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怪盗な季節☆   作者: 大野田レルバル
帝国群な季節☆
74/210

無謀なる作戦

「さて、どうしたもんかね」


ひたすら地図とのにらみ合いが続く。

方法が思いつかん。

もし、ホドデデスを叩き落してしまうとなると装置が危ない。

こちらには二人の最終兵器がいるのだから

ホドデデス自体を攻撃したところで負けることはないんだけど。

ホドデデスの中にもぐりこんでなんとか装置を回収。

そして脱出。

でも約六百キロもの装置をどうやってトラックに乗せる?

あー、不可能なことが多すぎる。


「まず!

 ホドデデスに!

 潜入しなきゃ駄目なんだよね!」


耳元で叫ぶなメイナ、うっせ。

そう、まずその問題なんだ。

ホドデデス内の人間に化けて侵入することは出来るんだが

装置を運び出すことが出来なくなる。


「ホドデデス内にもぐりこんで扉開けて鎖切って。

 下からトラックで追いかけて」


「いや、無謀すぎるだろ」


「そうかなぁ……」


あいからわずお前は行き当たりばったりか、シエラさんや。


「この地図によると――。

 ほら、森の中を通る時が絶好のチャンスに見えるだろ?」


全員が仁の説明に頷く。


「連合郡のメインコンピューターにハッキングして調べたんだが

 この辺りは地面がぐしょぐしょなんだと。 

 トラックにスパイクかなにかしらんが多少なりそれが付いていると仮定したところで

 ホドデデスの飛行スピードに追いつけるわけがない。

 たとえロケットエンジンを噴かしたとしてもそれは無理。

 第一そんなに長い間噴かせるもんでもないだろ?」


合理的な説明ごちでした。

そしてスパイクじゃない。

ホイールニードルだ。

そこ間違えんじゃねぇ。


「トラックが下で待っているっていうのは?

 タイミングを見計らって……」


メイナさんのアイディアだ。

それいいかもしれない。


「いいね、それでいこうー」


セズクがもうどうでもいいですといった顔で賛成する。

お前はもう少しやる気出せ。

なんでそんなに低いんだテンション。


「それも無理。

 六百キロもの重量が高度百二十メートルから落ちてくるんだぜ?

 今、このトラックがあの森に行った所で十分に走れる所は

 森を切り開いて作られた一本の道だけ。

 それ以外は絶対に百パーセントいや一億パーセント無理」


仁の説明がメイナにガスガス刺さる。

メイナさんはちょっと涙目。

そこまで徹底的に潰さなくてもいいんじゃないかな……。

さてそうしたら余計にどうするのか考えなくては。

作戦……ね。

今思いついたのでいいなら……あるにはある。

時間かかるし当たって砕けろになるんだけど。

でもまぁ……。


「仕方ない。

 この俺、永久波音様が今即興で考え付いた作戦でいこう」


俺は地図から目線をはがし全員を眺めた。


「即興!?」


「即興。

 今考え付いた」


作戦なんて名前だけだ。

作戦という羊の皮を被った無謀という名の狼だ。


「実際は作戦とはとてもいえないものなんだけどな。

 うまくいったらお慰みってとこだ」


今のはフラグだ。

大体成功率一パーセントとか言っとくと成功するんだ。

それに俺の作戦はこいつら以外の他人が聞いたら


「Oh,youはcrazyねー」


って言うに違いないほど無謀な物なんだ。

さて全員が興味を示したところで説明に入るとしよう。


「つまりこうなったああなって」(説明中)


()の中の文字通り全員に説明する。


「あーでこうなってうーあー」(説明中)


全員にちゃんと伝わっているのかどうかが心配だが

多分大丈夫だろう。

変な確信だけはある。


「うんたらだっただっだっはい(説明中)。

 以上、説明終わり。

 何か質問あるやつ挙手」


俺はドヤ顔で見下ろした。

全員何か無理やり呑まされたような顔をしている。


「Oh……crazy……」


仁がぼそっとつぶやいた。

だからこの作戦は羊の皮を(略)。


「質問はゼロでいいな?

 じゃあさっそく作戦に取り掛かるとしよう」


俺は両手を叩き合わせてほら行動開始だと合図した。


「了解。

 もうなんか考えるの面倒だからそれでいい」


シエラは物分りがよくて助かる。

早速行動に移しているじゃないか。

麻酔で眠らせた十人をひっぱりはじめている。

まずこの十人を別のトラックに移す。

いつまでもこのトラックの荷台を占拠されていては邪魔にしかならない。

見つかったら面倒だし、目を覚まされても面倒だ。

じゃあ眠らせて隠してまえばいい。

そこで十人にたっぷりと睡眠薬を投入した。

これで二十時間はぐっすりだろ。


「全員トラックに乗れ~。

 出発すんぞ~」


俺は運転席に、仁は助手席に。

残りは荷台に詰め込み、さぁ出発だ。

キーを回してエンジンをかける。

ギアをRに入れバック。

ミラーで後ろを確認しながらハンドルを左にきって車体を旋回させる。

ぶつけないように慎重に。

倉庫の扉から出たところでギアをDにいれアクセルを踏んだ。

ラジオのスイッチを入れボリュームを上げる。

番組が変わり、ロック調になった音楽を流しながらスピードを上げた。

蝉がうるさい。

ずっと来た道を少し戻り、途中で右に曲がる。

ここから一気に山脈へ向かって運転を続けるのだ。

距離は約八十キロと案外お手軽。

時速六十キロで木々の間を縫うようにして作られた道を走る。


「あの山脈だろ?

