プロローグ
この世界は、茶番だ。
そう気づいたのは、大学生の頃だった。
それまでの俺は、本気で思っていた。
自分は特別な存在で、いつかこの社会を変えられる人間だと。
だが――違った。
死ぬ気で努力して某有名国立大学に行き、それから色々なことを学んだ。
その過程で、俺はある一つの結論にたどり着いた。
どれだけ足掻いても、個人は社会に勝てない。
人の流れ。
仕組み。
常識。
それらはあまりにも巨大で、個人の意思など簡単に押し潰す。
理解してしまった。
この世界には、どうやっても覆せない“理”がある。
それに気づいた瞬間から。
真面目に生きるのが、馬鹿らしくなった。
何のために努力する?
どうせ変わらないのに。
どうせ決まっているのに。
気づけば俺は、ただ生きているだけの人間になっていた。
目標もない。
信念もない。
ただ流されるだけの、社畜サラリーマン。
社会の歯車ですらない。
ただの“消耗品”。
それでも、死ぬ勇気はなかった。
だから惰性で生き続けた。
そして――
その終わりは、あまりにもあっけなかった。
通勤途中。
横断歩道。
信号は青だった。
だが――
横から突っ込んできたトラック。
気づいた時には、もう遅かった。
視界が揺れる。
衝撃。
音。
何かが壊れる感覚。
体の感覚が、徐々に消えていく。
……ああ。
これで、終わりか。
最後に思ったのは――
ただ一つ。
「……力があれば、違ったのか?」
もし、俺に誰も逆らえないくらいの圧倒的な力があったなら。
このクソみたいな世界のルールを、壊せたのかもしれない。
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