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怪盗な季節☆   作者: 大野田レルバル
最終兵器姉妹な季節☆
8/210

最強の武器は新聞ブレイド

「はぅ…はずかしい…」


その言葉が確実に男子達の理性を飛ばしていることに

少女は気がつかなかった。


「ねぇ、君の名前は?」


そんな質問が少女に振りかけられる。


「え、え~と…僕の名前は…あの…」


といったところで歓声が上がる。

少女はどうして上がったのかわからない歓声にただおびえるばかりだ。

先に言っておくが、俺は僕っ娘萌えだったりするんだな。

でもなぁ…


「はぁ~」


そんな少女を見ながら約五メートル離れたところから

お茶をラッパ飲みして、俺はため息をついた。

理由は簡単だ。

少女が来たことによってただでさえ鬼灯や村川などと

つながりがあることで目立っているのにさらにヤツが

きたことによって目立ちに拍車がかかったのだ。


「どうしたんだ?お前らしくないな」


詩乃がそういって机に腰掛ける。

それは、俺の机なんだが。

筆箱を落とすな。

後で拾っておけよ。


「いや…なんだかなぁ。」


水筒をふりカラカラと氷の音をならしながら

俺はつまらなそうに、水筒のふたを閉めた。


「あの子がお前がこの前言いに来た女の子?」


「そーなんだよ」


「かわいいじゃん」


そーなんだけどさー。

といおうとおもった俺はまた上がった歓声に口を閉じた。

正直、ここまでくるとうるさいね。

騒音の域にたっしてるよ。


「ねぇ、名前は?」


「え、えっと…僕の名前は…」


少女は戸惑いちらちらと主人である俺を盗み見る。

見られているのを知っていながら俺は再び詩乃に顔を向けた。

たまには、こうやって困っている最終兵器の姿を見るのも悪くはないかもしれない。

朝の理不尽な起こし方もあるしな。


「どーおもうよ?」


「だから、かわいいじゃん。

 波音の約二百倍ぐらい…」


俺の二百倍は余計だ。


「アバウティだな」


「それがポリシーですから」


どんな、ポリシーだよ。

キーンコーン、とチャイムが鳴った。

先生がバーン!!とドアを開けて入ってくる。

先生、ドアが壊れますよ、そんなに雑にあけてたら。

いつか、こうがちゃんって。


「おーす、座れ」


教卓に丸めたテキストを叩きつけながら言う。

だが、それでも座らない男一名。

だれだろ、と疑問を持った俺はそっちへ首をねじった。

少女の机の前に今だ座ろうとしない男…

遼だった。


「おい、おい、遼!!」


俺が一生懸命に呼ぶが聞いちゃいない。

一生懸命に少女に向かってナンパだ。

勉強に精をだせよ。

もうすこしぐらい…


「おい?流木?」


先生(生徒指導部所属)が遼へ向かって前進する。

手には丸めたテキスト……

あ、あれは…伝説のテキストブレイドだと!?

伝説のテキストブレイドを持って遼に向かってにじり寄る。

それを知らない遼。

先生がテキストブレイドを振り上げて

成敗しようと力いっぱい振り下ろし…


「あんだよ、先生?」


そう振り返った遼の頭にテキストブレイドがクリーンヒットする。

だが、音をたてて曲がったのはテキストブレイドのほうだった。

スーパーアーマー状態になったのか、遼?

いや、違う。

あれは遼の皮をかぶった悪魔だ!!

先生は、先生は…


悪魔を呼び覚ましてしまったのだ!!!


遼の目が…

目が本気だ。

黒メガネのレンズがわれてしまうんじゃないかとおもうほど

遼は、鋭い目つきをして先生をにらみつけた。

さすがの生徒指導部の先生も腰が砕けたのか震えた声で

遼に話しかけた。


「な、流木…じ、授業が…は、はじまるから席についてく…」


しかし最後の言葉は遼の言葉によりかき消された。


「あぁ?今を逃したらこんなにかわいい子をいつゲットするんだよ?」


こ、怖い…

暴言の前に、こいつ怖い。

俺は、じっとりと汗がにじみだしてくるのを感じた。

それに、その娘は俺のものなんだが…

そういう突っ込みはいつもは気軽にするのだが

今したら殺される!!

一瞬にして殺されるに決まってる!!

