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けっかはっぴょー

新規の評価、ブックマーク、誤字報告ありがとうございます。

お読みくださっている方々に感謝します。

狩猟の翌日。今日は朝から海沿いにある冒険者ギルドにて、昨日の狩りの結果が発表される。

幻惑の仮面が割れてしまったので、飛行士として結果を聞くことができないから一般客に紛れて結果発表を聞くことに。

早めにあの仮面の代わりに顔とステータスを誤魔化すアイテムを手に入れないとなぁ。できれば仮面以外のなにかで。


参加者、スタッフともに昨日の疲れが見てとれるな。

ギルドの職員たちもスコアの集計作業なんかがあったからか、随分疲れた顔をしている。

…あれ、ナイマさんなんか顔暗くね? なんかあったの?



「諸君、おはよう。昨日は魔獣草原での狩猟、ご苦労だった。合計狩猟数は例年と比較してどのエリアもかなり多めの数値を記録している。これだけの数を狩ったのならスタンピードが起こることもないだろう。皆の奮闘に感謝する」



早々と挨拶と会釈を済ませ、結果発表のための用紙を懐から取り出し発表の準備をするコワマス。

この人挨拶とかを長々とするのが嫌なのか、あっさり話を終わらせることが多い気がする。

俺としてはその方がありがたいんだけど、なんか逆に物足りない気がしないでもない。いや別に無駄にグダグダ長話してほしいわけじゃないんだが。



「まず、緑色のエリアから発表する。名前を呼ばれた者やパーティは前に出て景品を受け取ってくれ。まず3等からだが――」



緑エリアの参加者はみな見習いや駆け出しの冒険者ばかりで、景品を受け取っている人たちも大体成人したての冒険者のようだ。

景品を受け取る子たちを見守る、他の参加者の人たちの視線が心なしか生暖かい。微笑ましいものを見る目をしていらっしゃる。

景品の方は、狩猟祭の屋台で使える商品券のようだ。3等3000エン、2等6000エン、1等15000エン分と一番楽なエリアなのに割と報酬の値段が高い。

赤色エリアの報酬とかとんでもないことになってそうだなこりゃ。ギルドの資金足りるのか?



「次は黄緑エリアの結果発表だが、3等はパーティ参加の【クワイエット・ナイツ】。狩猟数自体は52匹と一番多かったのだが、パーティの人数で総合ポイントを割った結果一人分のスコアとしては17匹強相当のため3等だ」



名前を呼ばれた17歳前後の青少年3人組パーティが若干苦い顔を浮かべながら前へ出てきた。

52匹か、スクロールを使っていたとはいえこれって相当な数じゃないか? 彼らもなかなか将来有望なパーティかもしれないな。



「や、やっぱりパーティ参加だと一気にポイントが減っちゃうなぁ…」


「まあまあ、僕たちが1日で50匹以上も討伐できたこと自体奇跡みたいなもんだし、落ち込むことないよ」


「単騎でそれぞれ挑んだとしても大してスコア稼げそうにないもんなー」


「スクロールの代金を考えると、収支微妙だなこりゃ…」



わちゃわちゃお喋りしながら景品を受け取る3人。どこがクワイエットだ。コワマスの前でよく雑談なんかできるもんだ。

不機嫌になるかと思いきや、少し笑みを浮かべながら景品を渡しているのを見ると怒ってはいないみたいだが、その笑顔すら怖い…。



「で、次は2等なのだがなんと1等と討伐数が互角でな。しかも1等の人間と協力してとはいえLv24の魔獣を討伐した履歴があるというから驚きだ」



Lv24の魔獣ってことはエリア越え魔獣のことだな。

で、その魔獣にトドメを刺したのは確か…



「討伐数と討伐した魔獣の合計レベルを集計した結果、2等はパーティ【希望の明日】のレイナミウレ、1等は無所属のラディアスタとなった。二人とも単騎でそれぞれ31体もの魔獣を討伐していて、ギルドとしても将来有望な若者がいることを嬉しく思う」



