第1話「異世界召喚」
時間は午後、昼過ぎ雲ひとつない快晴だ。風がほんのり暖かくて歌でも歌いたい気分だ。
そんな中俺こと星延為人は周りを大量のモンスターに囲まれていた。
「ギィ」「ギィギィ」
見た目は漫画やアニメなどで出てくるゴブリンに似ている。漫画やアニメではそこまで強くない雑魚モンスターだが冒険者でもない俺は何の武器も持っていない丸腰状態だ。
数はざっと200匹程度普通の人間なら死確定だ。
「普通の人間ならな」
瞬間俺の周りにいたゴブリンを炎の渦が呑み込んだ。ゴブリンは灰になって朽ち果てた。魔力を解いて炎の渦を消すと周りにはゴブリンが落とした魔石あった。
魔石を拾うと俺は家に戻った。
家と言っても洞窟の中を少し改造して家にしているだけだが当面はここが拠点になる。
なぜ俺がこんな生活を送っているかと言うと俺は数日前にこの世界に召喚された人間だからだ。
〜数日前〜
俺は相変わらずニート生活をしている。
高卒から6年の間ずっと就職もせずにいるせいで親からも期待されなくなった。家から出ても近所の人の視線がむけられてくる。あまり外には出たくないがそれでも自分が決めた目標は守っている。
俺は中,高共にいじめられていた弱い自分を超えなくてはならないそのためにも毎日人が来ない山奥でトレーニングをしている。
トレーニングを6年間し続けたおかげか肉体的にはもちろんのこと精神的にも成長した気がする。
トレーニングが終わっていつも通り家に帰ろうと街に出ると俺は不思議な女に出会った肌の色は白くてまるで漫画やアニメの世界から出てきたヒロインみたいで学生や周りの人に注目されていた。
だが俺には関係ない俺は人間が嫌いだ。どうせあの女も俺みたいなニートを心の中で蔑んでいるに違いない。
そう思って家に帰ろうと人混みを抜けて行くと周りの変化に気づいた。さっきまで大勢の声がしてうるさかったのにいきなり静かになった。不思議に思い周りを見回すとまるで時間が止まったみたいに誰も動かなくなった。
状況整理が追いつかなくなり、今の状況に混乱していると後ろから声が聞こえてきた。
「どうやら素質があるのはあなただけのようね」
俺は声がした方向に振り向くとそこにはさっきまで注目されていた女がいた。
彼女が何かを知っているようなので俺はこの状況がどういうことか聞いた。
「どういうことなんだ」
「なんで誰も動かないんだ」
「それは私がここから半径数kmにいる全生物の時間を止めたから」
俺は彼女が何を言っているのかわからなかった。時間を止めた?そんなアニメの世界みたいなことが本当にできるのか?仮にもしできたとしてもならなんで俺は動いているんだ?
「質問は以上?」
「なんで俺だけ動けるんだ」
「それはあなたには素質があるからよ」
「素質?一体何の」
「あなた達がよく見ているアニメなどで出て来る魔力やスキルよ。でもこの世界じゃ人間は使えないけど」
俺に魔力やスキルが?一体なんでそんなことが俺は普通の人間じゃないのか?
「私たちの世界じゃ魔力やスキルなんてそんなに珍しくないけど、あなたに秘められた魔力量は私たちの世界でも桁外れなの」
「何でそんなことがわかるんだ。」
「今私が使っている魔法はある一定以上の魔力量がないと動けない仕組みになっているの。そして動いている生物の魔力量を数値で測る」
「だから今のあなたの魔力量がどれくらいかが私には分かっている。」
「なるほどだけどそれが本当だったとしてもなぜ今それを俺に教えているんだ人間はこっちの世界では魔法を使えないんだろ」
俺は今の疑問を口にした。
「さっき言ったでしょ『私の世界』って」
今の言葉でわかった
「つまりお前は異世界人でそこの世界では俺も魔力を使えるってことか」
「そういうこと、そして今から私があなたを異世界に召喚する。」
「理由を聞いても良いか」
「私の世界は今魔王の力によって危機的状況に陥っている。だからあなたの力が必要不可欠なの」
「だからお前の仲間になって力を貸せと」
俺は話を聞きながら答えを決めていた。
「いいぜ」
その言葉を言った瞬間彼女は笑顔になった。
「ただし俺は自分のやりかたで魔王を倒すそれで文句ないな」
彼女は驚いていたがすぐに答えた
「わかったわ」
「じゃあ早速あなたを異世界に送るわ、送った後私はいないから自分の力を私が来るまで試していればいいわ」
そういうと彼女は詠唱みたいなのを唱え出した。
そして足元に魔法陣が出てきた。
「最後に聞くがお前名前は?」
彼女は微笑みながら答えた
「私はノア、ノア・オリビア」
「 あなたの名前は?」
「俺は星延為人だ」
瞬間目の前が真っ暗になった。
目を覚まし起き上がるとそこにはいつもとは違う日常が広がっていた。