おバカ3人組
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感想欄も3件も増えて、とても嬉しく思います。
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お読みくださっている方々に感謝します。
「アルマちゃん! よかったら荷物持とうか!?」
「大丈夫、自分で持つ」
「アルマちゃん、肩こってないかい? 揉もうか?」
「こってない。…触らないで」
「アルマちゃん、ど、どうか、オレと付き合って」
「断る」
……はいどうも。ただいまダンジョン攻略中に、ちょっと強めの魔獣と戦っているうちにピンチになっていたパーティを助けたところです。
二十歳くらいの男3人組パーティで、魔獣の攻撃を一人がモロにくらって身動きできなくなってしまい、パーティのバランスが崩れてジリ貧になってしまっていたようだ。
駆け付けた時にアルマが真っ先に魔獣に立ち向かい、例の必殺技で一閃。それを見ていた男3人が3人ともアルマに一目惚れしてしまったようで、すり寄るようにアプローチを繰り返している。
…俺も同じように助けられたから気持ちは分かるけど、ちょっと馴れ馴れしすぎないかね君たち。
魔獣に襲われて傷を負ってしまった赤色短髪青年がフジランス、槍使い。
さっきアルマの肩揉もうとしてた変態青髪がツェレンク、魔法使い。
で、この3人パーティのリーダーが金髪剣士のレオナイト。
あの3人娘を思い出すカラフルな髪の色だな。信号機かな?
「あいたたた、魔獣にやられた傷がまだ痛む。アルマちゃん、肩貸してくれないかな?」
「そっちの二人に頼めばいい」
「こら、なにドサクサに紛れてベッタリ張り付こうとしてやがる!」
「てめぇ、さっき回復ポーション飲んだだろうが! 肩ならオレが貸すからアルマちゃんから離れろ!」
「アルマさんモテモテっすね」
「全然嬉しくない」
「あの3人に言い寄られて困ってるみたいっすけど、いいんすか? カジカワさん」
「あ゛?」
「うわ、めっちゃ機嫌悪そう……」
イラついててついクソ低い声で返事してしまった。ごめんレイナ。
いやこの3人が必要以上にアルマにベタベタしてるのが原因だってのは分かってるんだが、なぜここまでイライラしてるのか自分でも分からん。
「ヒカル、ポータルはまだ?」
そう言いながら、なぜか俺の腕をとりながら男3人から距離をとろうとするアルマ。3人パーティをちょっと怖がってるようにも見える。
…こんなふうに年上の男性複数人に付き纏われてりゃ怖くなってくるのも無理ないか。
でもその緊急措置としてオッサン予備軍である俺の腕をとるのは本末転倒のような。
「もうすぐだな。俺たちはまだ先に進むけど、君たちはどうする?」
「進むに決まってんだろ! てかてめぇなにアルマちゃんと腕組んでんだ!」
「代われ! 今すぐ代われオッサンこの野郎!」
「アルマちゃん! こんなオッサンよりオレと腕繋ごうぜ! な!」
「……あんたら、助けてもらったパーティのリーダー相手に失礼すぎるっすよ」
「……気持ち悪い」
「「「ゴハァッ…!」」」
かいしんの いちげき!
