海の幸と、美 味 し そ う な お 肉
新規のブックマーク、誤字報告、ありがとうございます。
何度見直しても誤字を見落としていて申し訳ない(;´Д`)
お読み下さっている方々に感謝します。
こんばんは、現在、宿のキッチンで晩御飯の支度の真っ最中です。
本当は港町ならではの海鮮料理を堪能したいところだったけど、どの料理もやっぱりクッソ高かったので断念。
一品5000エンからとかどこの高級料理店だと言いたい。普通の定食屋のメニューでこれとか銀座のぼったくり街も真っ青の値段やん。
一食食べるのにそんなお金使う余裕なんか無いので、仕方なく俺の手作りで我慢してもらうことに。こないだの食べ歩きみたいなのはホントにたまにしか無理。
ごめんなー俺の稼ぎが悪いばっかりにー、しくしく。え、茶番はいいからはよ作れ? はいすんません今すぐ作ります。
今日のメニューは天丼に決定。なんか揚げ物ばっか作ってる気がするなぁ、コレステロール値とか大丈夫かな。植物油使ってるから比較的マシだとは思うけど…。
本当は魚の刺身とかを使った海鮮丼とか作ってみたかったけど、二人とも生の魚を食べたことがなくて抵抗あるらしいから具材にしっかり熱の通る料理を選択した。…まあ始めっから無理に生のままの海産物を押しつけることもないか。
白身魚の切り身、ワタを取ってリング状にカットしたイカ、殻を剥いて背ワタを取り尾の剣先を少し切って水を出したエビなんかを塩と(商人のオッサンが売ってた)片栗粉と酒で揉んで水で洗って、清潔な布で包んで数分間放置して水気をとる。
水気があるままだと、揚げる時にめっちゃ油がはねるから念入りに。下手したら油がコンロに引火して火事になるしな。…日本で初めて揚げ物作った時は油はねまくってたっけ。もう熱いわ油でキッチンが汚れるわで最悪だったなぁ…。
水気をとっている間に玉子と冷水をよく混ぜて、小麦粉を加えながら箸で切るように混ぜて天ぷらの衣のタネを作っておく。ダマが少し残るくらいが食感がサクサクになってちょうどいいらしい。
水気のとれた具材に小麦粉をまぶしてよく粉を落として、先ほど作った衣のタネをつけて、170℃強(メニューさん計測)に熱しておいた油に投入。
具材から出る泡が大きく少なくなってきて、パチパチ大きな音が鳴り始めたらすくい上げて油切り用の網の上に乗せて油を切っておく。
海産物を揚げ終わって、余った衣のタネに薄切りにしたロックオニオンと細切りにしたレッドキャロットを絡ませて揚げて、野菜のかき揚げを作って申し訳程度の栄養バランスもとっておく。
ホントはもっと生野菜とか摂った方がいいんだろうけどなー。明日はもっとあっさり目の晩御飯にしよう。
で、あらかじめ出汁がとれる乾燥海藻を水に浸しておいた鍋を火にかけて、軽く沸騰し始めたら海藻を取り除き、砂糖、ソイソ、酒を煮詰めて作ったみりんモドキを入れてさらに煮詰める。
トロミがでてきて程よく味が濃くなったらタレの完成。
最後にアロライスを盛った丼に海鮮天ぷらとかき揚げを乗せて、タレをまわしかければ天丼のできあがり。
アイテム画面に残っていた作り置きの味噌汁もつけて、ちょっとした定食っぽくしてみる。
「晩御飯できたよー、タレが足りなかったらまだあるから好みで追加してくれ」
「うはー、エビとかイカとか揚げたのがいっぱい乗ってるっすー!」
「お店の料理に負けないくらい、豪華…」
「ありがとう、そう言ってもらえると作った甲斐があるよ。それじゃいただきますか」
「「いただきます」」
合唱の後、それぞれ好みの具材に齧りついた。
俺はとりあえずエビから。うむうむ、やはりエビの天ぷらは至高の味わいであるな。サクサクの衣とエビのプリプリとした食感がたまらん。タレもいい感じの甘さだ、味見をこまめにしておいてよかった。
「野菜の天ぷら、サクサクしてて甘みが強くてタレもよく絡んでる。美味しい」
「白身魚とイカもエビも、食感と風味が全然違うのにサクサクの衣とタレにすっごい合ってるっす! ご飯を食べる匙が止まらないっすよ!」
「よく噛んで食べなさい、ご飯は逃げないから」
「匙と言えば、カジカワさんってご飯食べる時に2本の棒で摘んで食べてるっすけど、それが『ハシ』ってやつなんすか?」
「そうだけど、知らなかったのか?」
「ぶっちゃけ、カジカワさん以外に使ってる人を見たことないっす。過去に魔王を倒した勇者様が食事の時に使ってたって言い伝えがあるのは知ってるっすけど」
≪一般的に食事の際には箸はほとんど使用されていない。一応、一部の人間が勇者をリスペクトして箸を使って食事をすることもあるが、正しい持ち方を知らない者が多い≫
つまり、はたからみてると俺って勇者の真似事してるイタい人に見えるのか?
