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マインド・サルベージ  作者: 伊都 空色
1/1

人はなぜ犯罪に巻き込まれるのか

1 管理官と会話


今日のミッションは大変だったな。

16時間のフルダイブだったが、スイミングした後のような心地

いい体の疲れだ。自分の体の方が、今は何となく違和感を感じる位

だが、それもひと風呂浴びれば落ち着くだろう。まずは熱いコーヒ

ーだ。


「お疲れ様でした。しかしながら、メンタルダメージが、ほぼゼロ

というのは驚きです。他のサルベージャーでは40~80%位は当たり

前なのに、あなたは最初のミッションが8%だった以外は、ゼロです」


言葉を口に出さなくても、頭の中でAIの相棒と会話ができる。



「どうして、男性の方が向いているのかっていう質問でしたね」


いきなり管理官の声がしてきた。


「それは、今現在、現役のサルベージャーは、あなたを含めて12人

いますが、そのうちメンタルダメージ、ウエットダメージとも言われ

ていますが、11人に進行中で回復の見込みもありません。おそかれ

早かれ、この11人はサルベージ出来なくなるでしょう。その11人

はすべて女性です。それ以外の共通点は見つかっていないのです」

俺の理解を確かめながら、ゆっくりと話してくれている感じだった。

「どうぞ。続けて」 俺は、管理官に続きを促した


「現在、マインドサルベージの対象者は女性のみ、つまり何らかの

事件に巻き込まれて、その死が予測される女性しか、私たちは事前

に兆候をつかむ事が出来ないわけです。その兆候をつかみ、その女

性の死の直前までの感情や思考をマインドサルベージすることによ

って、事件の全容解明を行う。当初から、当然のように、女性の体

を「乗っ取る」わけですから、女性が適任と考えてきましたが、ミッ

ション後の、サルベージ担当官が、本来は自分のものではないはず

ダイブ先の女性の持った感情や思考が、強烈なトラウマとして、ミ

ッションの度ごとに、内容も回数も多くなってきている状態です」


そんな話はAIもしてくれなっかったよな。


「そこで、男性のサルベージャーを発掘し、訓練していくという

新たなチャレンジ・プロジェクトが開始されたのです。ですが、

そこで私たちが予測もしない出来事が起こりました」


あれだろう。死ぬ予測の奴が死なずに済んだっていう。


「これまで、事件に巻き込まれる女性の命が救えるという事は

まったく考慮されていなかった、可能とは考えられていなかった

わけです。それを、たまたま偶発的な、あなたの行動によって

女性が意識を自らの意思で回復させ、生きようとする力を再び

取り戻すという事例が証明されたわけです」


俺のたまたまの行動は、モニターされていないって聞いてる

し。報告書にも、そこの具体的な所は記憶に無いという事で

処理されているみたいだけど。


「あなたの性格からして、ある程度の予測は立ちますが、局内

でも、あえてそこは追求しないでおくというのが方針ですから」


まあ、誰も、まともに聞きたい話じゃないだろうしね。

「ありがとう。疑問に答えてくれて」


「あなたの予測不能な適応能力に、今後も期待と関心を持って

います。ゆっくり休んで下さい。 以上です」


「長い話でしたね」AIの相棒が、すかさず言ってきた。

「いや。そうだな。次のミッションまでは最低48時間あるん

だったよな」AIに念の為に確認した

「ええ。正確には、あと47時間と51分はインターバルの

時間になっています。そろそろ、私も退席しましょうか」

「ああ。ありがとう。じゃあ、次のミッション・ブリーフィング

までお別れだ」

「それじゃ」

誰の声も聞こえなくなった。



2 







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