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怪盗な季節☆   作者: 大野田レルバル
帝国群な季節☆
67/210

奇妙銃

洞窟から抜けると、すぐに連合郡倉庫入り口だった。

車の中から見るそれは思ったよりも大きくなく

こじんまりと申し訳なさそうに森の中に存在していた。

思ったより工事は最終段階に入っているらしく鋼鉄の柵の前に

たくさんの工事道具が置かれていた。

鋼鉄の柵の前に設置された簡易小屋には四人の兵士が笑いながら銃を片手に

トランプをしていたり、酒を飲んだりしている。

思っていたよりも軟らかい現場だ。

もっとぴりぴりしているかと思っていたんだがな。

肩に入っていた力を抜く。


「おっ、今日は違うおっちゃんか。

 毎日ご苦労様」


門の入り口に立っている兵士にチェックを受けるときは流石に緊張した。

だがせっかくX線などの対策をしたというのに荷台の中をちらっと見て終了。

まさか泥棒が入るとは微塵も予想していない態度が見え見え。


「我々の後ろについてきてください」


二人の兵士が車列の前に小さなバギーで飛び出た。

車列は兵士に案内されたとおり

工事が完成したら撤去されるであろう扉の中に入っていく。

四台目に続いて中に入ると山のようにダンボールが積まれたホールへとたどり着いた。

ここいらで良いだろう。

トラックの運ちゃん八人と案内兵士二人。

合計十人。

ちょっとお眠りいただきますか。


「仁、頼んだぞ」


「まかせなって。

 俺の演技のうまさに圧倒されるんじゃねーべ?」


仁はズボンのポケットに小型ガスマスクをつっこむと助手席から降りた。

俺は車内の窓をすべて閉め、その時に備える。

一発でも銃弾が飛び交い……壁に当たったりしたらアウト。

その瞬間に核の炎で骨まで焼き尽くされることとなる。

極めて正確に。

極めて平和にことは運ばなくてはならない。


「あっー!!

 なんだこりゃぁっ!!」


空気を切り裂く仁の声。

……わざとらしい。

もう少し何とかならんかったのか……。

あちゃーと右手で頬を叩く。


「どうした?」


それでも人間というのは不思議なもので好奇心には勝てないものだ。

好奇心は猫を殺すというがそれは人間でも変わりない。

罠と悟ることなく仁のいるところに次々に集まってくる。

初めは興味ないとそっぽを向いた兵士も次の言葉でノックアウトしたようだ。


「こんな所にエロ本が……」


「なんだって、オイ!!」


「熟女だけは勘弁な!」


そういいながら男たちは集まってくる。

十秒後には全員が仁からエロ本を奪い取ろうともみくちゃになった。


「勤務中だぞ、マジかよ」


俺はギアをGGに入れ来るべき時をひたすら待つ。


「マジかよ、ですよね。 

 でも幻じゃなくて本物なんですよ!」


仁がマスクをつけたのをミラーで確認すると俺はハンドルの横についているボタンを押した。

後ろタイヤのホイールが少し開き中からガスが勢いよく吹き出た。


「ん?

 何の臭い……うっ」


乱闘中というのも幸いして肩で息をしていたせいか

思いっきり肺一杯にガスを吸い込み昏倒する十人。


「やれやれ、どうしてこうエロには弱いんだか」


仁はマスクをしっかりと握り締めたまま、エロ本の一冊を

眠っている一人の手にそっと勿体なさそうに握らせた。


「人妻物か……ふむ。

 波音、クリアだ。

 このエロ本俺ももらっていいか?」


「別に良いから、はやくしろ」


ったく……。

まぁ何はともあれ、第一段階クリアだ。

このガスが効いている内に兵士二人分の服を剥ぎ取る。

トラックのおっちゃんから連合郡兵士に早変わり。

エロ本をトラックの中に戻させ(仁はかなりごねた)

簡易小屋の兵士達を眠らせに行く。

スナイパーライフルのトランクをトラックの中から引っ張り出して組み立てる。

麻酔弾を込め、スコープをのぞきながら最終調整。

ホールから出て簡易倉庫を狙いやすい場所に移動する。

距離にして約三百二十メートル。

まずまずの距離だ。

息を吸い、とめる。

冷たい土の地面に寝転がり片目をつぶる。


「落ち着いて、波音。

 僕が教えたんだから大丈夫だよ♪」


一発でケリをつけないと残りの兵士に抵抗され

ジリ貧になってしまうのは目に見えて明らかだった。

連射機能をオンにしてスコープを覗き込む……。

――待てよ?

ふと思った。

これ俺がやらなくていいんじゃ?