討伐数が発表された際に、少し驚いたような声が参加者たちから聞こえた。

レイナ、俺が魔獣を運送しなくても一人でそんなに仕留められるようになったのか、しかも黄緑エリアで。

なかなか非常識なスピードで成長しているようでなにより。…少し末恐ろしいが。

そして、魔力探知も使えないのにそのレイナと討伐数が同じで、レベル合計の差で1等になってるラディア君。ちょっとこれは予想外。



「むわー、負けちゃったっすー…ラディアさん頑張ってたんすねー、すごいっす」


「むしろお前に勝ててたことにおれ自身が一番びっくりだよ…」


「スタミナ空っぽになるまで狩ってたっすからねー、根性の差が出た結果っぽいっす。次は負けないっすよー」


「お、おう。いつでも、相手になってやるよ」



やたら絡んでくるレイナにたじろぎながらも、どこか嬉しそうに顔を赤くしながら握手をするラディア君。青春してるなー。

景品の方は、レイナは新鮮で立派なエビやカニを何匹も、ラディア君は新しい短剣をプレゼントされたようだ。

あの短剣、完全なミスリル製で攻撃力150もあるじゃないか。是非レイナに装備させたかったなー、正直残念。

まあ代わりに立派なエビやカニが手に入ったから、美味しく料理して祝ってあげよう。……てかデカいなアレ。調理するの大変そうだなー…。



「次は黄色エリアだ。3等はパーティ参加の【ウォーズ・ローズ】。狩猟の途中でアイアンコッコの群れと遭遇したのもあって、狩猟数46体となかなかのスコアを出しているな。パーティの人数で割った結果15体強相当のポイントとなった」



コワマスが順位を告げた後、不機嫌そうにコワマスの前へ出てきて景品を受け取る3人組パーティ。

…なにあの赤一色のお嬢様っぽいドレスを着たお姉さん方は、髪まで赤いし。20過ぎくらいの若い女性方だが、その表情は少し険しい。



「…あんな死ぬような目にあって3等なんておかしいわよ絶対…」


「リーダー、まだ皆の前よ。愚痴を漏らすなら帰ってからにしてちょうだい」


「そう言うファナナも眉間に皴寄ってるわよ」


「うるさいわね!」



小さな声なのに姦しく口喧嘩しながら退場するお姉さん方。ちょっと怖い。

その様子に他の参加者の人たちも拍手をしながら苦笑いしている。



「当人たちと比べて一段下のレベル帯とはいえ、10体近い魔獣の群れと戦いその全てを討伐するのは簡単なことではない。優秀なパーティを無事こうして表彰できることを嬉しく思うぞ」


「あ、ありがとうございます…」



不機嫌そうに言い争うパーティにコワマスがお褒めの言葉をかけると、お姉さん方が気まずそうにしながら返事をした。

さすがにコワマスを無視して言い争うのを続ける勇気はないようだ。もしもこの人を怒らせでもしたら、……考えるだけで恐ろしいわー。



「次、2等は無所属のウェーラカヌス、単騎で37体とは驚きだな。それだけではなく、隠密を上手く使い獲物に接近し、弓矢で的確に急所を貫いて仕留めており魔獣の身体の損傷も極めて軽微で、良質な素材がとれているな。狩りの数だけではなく、仕留めた魔獣の状態まで気にかけているのは高く評価できるぞ、見事だ」


「…ふむ、てっきり1等かと思っていたのだが、どうやら自惚れが過ぎていたようだ。反省しなくては……」



2等は弓を背負っている銀髪ポニテの美形青年。歩いているだけでも絵になるイケメンぶりだなこの人。

コワマスからベタ褒めされているにもかかわらず、なんだかションボリしながら景品を受け取る弓戦士青年。いや、的中弓士? あれ、職業変わってね?


