第4話「新人冒険者」
気持ちのいい朝日を浴びながら起床した。
「お腹減ったな」
そういえば俺はこの異世界に召喚されてまともな食事をしていない。食べているものといえば、きのみや川魚くらいだ。今日はギルドに行く予定だがその前に食事をしに行くか。金もまだ残っている。調べたところモンスターが落とす魔石は換金できるそうだなので今まで倒した。魔石を全て換金したら結構な額になった。とりあえずこの金で何か食事をしようと思い俺は街に出た。
「‥‥‥」
飲食店が見つからない。
近くには酒場などしかない。朝早くから酒を飲む気は無いからもう少し探すことにした。
すると街の端近くでやっと飲食店を見つけた。外見は少し古びているが店の大きさもそこそこで中から漂ってくる料理の匂いが良かった。
「よし、ここにするか」
中に入ると元気な声で猫の尻尾を立てながら女の子が近寄って来た。
「いらっしゃいませ、こちらにどうぞ」
10代後半ぐらいの女の子に連れられて1つの空いている席に座った。
「ご注文が決まりましたら、お呼びください」
そう言って他の客の接客に戻って行った。
「さて、何にしようかな」
俺はテーブルに置かれているメニュー表を取ってメニューを選んだ。いかにも異世界って感じのメニューだった中から俺が選んだのは
『翼竜の甘辛肉丼』という料理だ。
「すみません、翼竜の甘辛肉丼をください」
「はーい、少々お待ちください。」
そこから10分ほど経って料理が運ばれてきた。見た目がすごく美味しそうでお腹の減っていた俺はすぐに食べつくしてしまった。
料理の美味しさに感動を覚えているとさっきの女の子が皿を下げにきて下げ終わると喋りかけてきた。
「みない顔ですけど旅の人ですか?」
「まぁ、そんなとこだ。これからギルドに行って冒険者登録をしに行こうと思ってるんだ。」
「そうだったんですか。あっ言い忘れてました。私は亜人猫族のリア・イーリスと言います。」
「俺は星延為人だ、よろしくな」
「はい。よろしくお願いします。為人さん」
「ところでギルドってどこにあるんだ。まだ来たばかりだからあまりこの街のこと知らないんだ。」
「ギルドならこの街の中心にある時計塔のすぐ横にありますよ。」
あの時計塔か、よしすぐに行ってみよう。
「ありがとうな、代金はここに置いておくよ。あと料理美味しかったからまた来るな。」
「いつでも来てください」
そう言って俺は店を出てすぐに時計塔を目指した。時計の近くに行くと全身に鎧をつけている奴や長い剣を腰に下げている連中が建物に入っている。
「あそこがギルドか」
そこがギルドとわかった俺は早速中に入ってみた。すると中には厳つい顔をした中年の男性や何人かのグループで固まっている女性がいた。
「すまないが冒険者登録はどこですればいいんだ。」
俺は近くにいた年齢50歳半ば程の男に登録する場所を聞いてみた。
「ん?兄ちゃん冒険者登録するのかい?辞めときな兄ちゃんみたいな若いのがこんな職業」
「大丈夫だ。こう見えてちゃんと鍛えてはいるからな」
「そうかい。登録ならあそこにいる受付の女に頼めばできるよ。」
「ありがとう」
そして俺は言われた通り受付に冒険者登録をしに行った。
「冒険者になりたいだが、登録はどうやればいい?」
「それならこちらに名前を書いてあちらの方でお待ちください。後でお呼びします。」
言われて俺は5分程呼ばれるのを待った。
「ホシノベ・アクト様こちらへどうぞ」
呼ばれて俺は受付の指示に従い別の部屋に移った。中にはテーブルとソファーがありそこには先程いた受付嬢がいた。
「冒険者の登録で間違いありませんね?」
「そうだ」
「ではこれから冒険者の活動やお知らせと、注意事項をお話しするのでよく聞いていてください」
そして俺は受付嬢の話を整理した。
まず活動内容と冒険者について、
冒険者は探索に行く。モンスターの狩猟。などが主な活動でそれをこなすことで冒険者としてのランクが上がり、ランクが上がるごとに報酬や依頼の難度を上げることが出来る。
冒険者のランクには、E、D、C、B、A、S、SS、SSSの8段階があるらしいこのギルドにはまだAランク以上の冒険者はいないが別のギルドには何人かいるらしい。
次に注意事項、
冒険者は街の人間から依頼を受けて報酬をもらうが報酬金の量はその依頼の難度によって決まっている。
そして依頼を拒否することは認めるが、ギルドからの応援要請に必ず従うこと。
これが受付嬢に教えてもらったことだ。そしてようやく冒険者登録をする。
「では、これから登録しますがクラスは何にしますか?」
「クラス?」
「はい、冒険者には剣士、魔術師、サポーター、3つのクラスがあります。
剣士は主に剣を武器として近接戦闘をします。魔力値が高く剣術の心得がある人にはおススメです。魔術師は遠距離から魔術を使って攻撃をします。サポーターは冒険者の補助として荷物持ちなどをします。なのでこの3つから選んでください。」
「これといって何になるか決めてないから良ければ決めてくれ」
「良いんですか。ならまずはあなたの魔力値を測らせてもらいます。」
すると何か機械を取り出して俺に近づけて起動させた。すると青ざめた顔で俺と機械を何度も見つめていた。
「どういうこと、こんな魔力値見たことが無いわ。あなたどこかの王族なの?」
「普通の一般人だが?そんなに凄いのか?」
「当たり前でしょう‼︎魔力値300万超えとか王族の宮廷魔術師で100万を超えている人が2,3人程よそれの3倍だなんて。」
「なら俺、剣士になるよ剣術も少しならあるし」
そう俺はニート生活を始めて剣術を覚えた。独学ではあるが6年でまともに使えるようになった。なので俺は剣士が向いている。
「いいんですか?この魔力値なら宮廷魔術師になって冒険者より稼げますよ。」
「いい別に金に興味はない。とりあえず強くなりたいんだ。」
「そうですか。なら剣士として登録しますね。」
「ああ」
「では、これから冒険者としての活躍期待しています。」
こうして俺は冒険者としての活動を始めた。