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お笑い まんざいネタ

作者: 青木 航

「おい、航、何居眠りしてんだよ」


「うん? だれ」


「俺だ。分からねえのか? 千方だよ、千方」

 

 目を開けると、25才の千方が立っている。


「あ、夢か。夢見てるんだな、俺今」


「俺、今暇でしょうがねえんだよ。分かる? えっ?」


「ああ、分かってる。出番が無いから、文句言いに出て来たのか? 」


「そうだ。餓鬼の頃の話なんか長々と書きやがって。おまけに、朝鳥だの祖真紀だの、千常の兄貴だの、みんな、主役の俺を食ってるじゃねえか? だれが主役なんだよ、一体」


「ま、そう言うなよ。大体、14才のお前に、将門の乱だの阿弖流爲あてるいだの語らせらんねえだろう」


「25才の俺が主役で、かっこ良く戦って、いい女にほれられて、どんどん出世して行く。そんな風に書いてみろよ。その方が読んで面白しれえだろう。歴史の授業やってるつもりかよ。能書きばっか並べやがって、漢字は多いし、お前はサドか? 読んでくれる人に苦痛与えて楽しんでんのか? 」


「そのうち、お前の出番来るから、文句言うなよ。実は、今の部分は2~3話で済まして、一話の続きに戻るつもりだったんだが、どんどん書くことふくらんじゃってな。もう少しで戻るから、ま、そんなにとんがるなよ」


「ま、あんまり期待しないで待ってるわ。だいたい、ねっと小説なんて、気楽に読むもんだ。ラノベの10本も読んで、少しは勉強しろ。年寄は「水戸黄門」や「暴れん坊将軍」、若い奴は「チートな俺」とか「異次元での冒険もの」とか「学園恋愛もの」とか、そう言うシンプルで分かり易いのが好きなんだよ。

ま、お前に面白いもの書けったって、無理そうだけどな」


「言ったなこの野郎。じゃ、書いてやるわ」



A:はい、こんにちはA&BのAくんです。よろしくお願いしま~す。


B:ちょっと待てや。なんでお前がAくんなんや。……ほな、わしがBくんかい?


A:ええやんか、しょせん名前なんて記号や。わしが、Aくんで、お前がくそったれのBでも、お前がびびりのBで、わしが人気のAくんでも、どっちゃでもええやんか。


B:おんなじや!けっきょく自分がええ方やんか。


A:こまかいこと気にすんな。大物になれへんぞ。人間中身や。お前は中身がええ。


B:そうか?


A:そうやぁ、お前は中身がええ。わしは顔がええ。


B:こらぁ!


A:平等やろ? お互いええとこほめあうのは美しい。美しい友情やな。


B:もうええわ。お前と話しとったら疲れるわ。


A:ところで、最近、腹立つことあんねん、聞いてくれるか?


B:なんや、言うてみぃ。


A:人間がコンピュータに使われとる。なっさけないと思わんか?


B:そりゃまあ、コンピュータ社会やから、そういう面もあるやろ。なんに腹立っとんねん?


A:コンビニ。……行ったことあるかぁ?


B:あるわぁ~!! いまどき、コンビニ行ったことない奴なんておるんか!?


A:お前知っとるやろ、わし、たばこ吸うんや。


B:絶滅危惧種やな。野蛮人、社会の敵。


A:ふふ、お前、ここぞとばかりカタキ取っとるやろ。喫煙者にも基本的人権はあるんや!高っかい税金払わせられとるんや!


B:でも、ひとに迷惑かけるやんか。受動喫煙とか……。


A:だったら、そのうわまえはねて、政府が税金取るな! あらゆる差別はいかん言うときながら、喫煙者の差別だけは奨励しとるやないか! いっそのこと、禁煙法を作れ~! たとえ税金取れへんでも、真剣に国民の健康を考えますって態度で示せ!


B:本気で言うとんのか? 禁煙法できてもええんか?


A:いや、……それはちょっと困る。


B:こら~っ! 偉そうにさんざん言うときながら、簡単に自分の主張を曲げるな。


A:……ごめん。


B:で、それが、コンピュータとなんの関係があるんや。コンビニとなんの関係があるんや。


A:そうそう、何言うか忘れとった。ははは。


B:“ははは“やないわ。自分の言うことくらい忘れるな!


A:コンビニで酒とかたばこ買うと、「私は20歳以上です」って出て、タッチパネルにタッチさせられるやろう。


B:うん、まあな。わしはたばこは買わんが、酒とか買ったら、そういうのあるわな。


A:わしが18歳に見えるか? お前がJKに見えるか? ええっ!


B:何でそこにJKが出てくんねん? 20歳未満の人には酒やたばこは売りませんというコンビニの姿勢や。


A:見たら分かるやろ!


B:ま、大体はな。でも、ふけた未成年もおるやんけ。


A:こないだなんか、80歳くらいのじいちゃんにもタッチさせとったぞ。あれ、見たらわからんのか? じいちゃん「わしは、未成年に間違えられるほど若くみえるんか」って喜んどったわ。


B:ええやないか。じいちゃん、勘違いでも、気分良くなって帰ったんやろうが。


A:じいちゃん、勘違いして、若い女くどいて「エロじじい~っ!」って騒がれて警察に捕まったら、コンビニ、どないに責任取るんや! 40年間、毎日毎日たばこ代と昼飯代の千円札をにぎりしめて出勤し、こつこつと働いてきたんや。それなのに、痴漢で警察に捕まったら可愛そうやないか。はずかしくて町歩けんいうて、嫁は息子と孫を置いて家出してしまう。孫は学校でいじめられ……。うぅ、うう。


B:泣くな! どこのじいさんの話しとるんや。


A:未来のお前や!


B:ええかげんに、せい!


AB:はい、A&Bでした。


「どうだ。面白くないか? 」


「……言っちゃ悪いが、これ30年前の漫才の典型的なパタ~ン。それを打ち破ったのが、TTS=たけし、タモリ、さんまだろうが。古いんだよ! お前夢見てるけど、俺が寝るわ。お休みZZZZZ」




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