≪狩猟の途中でレベルが上がり、ジョブチェンジした模様≫


事前にジョブチェンジしてから狩猟祭に参加すればまた結果は違ったかもしれないのに、勿体ない。

それかレベルアップが間に合わなかったのかな。最初から的中弓士だったのなら、どれだけのスコアを出していたのだろうか。

もしかしたら1等になれていたかもしれないのに、無念だろうな。



「………で、1等だが、該当者とスコアを発表する前に確認事項がある」



急に勿体つけたように皆に事前注意をするコワマス。

…なんか問題でもあったのかな。



「黄色エリアの1等の者は狩猟終了1時間前に橙色のエリアへと移動し、赤色エリアから侵入してきた魔獣を討伐しているがこの分のスコアは最初に決めたエリア外での狩猟となるので、ポイントには加算されない。そのことを踏まえたうえで発表を聞いてほしい」



あー、そのことね。

…それを知ったうえで聞けって、どんだけ狩ったんだか。



「1等、パーティ【希望の明日】のアルマティナ。討伐数は、……57体だ。何度も確認したが、間違いなく57体だ。しかも橙色エリアから侵入してきた魔獣を積極的に狩っていたのか、Lv30台の魔獣を何体か仕留めているな」


「ごっ……!?」



誰かが、驚愕の声を漏らした。

……アルマさん、もうちょっと手加減というか、自重したげてもいいと思うの…。



「ち、ちょっと! いくらなんでもおかしいでしょ!? なによ57体って!」


「私たちが3人がかりでも46体だったのよ!? どう考えても不正に決まってるでしょ! もう一度討伐履歴を確認―――」



「黙れ」



「ひっ……!?」



常識はずれなアルマのスコアを聞いて、先ほど3等と発表されたお姉さん方、【ウォーズ・ローズ】のメンバーが疑念混じりの抗議をしたがコワマスに一睨みされると、か細い悲鳴を上げて硬直した。

こっわ。さっきお姉さん方を褒めてた時と表情と声色がまるで違うやん。



「…あまりに高いスコアだから疑いたくなるのも無理はないかもしれんが、ギルドとしては不正を許すことはあり得ない。私も討伐履歴を確認したナイマを何度か締め上げたが間違いや不正は認められなかった」


「……ヒドイですよぅ、グスッ……」


「…スマン」



ナイマさんがなんか暗い顔してたのコワマスのせいかよ!

普段いい加減な仕事が目立つとはいえ、冤罪で締め上げられたらそりゃ泣くわ。可哀そうに。

コワマスも珍しく申し訳なさそうな顔でナイマさんに謝罪している。…もっと優しくしてあげて、ホントに。



「こ、こんな数を狩れる実力があるなら、分不相応な黄色エリアじゃなくて、橙色エリアで狩っても良かったんじゃ…」


「ちなみに、アルマティナのレベルを見てギルドが推奨したエリアは黄緑エリアだ」


「…え?」


「狩猟前時点でアルマティナのレベルは27だった。黄色エリアはLv30以上推奨だから、確かに分不相応だな。それでこの結果なのだが、まだなにか文句があるか?」


「うっ……」


「しかも、終了前の1時間は橙色エリアでスタッフの応援に向かっていた。自分のスコアが減ることを厭わず、危険を冒して一段上のエリアに向かうことができる者などそうそういないと思うがな」


「……くっ」



うーむ、やっぱちょっとやりすぎた感じはあるかなー。

いや精一杯頑張ったアルマにケチつけるつもりは微塵もないが、目立ち過ぎて文句言ってくる人が出てくるのはいただけない。

まあ本人は大して気にしてなさそうだし、別にいいか。おめでとうアルマー、ぱふぱふー。



「景品は剣にしようかと思ったのだが、お前の装備しているユニーク装備以上の剣となると黄色エリアの景品としては少々高価すぎるのでな。代わりに付呪を施してあるブーツを用意した。サイズは合っているとは思うが、靴擦れなどするようだったら調整するから遠慮なく言うといい」


「分かった、ありがとう」


「…いや、まだ他の者の表彰があるから履いて確かめるのは後にしてくれんか?」



ブーツを受け取るとすぐに履き心地を確かめようとするアルマを止めるコワマス。

アルマのマイペースっぷりにさすがのコワマスも苦笑い。


うーむ、アルマもレイナも好成績を残していてなによりなんだが、その分表向き参加してない俺の肩身が狭く感じるなー…。

また周りからヒモとか言われなきゃいいが…。

お読みいただきありがとうございます。

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 9/5から、BKブックス様より書籍化!  あれ、画像なんかちっちゃくね? スキル? ねぇよそんなもん! ~不遇者たちの才能開花~
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