異世界への招待は突然に 第二話
「ここが俺の行くべき世界……だと?」
今まで白に染まっていた視界に彩りが加わった。
しかしながら、そこは多彩な世界ではなく、荒廃した原野というに相応しい、というべきか、世紀末のような光景であった。
感想を一言で述べるとするのならば『終わりかけの世界』といったところだろうか。
いや、終わりかけの異世界と言うべきだろうか。
「この世界を救えっていうのか? こんな四十代のゴミみたいな糞デブ男に……」
俺はそう言いつつ、視線を落として自分の身体付きを見やる。
「……へ?」
十年以上も引きこもっていたせいで、体重はゆうに百キロを超えていて、ぶよぶよの脂肪の塊みたいになっていて、自分の体重を足腰が支えることを拒否しだして、悲鳴を上げていた情けない身体のはずだ。
それがどういう事だろうか。
脂肪の欠片どころか、腹のでっぱりのない、すらっとした体型をしているではないか。
「俺は夢を見ているのか? 俺がこんなな体型のはずがない。これはきっと夢……なのか?」
夢かもしれないと思ったのだけれども、すぐさま創造主とやらの声が頭の中で反響した。
『赤ん坊からでは世界を救うのは難しいだろうから、十代の少年に若返らせた上、世界を救えるスペックを付与して送ってあげよう。そう……これはね、君の再生のための物語だ』
俺は十代の少年になったという事なのだろうか?
しかも、世界を救えるスペックとやらを持った少年という事になる。
それは事実なのだろうか?
「鏡か何かで今の俺の姿を見れば、はっきりする事か。しかしだ……」
遙か彼方に土煙が盛大に上がっているのが見て取れた。
何故土煙が上がっている?
気になるな。
ただの気象現象か?
「……違う」
そうではなさそうだった。
何故ならば、土煙の立ち上る手前に無数の人影らしきものが見え始めていた。
「一定の規律によって進行しているな。軍隊か何かか?」
街道を行き交う人々とは思えないほどに規則正しい速度でこちらへと向かってきている。
しかも、俺の方へと進んでいるようにも見えなくもない。
どういう事なんだ?
「穿った見方をすれば、目標は俺ってところか? ただの勘違いなら、進行方向がこっちだったってところか? なにはともあれ、これを好機と見なすべきか」
とりあえず異世界とやらの住人に話を聞く事ができそうだ。
軍隊とかだったりしたら、一悶着有りそうだが、それはそれで構わないか。
世界を救えるとかいうスペックを試すチャンスだしな。
「待つとしようか。あいつらが俺の前に来るのを」
焦っても仕方がない。
終わりかけている異世界の住人とのファーストコンタクトになるんだし、どっしりと構えて待つとしよう。
そのファーストコンタクトがどう展開するのかは流れに任せる事になるが。




