いざ開封。
中身は、……岩? なんだこれ?
「あれ、木の実じゃない?」
「だから、なんで木の実だって決めつけてるんすか! カジカワさんの装備品の材料目当てで攻略してたんでしょうが!」
「……岩、ううん、亀の、甲羅のカケラ?」
亀の甲羅? ああ、なんとなくそれっぽいな。
メニューさん、確認頼む。
≪Sランク魔獣【ヴォルカニック・ジャイアントタートル】の甲羅、その一部。非常に頑強で、しかしそれ以上に重く防具として使うには不向き。大槌の材料としては極めて理想的だが、現在の梶川光流ほどの能力値でなければ扱うことは至難≫
おーう。なんともご都合主義的にお目当ての素材をドロップしちゃったよ。
これはアレか、初めて幸運値が仕事した感じか。肝心な時はいっつも木の実ばっかだったのに。
「よし、これなら武器の材料としては申し分なさそうだ!」
「本当? ……なら、よかった」
「ほ、ホントによかったっす。ダメだったらまたあんな強い魔獣と戦わなくちゃいけないところだったっすよ……」
「付き合わせて悪かったな。お礼に、今日はデザートにプリンでも作ってやるよ」
「ぷりん? なんすか、そのいかにも美味しそうな名前は……!」
「……楽しみ」
『ピ』
さーて、これで新生・爆裂大槌の材料は手に入ったな。
あとは残りの材料費を確保するついでにレベリング、ついでに他にも作ってほしい武器や道具の打診もしてみよう。
他の武器屋や魔道具屋に案を持ってってもいいが、なんとなくジュリアンに作らせた方が面白い物が出来上がりそうな気がする。
楽しみだなーふーはははーはー。
「なんかまたカジカワさんが悪そうな顔してるっす……」
「……怖い」
いやいや、別に悪だくみしてるわけじゃないんだが。
というか、レイナはともかくアルマにまで怖がられるのは普通に傷付くから勘弁してくれ……。
お読みいただきありがとうございます。




