表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪盗な季節☆   作者: 大野田レルバル
帝国群な季節☆
81/210

一筋の光と炎の森

《対空気銃、弾が無くなってもいい!!

 ミサイルもどんどん使え!!

 とにかくメイナを寄せ付けるんじゃない!!》


ちか、ちかっとネメラデスの表面が光り

閃光が闇にくっきりとした線を残す。


《シグドデス、貴艦はあのトラックを追ってくれ!

 メイナは我が艦が受け持つ!》


《了解した。

 ……貴艦の武運を祈る》


カッ、とネメラデスの上で何かが光った。

金色に輝いてはいたがそれはネメラデスのイージスによって

小さくばらばらに砕けてしまう。

すかさずネメラデスが返したミサイルの山は空中に一つの炎の塊となり

メイナを包み込んだ。

だがそんなの効くわけがない。

ふふん、と唇の端を持ち上げメイナが笑う。

これが未来……じゃなかった。

ベルカが滅ぶ約五千年前――過去に行われていた戦いなのか。


「右によけて」


「はいよ」


実質、メイナが一機を引き受けてくれたおかげで

攻撃量は二分の一になったわけだ。

そのおかげで幾分の余裕がわいてきたのもまた事実。

ほ~ら、ここまでおいで~。

と手を叩けるほどの余裕はある。

嘘つきました。

そこまで余裕はありません。


《各砲塔に被弾!

 イージスが無力化されています!》


メイナさん張り切りすぎだろ。

どれどれ。

さっき見たときはなんともなかったネメラデスの各所から火が出ていた。

三本の青い閃光がネメラデスの表面装甲をさらりとなで上げる。

次々と撫でられたところから炎の筋があらわれ、一本にくっつき

火の道がネメラデスの艦体に刻まれていく。

メイナ、このままだと間違いなくネメラデス落とすんじゃないだろうか。


《ダメコン急げ!

 くっ、A2からD5地区までを分離しろ!

 なんとしてもここで食い止めるんだ!》


ネメラデスの艦長が悲鳴に近い声で命令している。

その声を遮るようにして船員の報告が右往左往している。


《ま、また来ますっ!

 光波共震砲です!!!》


《艦首及び右舷に被弾!

 船体傾斜右に二度!》


ネメラデスの右舷(といっても丸いからどっちわからん)から

炎が一本の筋となっていた。

青い残像を残しながらメイナがネメラデスの周りを飛び

その後ろを一拍遅れてネメラデスの機銃弾が舐める。

速すぎて照準が追いついていないのだ。


「左!」


シエラに教えられるまで気がつかなかった。

対イージス貫通レーザーが迫っていたことに。

これだけはよけなければならない。

ハンドルを右に回して華麗に避ける。

ははっ、楽勝。

道狭いけど楽勝。


「波音。

 もしかしたらシグドデスさ……」


「うん」


「今イージス張ってないかもしれない」


「はぁ?」


聞き返してしまった。

どうしたんだ、仁。

頭大丈夫か?

あんな万能バリアのイージスを張ってないわけがないだろう。


「僕が保障するよ♪

 今、シグドデスはイージスを張っていない」


出てくんな。

セズクは腰についているホルスターから

一丁の拳銃を取り出した。


「だからその根拠は?」


聞き返した俺の肩をぽんと叩いて


「見てて?」


と一言。


「おう」


俺もそう返した。

返した後に気がついた。

見れるかっ!

俺今運転中だ!


「シエラ、見てて」


仕方なしに助手席のシエラに頼む。


「分かった」


セズクが一発の銃弾を……。

敵に気づかれないほど微妙な攻撃をした。

小さな火花がちかっと弾け、シグドデスに接触したことを教えてくれた。

……らしい。

シエラから横流しに聞いた所によると。


「ってことはオクトパスミサイルを今放ってもいいんじゃないの?」


なるほど。


「仁、このトラックの武装PCとお前のPCをつなげ。

 そしてシグドデスのエンジン部にでも一発叩き込んだれ」


仁がケーブルをつなぎ、液晶パネルを叩き始める。

突如ヒビのはいったフロントガラスに敵までの距離や敵のスピードなどが表示された。

ミサイルを放つときはなぜか、こんな感じに近代的になる。

フロントガラスの左上にシグドデスのカメラ映像によって

映し出された巨体が頓挫しそこに緑のマーカーが

チチチ……と鳴いて照準をつけるために動き回る。

いつもなら即効ロックオンするはずなんだが……。


「くそっ……照準が合わないっ……」


どうやらレーザーがかすったときに後部センサー類をごっそり持っていったみたいだった。


「手動に切り替えて♪

 僕がミサイルを操ることにするよ」


悪戦苦闘する仁の液晶を覗き込み

セズクが右手の人差し指をUSBに切り替え仁のPCに差し込んだ。


《ミサイル用意!

