~1~
アカツキ村はそれほど遠くはない。
むしろ近いのではないだろうか。
後ろには2Sが敵を蹴散らしながらついてくる。
「2S。あまり力を使いすぎるな。あの兄弟と戦う日がいつ来るかわからないのだから。」
「すみません。4A。気をつけます。」
2Sは妙なところで頑固だがその逆もある。
変に素直だと私もかえってやりづらい。
2Sはよくわからない。
何を考えているのかもさっぱりで、思考回路がほかの機体と違って読みづらい。
しかも2Sだけ。
他のS型の機体はどう思ってるかなんて、わかってしまうのに。
「4A。もうそろそろ目的地です。」
こいつは、本当に人間のようで不思議だ。
私に感情や心がなければ、こんなに悩んだりしなかったはずだったのに。
「4A?どうしましたか。」
「いや…何でもない」
嗚呼、もう着いてしまったか。
「おや…?4Aさんと2Sじゃないですか。そういえばボクが呼んだんでしたね。」
「こんにちは。そうですよ。スミレさん。」
二人は仲が良かったんだったか。
見るからに村に異常はきたしていないようだった。
村のモノたちはとても元気そうだ。
「実は、子どもたちに遠足に行きたいとせがまれまして…護衛をお願いしたいと…」
「2S、遠足とは何だ」
私には人間のすることには、あまり興味がない。
遠足。
私はアンドロイドなのだから、知らなくていいことだが、
探究心まで人間と同じようにプログラミングされている。
馬鹿らしい。
「4Aはあまり人間を観察することがないんでしたね。この村より少し遠く出かけることです。」
「…興味ない」
聞いておいて悪いが、そこまで楽しそうには見えない。
だが、まぁ…罪のないモノが楽しみのは間違っていない。
「が、許可する。」
「え、いいんですか4A?司令官に許可を取らなくては…」
「司令官は協力者には尽くせと言っていた。私はその命令を随行する。」
「4A…君がそう言うなら…」
2Sはやはり可笑しい。
メンテナンスが必要なのではないだろうか。
私が受けた命令は同時に、2Sの命令でもある。
だが、2Sの言い方は私がまるで、司令官のように…
気のせいだろう。気にしてもしょうがないことだ。