 うひゃー……怖いなぁ……」


仁が遠くに霞のかかった山脈を指差した。


「んー、そうそうそこだ。

 標高六百二十メートル地点だな。

 小さく見えるけど立派な山脈の裾を担ってるらしい。

 詳しくは興味ないから知らんけど。

 そことその隣り合っている山との隙間をホドデデスが通るんだとさ」


俺は小さく折りたたんだ地図を片手でひらひらさせた。

この地図が偽物じゃなきゃの話だけどな。

間違いだったらどうすんべ――なんて考えない。

ここまできたんだ、一気に行くしかないだろ。


「のどかな場所なんだけどな……。

 俺こういうところに家作って住むのが小さいときの夢だったんだよ」


「あれか。

 木の上のお家ってやつか」


「そそ。

 誰もが一度は思うことさ」


御伽噺は小さいとき誰もが読むものだからな。

多少なり影響を与えられるのは仕方のないことだ。

それに小さい子の発想力は物凄いからな。


「俺はPCで詳しくあの山について調べておくよ。

 帝国郡の衛星のおかげでどこでもネットが使えるのはすばらしいね」


「あーよろしく頼む。

 俺は運転に専念するとしよう」


のんびり運転して約一時間とちょっと。

山のふもとにたどり着いた。

このまま一気に駆け上るのだ。


「一応ホイールニードルとかやらを出しておいたほうがいいよな。

 よいしょっと」


ブレーキをかけトラックを小さな空き地に止める。

ハンドルの横のカバーを空けてHNNDとか書いてあるボタンを押した。

トラックから降りてどうやってタイヤからニードルが出てくるのか確認――

というか観察する。

見て見たいじゃん。

変形とかもう熱すぎるだろ。

トラックの横から棒のようなものが出てきたかと思うと地面にざっくり刺さった。


「おぉ……」


小さく唸ってしまう。

しばらくしてトラックのタイヤが一輪車内に吸い込まれたと思うとすぐに

たくさんのとげとげがついたタイヤが新しく出現した。

思ったより地味でちょっとがっかりだが男心をくすぐるにはいいもんだ。

このトラックは期待を裏切らないできる子なのだ。

そんな感じで四輪全てがニードル付きになったところで

再び運転席に駆け戻った。


「いやー良いもん見た。

 さて行くぞ!」


がたがた揺れる不安定な道をゆっくりと慎重に進んでいく。


「良い景色だなー」


後ろはのんきでいいな、ホント。

運転してるこっちの身にもなれってんだ。


「気楽だよな、あいつらは。

 なぁ……、仁」


「え?」


「お前、なにサンドイッチ食ってんだよ!

 ピクニック気分か!

 なぁ、ピクニックか!?

 ピクニックなのか!?」


「まぁそう怒りなさんな。

 ほれ……はいあーん」


「ありがと☆」


サンドイッチうめうめ。


「あとどれぐらいでつきそうだ?」


「もう少し……見えた。

 帝国郡の衛星が正しければあそこだろ」


川が削りに削った深い谷が目の前に口を広げていた。

一箇所大きく突き出しているところがある。

そこを前にしてトラックを止めた。

分かりにくいよな、説明。

図で表すよ。


      ↓一箇所突き出した部分 

      

深い  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ←前□□□ 

崖   \_____     ↑トラック

 


大体こんな感じ。

お分かりいただけただろうか。  

わかんなかったらごめんね。

さて、この場所の下をホドデデスが通るのは約五時間後。

川の水面ギリギリを通るらしい。

クレイジーな作戦を我ながら立ててしまったものだ。

トラックから降りて崖の下を見下ろす。

ここから一気に飛び降りるわけだ。

もしばっちりのタイミングでなかったら

このトラックごと一気に川に落ちて終了。

おそらく成功する確率は十パーセント。

これもフラグだ。

多分成功するためには必要不可欠な言葉だからな。






               This story continues.

どうもありがとうございました。

お気に入りに入れていただき、感謝の雪です。

さて、ところでここでちょっと宣伝です。

この『怪盗な季節☆』の外伝の存在をご存知でしょうか?

名前は『しゃくでば!』といいます。

『しゃくでば!』オリジナルのキャラクターも存在しています。

そして全員キャラが崩壊していますw


URL↓です。

http://ncode.syosetu.com/n2021p/


こちらは本編とは違い毎週金曜日に更新となっております。

もしよろしければ読んで見てください。

『怪盗な季節☆』では見ることのできない波音のボケや

シエラ、メイナの突っ込みが見れますよw

最終兵器以外にもベルカ帝国の遺産の兵器の女の子が出てきます。

そして何より挿絵が豊富w


興味がありましたらなにとぞどーぞどーぞです。

長くなりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。

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