 しっかり狙っていけよ?

 命中させるんだ》


《一番から一八番までの対空ミサイル用意。

 段数、三六、セーフティ解除》


《くっ、速いっ――!》


セズクかと思ってびっくりした。

三十六発とかどんだけ撃つつもりなんだ……って思った。

どうやらネメラデス内の無線のようだ。

ネメラデスとメイナは俺達の前上空をお互い絡みあうようにして

飛んで行ったばかりだ。

そして俺達のトラックを抜いていった今

一瞬で二機を一気にしとめるチャンスが来たというわけ。

メイナさんの作戦通り。

後はネメラデスのイージスをこじ開けてくれるのをのんびりと待つ。

完璧な作戦だとおもった。

そうそのときまでは。

昼ドラ風にしてみたがどうだろうか。


「オイ、バカ!」


メイナのアホ!

メガデデス型(連合郡カスタムver)の下部……というか艦底には

直径三十センチもの砲弾を放つ砲台がついているのだ。

約六十口径とシンファクシから聞いていたので砲身の長さは約十八メートルにも及び

発射の衝撃を抑える砲台もかなり大型化している。

それが道の上に落ちてきたのだ。

ネメラデスから。

俺達の進路を防ぐように。


「シエラ、吹き飛ばせないか!?」


「流石に無理かな。

 イージスを解除してレーザーぶち込めっていうなら別だけど」


イージスを解除してもらってその一瞬で――。

いや、駄目だ。

シグドデスから、無駄だというのに絶え間なく降ってくる銃弾は

一瞬でもこちらがイージスを解除した瞬間蜂の巣にしてやるという意図がある。

つまり、シエラは動かせないバリア役な訳で。

となると避けるしかないのだが横に行っても泥にタイヤを取られる。

行きとは違って今は約六百キロの荷物も積んでいるのだ。

となるとブレーキをかけて止まるしかない。

だが、後ろからシグドデスが押しつぶそうと迫っていた。

仕方ない。

一度Uターンするか。

この二機を戦闘不能にしたらまた戻って……。

――燃料は?

ちらっ。

おい、後四分の一ぐらいしかねーじゃねぇか!

この量だとマックスの飛行機へ行けるぎりぎり。

引き返すことすらできないってのか。


《シグドデス!

 何をやっている、早くトラックを!》


《分かっている!

 落ち着け!》


シグドデスが空中で静止して弾道レーザー砲塔に光を集まり始めた。

徐々に光量は多くなってゆく。


「まずい。

 波音、避けれる?」


「バックでか?

 無理だ」


《死ね!》


シグドデスの巨大なレーザー砲塔から一筋の光が放たれた。


「とにかく出来る限りやってみる。

 上にイージスを集中させて濃度をあげる。

 ……元はといえば僕たちは波音を守るためについて来たんだからね」


そういえばそうだったな。

お前はまだ俺がベルカの人間だと信じてるのか?

だとしたら相当お間抜けも良いところかもしれない。

ギアをRにいれ、バックで回避を試みる。

いくらシエラでも対イージス貫通レーザーを防ぐことは出来ないだろう。

だって文字通り貫通するんだぜ?

となるとバックして少しでもシエラの負担を減らしてやるのが吉というものだ。

だがこの考えは読まれていたようだ。

トラックより十メートルほど後ろに着弾したレーザーは

幅を縮めるようにじりじりと近寄ってきたのだ。

やられた……。

前は邪魔な砲塔が横たわっていて進めない。

後ろにはレーザーときやがった。

あと一メートルほど。

トラックの鉄板がそろそろ熱で溶け始めるころだ。

逃げれる可能性はゼロ。

助けでも来ない限りは……だけど。


「また来た!」


ネメラデスか……。

空が青く光っていた。

挟み撃ち。

詰み。

チェックメイト

その三単語が頭をよぎる。

だがもう一本のレーザーはシグドデスのレーザーを

斜めから遮るようにして差し込んできたのだ。

えっ、嘘?

と目を点にした俺をお構い無しにレーザーとレーザーがぶつかり合い

お互い中和するように強烈な光が発し、掻き消える。

メガデデスにトドメをさしたあの光だった。






               This story continues.

メイナさん活躍してましたよね?

結構がんばったのですが(メイナさんが)

さて、長かったこの編のバトルもあと少し。

なんか長引かせてしまいごめんなさい。


ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。

これコピー&ペーストじゃないですよ。

ちゃんと打ってますw


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