今の遼は本気なのだ。

一瞬のうちに俺の体を三枚卸にできる力を秘めている…

そうまさに、改心状態なのだ。


「でも、まぁ授業だってんならしかたねぇな。

 すわってやんよ」


そういって遼は自分の席にもどっていった。

生徒指導部の先生も一息つけたのか汗をぬぐっている。

この教室は、さっきまで遼ワールドと化していたのだった。

俺だけでは、ないはずだ。

汗が出てきたのは。


そこから放課後までは特に目立ったことはなく

まぁ、毎時間おなじような事が行われるのを除けばだが。

少女の波乱万丈な一日はようやく終わりをつげた。

もちろん、安堵したのは少女だけでなく俺もだが。


「どうして、助けてくれなかった?」


夕日も落ちて暗い夜の道。

少女は星を見ながら俺にむかってそういった。

目にきらきらと星が輝いている。

こうしてみると、本当に最終兵器には見えない。


「…だってさ…」


そういった後、俺も空を見上げた。

飛行機だろうか。

きらきら光る物が視界を横切る。


「ふっ…あわててるお前が面白かっただけだ」


まぁ、可愛かったの間違いだろうが。

あえて、言わないのが俺だ。


「…それだけか?」


「それだけだ

 ってか、お前学校での言葉遣いと俺に対する言葉遣いの差が

 激しいな、おい」


そういいながら俺は道端の石を蹴った。

その石は美しく弧を描いて・・・

美しい弧を描いて・・・


禿親父の頭に当たった。


「あ、やべっ…」


俺はしまったと思い

少女は バカ!とあきれた顔をしてため息をつく。


「んんんっだコラてめぇえええ!!!」


と、禿が振り向いてこぶしを振り上げたとき。

俺と少女は塀によじ登り別の道へと脱出した後だった。


「ふふ…」


急に肩を揺らして少女はくすくすと笑いはじめた。

いや、笑い方もなんか板についた笑い方をするんだな。


「なにをそんなにわらってんだよ」


俺はがしがしと、片手で頭を掻き毟りうなるように言う。

誰でも夜道に急に笑われたりしたら意味がわからないし

気味が悪いだろう。

なんといったって隣の少女は――


超古代文明の最終兵器なのだから…


「だって…くくく…」


やがてこらえきれないと言わんばかりにおなかに手をあて

大声で笑い始めた。


「あっはっはっは…」


その声は夜空に心地よく響き…

星を叩き落とすぞ! という感じに本当に心地よく響くのであった。

流れ星がキラリと光った。





部屋に着いた。

電気がつけられる。

散らばっているはずの俺の部屋は綺麗に片付いていた。


「今日、ニーズが来たんだな…」


俺の部屋はランダムに鬼灯財閥から掃除屋?のような人がきて

綺麗にしてくれたり冷蔵庫に新鮮な食材を入れておいてくれたりする。

まぁ、俺は大体は綾の家や詩乃の家でご馳走になるのだが…

ので…

冷蔵庫はすでに元気なゴキブリほいほいと化していたりする。

冷蔵庫で安全なのはアイスクリームの冷凍庫ぐらいだ。


詩乃の家に飯を食いに行こうとおもい出かけようとした瞬間

ドアが叩かれ、人が入ってくる。

すこしは、遠慮するかな、とか思ったが無駄だったようで。


「どうするつもりなんですか?」


黒い服に身をつつんだ男が言う。

ひげがチャーミングな人だ。

サングラスも何気に似合う。

この人は俺の家によく来てくれる。

武器や逃走手段なども容易してくれる。

いわば俺の付添い人のようなものだ。

俺はニーズと呼んでいる。

名前の詳しい由来は、社会の教科書に書いてあった

アジアニーズからとったものだ。

鬼灯のボスからの命令で、俺に従ってくれているらしい。

ありがたいかぎりである。

ちなみに出番はそんなにない。


「なにがよ?」


アイスクリームを引っ張り出し袋をあけかぶりつく。

あまりの冷たさに俺は顔をしかめた。


「今晩の献立です」


それを聞いて俺は

どうでもいい。 という顔をした。

できれば野菜炒めがうれしい。


「そうだな…」


しばらく沈黙が続く。


「なぁ、なんの話だ?」


献立の話だよ。

少女が俺に問いかけるが無視する。

しばらくしたあと俺はゆっくりと口をひらき唇をなめて湿らせた。


「……野菜炒め……」


なんでこんなに慎重にいう意味があったのだろうか。

いや、ない。

反語を使いたかっただけだ。

最近習ったばかりだからな。






               This story continues.



35話まで二日に一度のペースで

35話過ぎたら書置きがなくなるので

大体4~7日に1話更新と思っていただければ

幸いです。


読んでくださってありがとうございました。

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