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第1話 君は大人であり、子供だった。

 カオスとタルタロス。聖地神の木。悪の王女さまと天才錬金術師と四つの剣エレメントと神の枝と雷鳥サンダーバード。


 君は大人であり、子供だった。


 私を愛おしく思う、君のことを愛おしく思う。

 私の幸せを願う、君の幸せを神さまにお願いする。

 私に優しくてくれる、君に優しくしたいと思う。

 私は自分がどうなってもいいと思う。でも君には生きていてほしいと思う。

 もし君が私に生きてほしいと思うのなら、私は、……。

 生きていたいって、そう思う。


 神の木 世界一大きな木。聖地。どこにあるのかは、誰にも知られていない。(なので自分の知恵と力で発見しなければ辿り着くことはできない)


 神の木のてっぺん 鳥小屋


「幸せと不幸せの調和はまるで天秤のように釣り合っていることが大切なんです。幸せすぎてもだめ。不幸せすぎてもだめです。天秤がかたむくことなくお互いの調和が保たれていること。それが一番大切なことであり、一番の幸せなんです。私が求めているものも、調和です。錬金術もそうでしょう? (カオスはにっこりと微笑んだ)

 秩序と混沌。

 安心と不安。

 創造と破壊。(あるいは破壊と創造。どっちも同じ意味かな?)

 停滞と加速。

 収縮と拡散。

 ああ。なんて素晴らしいのでしょう。まるでいま、この瞬間に宇宙が生まれようとしているかのようですね」

 うっとりするような魅力的な顔をして、ほほをほんのりと赤く染めながら、白くて丸いテーブルの自分の反対側に座っているタルタロスを見ながらカオスは言った。(タルタロスはいつものようにずっとお人形のように無表情のままだった)

 白くて丸いテーブルの上には白い陶器のカップに入った湯気の出ている淹れたばかりのコーヒーが二つ置いてあった。

 とても静かな世界には、清らかで穏やかな風が吹いている。

 大きな大きな神の木の生い茂る深い緑色の葉を揺らしている神さまの息のような風。

 あたりは薄いもやのような霧に覆われている。

 世界で一番大きな木である神の木は木というよりはもうとても高い山のようだった。

 そのてっぺんにある鳥小屋の外はとても寒いはずだけど、鳥小屋の中はとても暖かい。

 置いてあるものは少ないけど、そのどれもがとても高価なものであることが一目見ただけでわかった。(ここは『悪の組織の秘密基地』。お金持ちのお嬢様のカオスのお気に入りの別荘のお部屋みたいなところだった)

「誰かが作ったものやそう思ったことは、あくまで誰かが経験したり、手に入れたもの。その誰かの宝物でしかありません。

 自分のことは自分のこと。

 誰かのことは誰かのこと。

 自分の宝物は、自分しかそのありかを知らないものなんです。だから誰かの宝物を欲しがっても、羨ましいと思ってもあんまり意味はありません。自分の宝物を探したり見つけたりするほうがとても価値があるんです」

 そんなことをカオスは言った。

 相変わらずカオスの会話はいろんなところにまるで遊んでいる小鳥のように自由に飛んでいる。でもカオスの相棒パートナーである天才錬金術師の少女タルタロスは不思議に思ったりはしなかった。(猫舌なのでふーふーと息を吹きかけながら、ゆっくりと、あったかくて美味しいコーヒーを飲んでいた)

 それが世界最高と言われる大天才であり、世界で一番のお金持ちであり、そした今では悪の組織の頂点にいる『悪の王女さま』でもある世界で一番美しい少女(本人が言うにはそうらしい。まあ本当にカオスは世界で一番って思えるほど、とても綺麗で美しいのだけど)カオスのいつものことだったからだ。

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