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そして更に佐平は、綴られた住所の隅に、見知らぬ女の名前を見つける。
─── 米田妙
ひらがなで当てられた“たえ”の名も、米田という姓にもまるで心当たりがない。
それなのに...
佐平はその時、何の根拠もなく、ただ漠然とした明るい未来が我が身に降り注ぐような不思議な感覚を覚えた。
そしてその一筋の閃光は実際、後に佐平の将来の細部へと分け入り、執拗に照らし続ける事となる。
佐平がこの時に脳裏に掠めた正夢は、輪郭さえ判然とはしなかったものの、その終着点は、正に恐ろしい悪夢だったと言える。
【佐平ちゃん、驚かずに聞いてくださいね。
ここに書き留めた住所はあなたの実の妹の住まいなのです。
あなたの父は、まだ乳離れもしないうちに、妙に養子縁組の話を持って来ました。
まだ若かったあなたの父は、




