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小路流のプログラミング  作者: しげる
彼と彼女の事情
2/6

01転職のススメの後に

改変しました。理由は活動報告に。今週分の更新は、明日夜ぐらいかと。


※この作品に出てくる固有名詞は、一部の地名などを除けばほぼフィクションです。

「おはようございまーす」

 

 カードキーをしまいながら部屋の中に声をかける。

 いつものように返事は無い。

 この時間だと徹夜明けの連中か、早シフトの連中が集中してるかだからこんな感じになる。

 昔は挨拶を交わさなきゃならないとかルールがあった会社もあったが、そもそも朝来て仕事を始める奴が一割を切ったあたりから、徹夜仮眠組からの断固たる反対意見があって、声は掛けるがTPOを考えろって話になったらしい。限界ギリギリで働いてる状態で、変に集中が途切れると即落ちしたりするからな。

 

「おっ来たな。小路、ちょっと来い」

 

 席の方に向かってたらたらと歩いていると途中で呼び止められた。

 呼ばれた方にはがっしりとした体躯のヒゲめがねこと大先輩の金子部長が手招きしていた。だが、取り敢えずの興味はもう一人へ向かう。

 

「おはようございます部長。今日は早いですね」

「今日もだ。管理職なんてなるもんじゃないな」

「お疲れ様っす。それで何用ですか?」

 

 そう話しながら視線はその横に立つ人影に釘付けだった。

 かなりの美人だ。身長は160ちょいってとこか。ヒールを履いてるだろうから、実際にはもうちょっと低いだろう。セミロングの髪はかすかに茶色っぽいのは染めてるからだろう。たいてい染めてるだろうとか思ってる連中は、開発現場の実情を知らない。気まぐれに染める事はあっても、いつもきちんと身だしなみの中に髪染めを入れてられるのは、そう長い時間じゃない。まぁいつまでもつかだな。小顔で大き目の目に勝ち気な表情だが、きつい感じもしない。スーツを着ているので、バランスの良いボディのメリハリがはっきりわかるが、色っぽい感じもよれた感じも派手な感じもしない。

 そこまでの把握に5秒かける。

 

「こちらは、春日課長だ。ITTから移って来た」

「わお。エリートじゃ無いですか」


 かなり驚いた。ITTと言えば、一流といっていい巨大SI企業だ。もっとも半端ない下請け企業へのケチブリでいい噂はあんまり聞かないが。

 

春日美幸(かすがみさき)です。よろしくお願いします!」

 

 ハキハキと自己紹介をする様子が、新人と言うよりやり手のサラリーマンと言う印象を受けるって事は、かなり上に立つことに手馴れてるんだろう。


小路流(こみちながれです。よろしく。第3グループの主任、になるんですかね?」

「部下は居ないがな」


 軽めの挨拶をしつつ現状を説明する。春日女史に驚く様子はない。主任だけのグループなんて大手じゃまず無いと思ったんだが、そうでもないのかもしれない。

 しばらく部長のつこっみに牽制をいれつつ駄弁る。ようやく本題に入ったのは、俺が増員の話をした時だ。

 そして、部長からなんとなくそんな気はしていた説明が行われた。


「あぁ小路。彼女は第3グループの課長として入ってもらう」


 新人はエリート上司。どれだけ有能なんだとその時は思っておりましたよ。



              ◆



小路流(こみちながれです。よろしく。開発部、第3グループの主任、になるんですかね?」

「部下は居ないがな」


 そう金子部長に話をふる男は、まさに草食系男子と言う感じだった。身長普通、顔普通、衣服ちょっとマイナス、清潔感まぁまぁ。ヤリ手と言う感じではないが、まぁ人格的にも道徳的にもダメとしか言いようがなかった前会社の上司や部下よりははるかにましそうな人で内心ほっとする。


 話の感じからすると、単独で一つの業務をやりくりする権限まで持っている技術者なんだろう。少なくとも上司の権限を振りかざされる心配が無いのは助かる。何せ私は将来的に彼の上司になるわけだから、仕事と無関係な無理難題はふっかけてこないだろう。


 前の会社の内情は結構酷かったのだ。まぁ一言で言ってしまうと、セクハラの誘導とかだ。

 商談先の役付きとの接待に連れて行かれ、最初こそは間に入っているが、良い所でうまく先に帰ってしまう。一緒に帰ろうとすると私だけ引き止められるわけだ。無下に断り続ければ仕事に影響する。でも残ったら本人の自己判断と言う事になる。

 よく中小企業がブラックで磨り潰されるなんて記事があるが、私に言わせれば対策されつくした大企業の使い捨ての方がはるかにタチが悪い。実際、私はなんとかうまく乗り切った方だと思うが、転職業の友人から転職の打診があった時に、躊躇する程の愛社精神とかはこれっぽっちも無かった。


「あぁ小路。彼女は第3グループの課長として入ってもらう」

「お、うちですか? って以前言ってた教えるのって・・・」

「おぅ。彼女だな。まぁいろいろ慣れてないだろうから1カ月ぐらいは見習い課長だがな」

「1カ月たったら上司ですか・・・」


 彼が肩を竦める。


「と言う事のようです。宜しく小路主任」


 ここで「納得できません!」とか言う人じゃないのは間違いなさそうだとか思いながら私はにっこりと微笑んだ。



色々と試してみたんですが、技量的に限界が・・・。こんな感じで二人の一人称って感じのままになりそうです。

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