…今後はフォークやスプーン主体で食べた方がいいのかな。でも今更って気もするしなー。
明日も早いし、晩飯が済んだら今日はシャワー浴びてさっさと寝よう。
次の日、昨日と同じように魔獣討伐と薬草採取の依頼を受けて魔獣草原へ。
ちなみに俺たちの担当のナイマという受付嬢は、昨日の薬草鑑定の反動で寝込んでしまったそうだ。ゴメンナサイネー。
…代理の受付嬢が、顔を引きつらせながら薬草鑑定の依頼カードを渡していたし今日は控えめにしておこうか、30本くらいに。
「ウサギくらいなら、もう危なげなく狩れるようになってきたっす。これなら思ったより楽勝っすねー」
「油断は禁物。弱い魔獣だけど、もしも角が急所に刺さったりしたらそれだけで致命傷。気を抜いちゃダメ」
「はーいっすー」
向こうは順調にレベリングできているようだな。このペースなら半月くらいでLv10に到達できそうだ。
ただ、半月の間俺とアルマのレベリングが止まるのはやっぱちょっと痛いかなー。でも無理に奥にレイナを連れて行くのも危険だしなー。
≪魔獣洞窟にひと月もの間連れて訓練させた実績があるので、よほど奥地に入らない限りは比較的安全と推測≫
…まあハイケイブベアとある程度鬼ごっこできるくらいの身体能力はあるみたいだし、油断しなけりゃ大丈夫かな。
でも、念のため少なくとも10日くらいはテリトリーの外周で安全にレベリングさせておこう。
奥に進むのは実戦経験をある程度積んでからでも遅くはないはずだ。
ん、何体かこっちに角ウサギが近付いてきてるな。
こっちじゃなくてレイナの方に行きなさい。そして経験値として糧になってくるといいよ。
『キイィッ!』
ドスッ ドスッ
薬草採取を黙々としてる俺に向かって何度も突進してくる角ウサギ。
能力値に差があるから全然痛くないしHPも1ミリも減ってないけど鬱陶しいからやめれ。
『キキッ!』
『キィィ!』
『キッ!』
ボスッ ドスッ バスッ ガスッ
波状攻撃やめろ。同時攻撃も意味ないから。
しっかしこいつらウサギのくせにホントに可愛くないな。小学校で飼ってたウサギはもっと愛嬌のある顔をしてたぞ。
でも、肉付きはいいな。食肉として見ればなかなか美味そうだ。
……今夜の晩御飯にウサギ肉、試してみるか?
『『『!! キイイィィィッ!!!』』』
…そう思った直後、猛スピードで逃げていってしまった。貴重な経験値と肉が…。
「ヒカル、鬱陶しいからって威嚇して逃がしたら駄目。レイナのレベリングのためにこっちにまわして」
「いや威嚇したわけじゃないよ? ただこいつら今晩の晩御飯にしたら美味そうかなーって思いながら見てただけで」
「それ、ウサギからしたら下手な威嚇より怖いと思うんすけど…」
うーむ、残念。
薬草もそこそこ集まったし、このままだと手持ち無沙汰になっちまうな、どうしよう。
あ、そうだ。
「魔獣がこっちに来るのを待つだけじゃ効率悪いし、ちょっと地面スレスレを飛びながら移動して、レイナのところまで運んでこようと思うんだがどうかな」
「…普通に考えたら運ぶ人が危険だけど、さっきの様子を見る限りじゃ問題なさそうだし、意外と名案かも」
「運ぶにしてもあんまり強い奴を連れてこないでくださいっすよ。カジカワさん熊とか運んできそうで怖いっすもん」
「おいおい、さすがにレベリングにふざけてそんな危険なことはしないぞ。命がけだし」
「そ、そうっすよね、ごめんなさい…」
「せいぜいオオカミとかその辺が限度だろ」
「いやオオカミも充分危険っすよ! ウサギでお願いしますっす!」
初日は魔獣がこちらに来るのを待って狩るだけでも15体も討伐していたし、それだけでも十分かも知れないが効率を上げるのに越したことは無い。
俺が魔獣を運んでくれば、多分さらに倍近いペースで狩れるんじゃないだろうか。
そうすれば実戦経験をおろそかにすることなく、なおかつハイペースでレベリングできるだろう。
魔力が切れそうになれば俺やアルマが補給すればいいしな。
さーて、それじゃあ手ごろな魔獣を探しますかね。
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