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現代の魔法使いは異世界を行く  作者: リールルーレ
日常瓦解の序曲
9/18

八話 戦いの果てに

「なっ!・・・なんということだ」


 あまりの光景に一瞬硬直するマロウ兵士長。

 いきなりあんな魔物の群れが現れたら無理もないけど。


「全員お互いに背を向けて通路から来る敵を撃退せよ!死にたくなかったら気を抜くんじゃないぞ!」


 この部屋の入り口は2つだから味方同士で背を向けて戦えば後ろを気にせず戦えるということだろう。

 だがいまいるのは熟練の兵士ではなく戦い方を知ってまだ1ヶ月の元高校生だ。

 一応マロウ兵士長の部下が10人くらいいるが・・・。果たしてどうなるのか。


「グルワァァァアア!」


「くらえ!」


 ガキィン、と鳴る黒羽の一撃で戦いの幕は切って落とされた。

 僕や明人も剣を抜き放ち魔物をひたすら殲滅していく。

 唯子や和音は魔法メインなので後衛からバックアップすることとなる。



「ひっ!」


 少しした頃、1人の女子が恐怖に耐え切れず倒れこんでしまった。


「グワァ!」


 チャンスとばかりに魔物がその女子へ向かって襲い掛かった。

 クソ!魔物の相手をしているせいで間に合わない!


「うおおおおお!」


 どこからとなくダッシュで駆けつけた黒羽が魔物を勢いでそのまま両断した。


「大丈夫かい?前衛が無理そうなら後衛で魔法の援護をしてくれ」


「わ、分かりました」


 女子のピンチに駆けつけるなんてまるで主人公みたいじゃないか。

 なんとなくそう思った。


 さあこれ以上酷い被害を出さないように僕も頑張らなくちゃな。






 ◇◆◇◆






 戦いが始まってどれくらいたったか。

 あれから負傷したクラスメイト達は、魔法で治癒されてはまた戦いに駆り出されていくというのを繰り返していた。

 黒羽も例外ではない。

 僕も小さな傷が積み重なってそろそろ辛くなってきた。

 あたりは血と肉が焦げた臭いが充満していて鼻がいかれそうだ。

 押し寄せる魔物の量がそろそろ減ってきたからもう少しで終わるかな・・・。


「そういえば唯子達は大丈夫だろうか。ちょっと探してみるか」


 隙間を縫うように沸いてくる魔物や魔獣を殲滅しつつ、僕は唯子の元へ向かう。

 見つけた!どうやら明人や他のクラスメイト数人が前衛で和音と唯子が後衛をしながら戦っているようだ。

 戦闘に一区切りがついたところで僕は彼らに近づき、一番近い唯子に話しかけた


「唯子、大丈夫そうでよかったよ」


「誠司!誠司も無事でよかった」


「唯子はまだ魔力に余裕ありそうか?余裕なら回復(リカバリー)かけて欲しいんだけど・・・怪我はそんなにないけど休みなく戦ってきたせいで僕まいっちゃうよ」


 回復(リカバリー)は治癒と疲労回復の2つの効果がある便利な魔法だ。怪我だけを治すなら治癒(ヒーリング)がある。


「それくらいはまだ余裕が・・・そこっ!」


 話している途中唯子が険しい顔になったかと思うと、僕の後方目掛けて軽い雷魔法を飛ばした。

 ふと後ろを見ると獣型の魔獣が僕の背後を狙っていたらしい。

 軽い魔法といっても、唯子の魔力量が馬鹿でかいのため一撃で絶命したようだ。


「ありがとう唯子。余計な手間かけさせちゃったね」


「いいのいいの。誠司のピンチは私が助けるって約束したからね。それじゃ気を取り直して、”かの者の傷と疲労を癒し給え、回復(リカバリー)”!」


 ほのかな光が僕の体を包むと同時にスーっと痛みや疲労がある程度引いていく。全快とまではさすがにいかないが大分回復した。


「サンキュー。大分調子がよくなったよ」


「うん!私も頑張るから誠司も頑張ってね!」


「ああ、それじゃあまた敵から不意打ちを食らわないように周囲を見回らなくちゃな」


 そう言うと唯子は頷き、周りを見回し始めた。唯子の性格から考えるに、どこか手薄なところへ加勢しようとしているのだろう。

 よし、それじゃあまた敵を殲滅に・・・。と、思った瞬間嫌な魔力をすぐ傍で感知した。

 炎属性の魔力が結構なレベルで蓄えられており、こっちに真っ直ぐ接近中だった。

 咄嗟にその接近物体の方向を見ると、そこにはデストラクターという魔獣がいた。

 獣というより見た目はただの岩の塊にしか見えない。読んだ本によると、獲物に接近し自爆するのが唯一の攻撃方法らしい。しかし接近で受ける自爆の一撃は人一人の命をたやすく奪えるレベルだ。


 現在デストラクターは唯子の真後ろの方向から来ており、唯子は全く気がついていない。その上、転がりながら接近する奴のスピードはそれなりにあるのでもう急いでも回避は出来そうにない。

 こうなったら・・・。


「唯子!危ない!」


 咄嗟に唯子を何もない方向へ突き飛ばした。


「いたっ!」


「うっ!」


 これで唯子は即死範囲内から逃れられたが、僕も焦っていたため躓き倒れこんでしまう。

 唯子はこちらを振り向くと、近くまで接近していたデストラウターから助けるために突き飛ばされたと気がつく。


「誠司!」


 そう唯子が叫んだ瞬間、デストラクターの魔力反応が高まる。すぐにでも爆発するだろう。

 仕方がない、ここで唯子達とはお別れだな。

 悲痛な表情を湛える唯子を見つめながら僕は懐からあるものを床に叩きつけ、呟いた。


「さようなら、唯子」


 数秒後、耳をつんざく爆発音が迷宮に響いた。



お読みいただきありがとうございます。

ご感想、誤字・脱字・変な文章などの報告・指摘をお待ちしています。


一章で書きたいことがほぼ終わったー。

文の質が低クオリティなのはご愛嬌。


あえて今回は次回予告はありません。

それでは次回も期待せずにお待ち下さい。

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