表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

5.

 尊は部活に行く前は、必ずうちへ寄る。帰りは塾だったり、バイトだったり、忙しそうな高校生活を送っている。

 私は朝帰りをやめた。相変わらずたまに渋谷へ行くけど、そんな日は、バイト帰りの尊と一緒に帰ったりしてる。

 ある日、部活に行く前の尊に何気なく言われた。

「瑠利、俺を大人の男のかわりにするなよ? 俺は俺だ。瑠利が大切だし、大切でどうしようもないし。」

 ハッとした。大人の男のかわり……。

「そんなこと思ってない!」

 尊もハッとした。

「ごめん。」

「もう帰って!」

 わけもなくイライラした。

 寂しそうに家を出る尊を、いつもみたいに見送ることなく、私はベッドに倒れた。

 大人の男のかわりて何!?

 そりゃ、尊と私には、少し温度差あるかもしれない。

 話してて楽しい尊と、奈菜の紹介てこともあって、そんなきっかけで付き合っていたかもしれない。

 でも、尊は尊だ。

 毎日、顔見に来てくれる尊。

 渋谷で遊んでも、それは尊のバイトのある日だけだ。

 ナンパされても、もう、ついて行ってない。

 ハッとした。

 尊、私のこと、知ってしまったの?

 制服でもお構いなしに入れてくれるホテルで遊んでたり、タバコ吸ったり、て、タバコは尊も知ってる。やめろて、言われてるけど……。

 尊、何を知ってしまったの?

 でも、私、尊を男として意識して、ときめいてるのも事実だよ? 楽しいだけじゃない。

 楽しいだけで、尊と付き合ったりなんかしてない!

 私はベッドから起き上がると、急いで玄関へ向かった。

 靴なんか何でもいい!

 適当にぺったんこのミュールを履いて、尊を追いかけた。

 5分も走ったら、尊の後ろ姿が見えた。

「尊!!」

 驚いたように振り向く尊に向かって、スピードを上げた。

「部活行く前に、ごめん! なんで、あんなこと言ったの?」

 私は息を切らしながら言った。

「なんで、て……。」

 尊の目が泳いだ。

 やっぱり、何か知ってるんだ!

「なんでもねーよ! ただ、俺は、お前のこと、好きなのをちゃんと伝えたかったんだよ!」

 道行く人達の視線を、一斉に感じた。

「尊! 私も、変なことしてた時期あるけど、尊のこと好きだよ! 最初は楽しかったから、一緒にいた。でも、今は違う! 2学期からは真面目に学校へ行く! 尊、いるからだよ!」

「……。」

 私達は、周りの視線なんかどうでもよくなっていた。

「部活の帰り、また、行くから……。」

「うん!」

 私達はそこで別れた。

 それから30分もしないで、尊はうちへ来た。

「顧問が出張になって、部活休みになった!」

「やったね!」

「遊びに行こうぜ! 俺、自転車とってくる!」

「うん!」

 私達はどちらからともなく、手を繋いだ。

 心が音を立てた。

 目眩がしそうな、でも、心地良い音。

 こんな気持ちになれるなんて……。

 私達は走って家を出て、尊の家に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