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「ッッ、……この、ヤロッ、」
「喰うのか……詩子サンを喰うのか、青頭巾……」
「喰わねぇ!!」
「ならば証明しろ。詩子サンを喰わないと証明しろ」
「今まで喰わなかった! ソレ以上に何がある!!」
「腹が空けば喰うんじゃないのか……?」
「喰わない!! 詩子たけは喰わない!!」
「でも、他の人間は喰うんだろう……」
「!!」
食べなければ死ぬ。死んでしまえば詩子といる事は適わない。
詩子と共に生きる為にも、龍司は人を喰わずにはいられない。
ソレが答えだ。
牧田は龍司の手首を その儘 捻り潰す。
ゴキ!!
「!! ……グ、、ぁ、あぁあぁあぁッッ、、」
包丁が落ちると同時、龍司は膝を突く。
「青頭巾、お前は詩子サンを喰う。いつか喰う。だから このまま去れ。
ソレが証明になる」
「ぅ……詩子は俺のモンだぁあぁあぁ!!」
龍司は もう一方の手で包丁を拾い上げ、牧田の胸を切りつけると素早く距離を置く。
「誰にも渡さねぇ!! 詩子は ずっと俺と一緒に生きてく!!」
「牧田! 一思いに殺しなさい!! サトリが持たないわよ!!」
「ぁぁ、詩子サン……」
「馴れ馴れしく呼ぶな! お前は殺す! 絶対に殺す!
詩子に手ぇ出すヤツぁ、この俺が皆殺しにする!!」
「ぁぁ、青頭巾……お前は何て恐ろしい化け物なんだ……」
牧田は龍司を哀れみ、頭を振る。
ココで片を付けなくては、龍司は何度でも罪を重ねるだろう。
ならば見逃す事は出来ない。牧田は固く拳を握り、大きく振り上げる。
「!!」
一撃必殺。
龍司が素早く身をかわせば、牧田の拳は地面を砕く。
ドォン!!
まるでダンプカーが壁に衝突したかの様な震動と破壊力だ。
砕けたコンクリートが周囲に舞えば、詩子は苦しげに咳き込む。
「りゅ、龍、……ゴホゴホゴホッ、」
「詩子!」
「青頭巾! お前は詩子サンに近づくな!」
「ッッ、」
牧田は自らの破壊力で拳を潰すも、痛みすら感じる間も無くスピード再生。
何度でも鉄のハンマーと化す。
ソレを眺める木曽川は、2人の見事な立ち回りに目を輝かせる。
「何て生物なのかしら、アンタ達は!! 素晴らしい!! 本当に素晴らしい!!
先祖返りなんて勿体無い! 新人類よ! 新人類の原石だわよ!
この私が見事、サトリを触媒化して、本物の命ってモノを作り上げてあげるわ!!
美しい人類を創造してあげるわ!! アハハハハハ!!」
絵に描いた様なマッドサイエンティスト。
否、人知を超えた生態を目の当たりにしてしまえば、学者としての血が騒ぐのは当然なのかも知れない。
詩子は這うように体を起こし、声を絞り出す。
「ゃめ、て……、龍を、傷つけないでっ、」
相手は不死身の赤頭巾。
攻撃が如何に届こうと、龍司の形勢が不利である事に変わりない。
今は素早く身をかわしているが、息を荒げる龍司のスピードは徐々に失われて行く。体力も時間の問題だ。
《マズイ、マズイ……
ヤツにはコレ以上 近づけねぇし、利き手は使えねぇ、足にも力が入らなくなって来た、あんな怪力くらったら体が真っ二つ……赤頭巾に弱点はねぇのかよ!?》
詩子は龍司の心の声を聞き取ると、木曽川の思考に耳を澄ませる。
《フフフ! 馬鹿な青頭巾! 赤頭巾には どんな攻撃も無意味!
弱点があるとすれば、脳を潰すのが精々だわよ!》
全ての司令塔である脳を潰してしまえば、流石の赤頭巾も再生できない。
詩子は牧田の頭を指差す。
「ぁ、頭、」
「!」
龍司は包丁を握り込む。
然し、牧田も その隙を見逃しはしない。大腕を振り下ろす。
直撃を受けては即死だ。龍司は一時避難に後方へジャンプ。
然し、粉砕されたコンクリートの粒が龍司の足元を掬う。
{!!}