「Stand by……」


「セズク、ちょっと待て」


「Stand by……」


「待てって、おい。

 俺がやらなくても良いだろ、コレ。

 一応非戦闘員なんですけど」


目の前に自分よりも腕が良いやつがいたとしよう。

当然そいつに任せるよな?

他力本願にも程があるが今回ばかりは銃弾の一発でも当たったら終了なんだ。

それなら少しでも成功率が高いほうが良いに決まってる。


「え……うん、まぁ……。

 分かった、僕がやるよ」


セズクは「仕方ないなぁ」とぼやきライフルから麻酔弾を取り出した。

ギギ……と、セズクの右腕が四つの銃口を持つ奇妙な銃に変形する。


「まさか、一気に……?

 無理だろ、冷静に一人づつ……」


俺の呟きを左手で制して


「無理だと思うから無理なのさ。

 心から負けていたら一生の負け組みだよ」


セズクは四発の麻酔弾を右腕の異常な銃にこめると

次の瞬間に狙いを定め――弾を放った。

小さな注射器形の弾は寸分たがわず四人の額に突き刺さり内部の麻酔薬を直接脳に注射する。

絶対に無理だ、当たる訳がない。

簡易小屋の中に麻酔弾が吸い込まれていくのを見てそう思ったが

窓から見える四つの人影――兵士達が一斉に倒れ、戦闘不能になったのを目撃した。

嘘だろ……?

化け物だ。


「ほらね?

 気持ちで負けてちゃ駄目だよ。

 くすくす……」


久しぶりにその笑い方聞いたな。

セズクは土の上に転がっているライフルをちらと眺めさっさとトラックへ戻ってしまった。

麻酔が効いているうちにあの倒れた四人から三人分の服を剥ぎ取らなきゃな。

なんで、今回は服を用意してくれなかったのだろうか。

金銭的な問題か?

奪った連合郡の深緑の軍服を両手一杯に抱えトラックによたよた戻りながら考えた。






「はい、三人ともコレ。

 もって持ってきたからさっさとーっておい、シエラ!

 そこで脱ぐんじゃなくてトラックの中で脱げ!」


三人分の服を剥ぎ取り、簡易小屋の四人を持参したロープで括りつけ

服を奪ってきた俺はシエラたちに連合郡の軍服を渡した。

だがシエラのアホは最終兵器のせいかあいからわずこういうことに関して……疎い。

疎いというかバカだ。


「え、なんで……?

 別にここで良いじゃん」


メイナも同じくバカだ。

おじいさんだったら「ばか者!」としかりつけるぐらい。


「姉さんもそう思うよな?


「うん」 


「ほら、波音」


なんだよ、そのドヤ顔は。

どやーじゃねぇよ。


「……家に帰ったら飯抜きにされたいのか?」


「やだ」

 

………。

最近言うこと聞かなくなってきたな。

反抗期か。


「ったく、分かった分かった。

 仁、セズク、あっち行って……ってオイ!

 仁、何やってんだ!

 気持ちは大いに分かる!

 分かるが隠し撮りは犯罪だぞ!」


今からお前らがすることも犯罪だろという突っ込みはなしで。

それとこれとは格が違う。


「ちっ、ばれたか」


とってもとっても残念そうな仁を引っ張り、トラックの後ろへ連れて行く。

っとにもう。

セズクはセズクで「女に興味はない」といった顔ですましているのに余計に腹が立つ。


「さっさと着替えろよ」


二人に話しかけ、しばらく待つこと三分間。

カップラーメンが出来上がるぴったりの時間に連合郡の軍服を

身に纏った二人が荷台から出てきた。


「きっついな……胸が」


おふ。

ぱっつんぱっつんじゃないですか。

じゃなくて。


「シエラ大きいもんね……」


「そんなことない。

 姉さんと同じぐらい」


「うん、分かった。

 分かったから黙ろうね二人とも」


「?

 何赤くなってるんだ、波音」


「っせーな。

 ほら、次行くぞ」


二人のお口にチャックをさせて深部に通じるドアをこじ開ける。


「さ、本番だ。

 さっさと終わらせてちゃっちゃと帰るぞ」






               This story continues.

ブログから飛んできてくれた方、わざわざすいません。

こちらのほうが読みやすいかと思い

このような形を取らせていただきました。


そしてここまで読んでいただき本当にありがとうございました。

よろしければお気に入りに登録していただけると嬉しいです。

(更に言うとポイントもry


ごほん、醜いったらありゃしませんね。

感想はブログの方でもこちらでもどちらでもOKです。

好きなほうを選んでください(えー えーとか言わないでw


急にごめんなさい。

ここまで読んでいただき本当にありがとうございます。

二回言ったのは本当にありがたすぎて

皆さんに愛が伝わらないからだろうとの勝手な判断です。


はい、すいませんなんか。


それでは。

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