アルマの容赦ない一言に悶絶するおバカ3人組。悪いこと言わんからもうお前ら帰れ。
あとオッサンオッサン言ってるけど、お前らも5年後にはこうなるんやぞ。
「5階層からはLv20以上の魔獣がデフォらしい。Lv30台の魔獣相手に苦戦してるあたり、君たちも大体Lv20台くらいじゃないか? Lv20台の魔獣と連戦とかできるの? 下手したら群れで襲いかかってくるかもしれないぞ」
「うっ……い、いや、大丈夫だ! これまで何度もLv20台の魔獣くらいなら倒してきた!」
「言っておくが、先へ進むつもりなら基本的に自分たちの身は自分たちで守ってもらわないと困るぞ。もう一度確認するけど、本当に大丈夫なんだな?」
「お、おう! 男に二言はねぇ! アルマちゃんはオレたちが守る!」
「……そうか。気を付けてくれよ」
不安しかねぇ。ホントに大丈夫だろうか。
というか、自分たちが苦戦してた魔獣をあっさり倒してる相手に『オレたちが守る!』とかどの口が言うか。アホの子にもほどがあるでしょ。
でもまあダンジョンに挑むのはあくまで自己責任だし、先へ進むと言うのならそれを止める権利は俺にはないしなー。
5階層からは、これまでの石造りだった構造から一変、植物の生い茂る森林のようなフロアのようだ。
なんとなく魔獣森林を思い出すな。感じる魔獣の気配はグルオーズより数段上だが。
「おおー、緑が目に優しそうなところっすねー。もしかして癒し系の階層なんすかね?」
「植物だけじゃなくて、魔獣もわんさかだけどな。さっきまでの階層より随分数が多いみたいだし、考えなしに進むと袋叩きにされそうだな」
「…嫌死系の階層だったっす」
上手いこと言ったつもりか。冗談にしてもちょっと殺伐としすぎやろ。
「植物に紛れてトラップなんかも意地の悪い配置してやがるな。例えばこっちは雑草だらけの中に通りやすそうな道ができてるけど、その道の上にトラップが――」
「うわああああ!? な、なんだ!?」
「な、なにやってんだフラン!」
…言ってるそばからトラップに引っかかって宙吊りにされる赤髪ことフジランス。
先行き不安だ。できればもう早く帰ってほしいんだが。
「あ、あの美味そうな木の実を取ろうとしたら、足元にトラップが…」
「バカ! 油断してっからそうなるんだ!」
「カジカワさん、あの木の実食べられるんすか?」
「毒があるから絶対に食うなよ。腹壊すぞ」
「チクショウ! 毒かよ、まんまと騙された!」
……頭痛がしてきた。
これからこんな調子で先に進んでいくのか? すっごい疲れそうなんですが。
「ついてくるのは別にいいけど、勝手な行動は控えてほしい。でないとさっきのフジランスみたいにトラップに引っかかることになるから」
「おおお! アルマちゃんが名前で呼んでくれた! やったぜ!」
「てめぇ! ずりぃぞこの野郎!」
「アルマちゃん、オレのことも名前で――」
「真面目に聞け」
「「「ごめんなさい…」」」
名前を言っただけではしゃぎだすバカ3人を、ものすごーく冷ややかな眼で睨みながら短くも厳しい口調で叱るアルマ。
無視しないで注意するだけまだ優しい対応だが、さすがに悪いと思ったのか素直に謝る3人。
これに懲りたら慎重に進んでほしいもんだ。つーか年少組のアルマとレイナより手間がかかるってどういうことだよ。
バカ3人がしょげておとなしくなってくれたおかげで、しばらく大きなトラブルもなく進んでいき、少し広そうな部屋の前で様子見。
魔力、生命探知にいくらか反応あり。魔獣が徘徊してるっぽいな。
「この先の部屋に魔獣が何体か待ち構えてるみたいだ。……8体か、数だけは多いな」
「ま、回り道した方がいいんじゃないか? いくらなんでも8体は多すぎだろ」
「現時点で行ける他の部屋は全て回った。この部屋を抜けないと先に進めないぞ」
「ま、マジかよ……」
この程度でビビるくらいならなんでついてきたんだお前ら。
……こりゃ、次の脱出ポータルを見つけた時点で強引にでも帰した方がよさそうかな。
さてさて、ぶっちゃけアルマか俺一人でも楽に片付けられるけど、俺らばっか戦うのもなんだかなー。
1、2体くらいこの3人に任せて、後は適当に処理するかな。やれやれ。
お読みいただきありがとうございます。
カジカワ的にはまだアルマに対して自分の気持ちがよく分かっていない状態のようです。
というか、普段の接し方が一人の男としてでもなく、パーティのリーダーらしくもなくぶっちゃけおかんである。それでいいのか。一応、異性として意識はしているようですが。
レイナに対しては見た目の幼さからか異性としても見ておらず、ほとんど父親、いややっぱおかん。
……本当にそれでいいのか主人公。
異世界住人料理できないのくだりは少し不自然--
そ の 発 想 は 無 か っ た 。
筆者の発想力の脆弱さがよく分かるご指摘ありがとうございます。おうふ。
なるほど、そういった設定の練り方もあるのか! と目からウロコ。
スキルの有用性をもっと分かりやすく見せるための設定ももっと盛り込んでいった方がよかったかなぁと反省。とても参考になります。
感想コメント、ありがとうございました!




