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怪盗な季節☆   作者: 大野田レルバル
消失な季節☆
53/210

追憶

珍しくすることがないためしばらくぼーっとゲームをする。

この平和はどうせ長くは続かないだろうなとか思いつつ。


俺は一体どこへ向かっているのだろうか。

最終兵器二人とともに鬼灯のおっさんに頼まれるがままに動いているだけだ。

自分での目標は何なのか。

この先何が起こるのか。

何が変わって何が変わらないのか。

自分でもワケが分からないこの世界。

ベルカの超光化学、帝国郡、連合郡。

第二期一九九八年ミサイル一発で始まった決着のつかない戦争。

自分達の利益のために動く連合郡。

世界を取り戻したい帝国郡。

ベルカが滅んで約五千年。

帝国が滅んでからずっと狩猟生活だった人類が

ハイライトから見つけ出した『力』によりココまで発展できたこと。

もしこれらすべてが運命みたいな不確定要素的な物ではないだろうが―――。


「あっ!」


…………ゲームオーバーになっちまったよ。

あの超巨大戦艦強すぎるんだよな。


「んーおはよう」


「おはよう、シエラ」


ずっと前に買ってやった苺模様のパジャマで目をごしごししながら最終兵器は起きてきた。

こいつも出会ったときと比べてずいぶんと人間らしくなったものだ。


「メイナは?」


「まだ寝てる。

 さっきから ぐへへ とか あっ、そこだけはっ……! とかわけの分からない事ばっかり……」


「そ、そうか!

 そりゃ困ったな!」


いやなんというか………。

最終兵器もそんな夢見るんだな……。

もしかしたらそんな夢じゃないかもしれないけどさ。

ね?

俺も男だからさ。


「俺の超音速魚雷くらいやがれこのやろあーっ!!

 もう!また波動砲かよガッディム!!」


またゲームオーバーか。

テレビの上に置かれた時計によるとそろそろカレーの臭いが漂ってきてもおかしくない午後五時。

たっぷり三時間ゲーム三昧だったわけだ。

どーりで目が痛い。

いや気がつけよ俺って話なんだけどさ。


ピンボーン!


中が錆びてるのかどうかは知らないが少しこもった音を出すチャイム。


「はいはい」


台所で料理をしていたのであろうセズクがタオルで手を拭きながら玄関へと階段を降りていく。

ちなみにエプロンは『Milk』という文字と赤ちゃんが書かれた可愛い柄だった。

ピンクの中に浮かぶ肌色の赤ちゃんと白いMilk。

良い趣味してるぜあんちゃん。

そういえばこいつとはじめて出会ったときは殺されかけたんだっけな。

特殊部隊Velcaとかわけの分からない連中をシエラが皆殺しにして……。

外に出た瞬間モドキ達とバトルスタートだったよな。

まさかこんなことになるとは思ってもいなかった。

Velcaって発音も発音でアレだしな……。

今考えてみれば少し納得できるかもしれない。

連合郡の組織の中の一角だったのだろうと思う。

ここから始まった俺の中での生死日記はさまざまな危機を記している。

大艦隊のことやハイライト。

つい最近のことだとメガデデスかな。

心の中の日記は思い出したくないことまでしっかりと綴っているものだ。

つまりこれからの事は無駄なことを考えてもはじまらない。

今から起こる出来事に身を任せようと思う。

それでいいだろ?


「波音、お友達が来て……」


「彼女です!」


「お友達が!!」


「か・の・じ・ょ です!!」


「お・と・も・だ・ち・が!!」


「か!の!じ!ょ!!で!!す!!!」


身を任せれねぇー。


「誰だ?

 まぁ聞くまでもないが」


ゲーム機の電源を切って正座する。

クーラーのリモコンで設定温度を少し下げ、相対性理論の本を取り出した。

これで回避できるはずだ。


「通してください!」


「は、波音は僕がっ守るっ!」


「邪魔ですっ!!」


「痛い、痛い!

 顔だけは、顔だけはっ!」


騒がしいったらありゃしない。

セズクもセズクで何で妨害してるんだか。


「どうして今日休んだんですか!」


どさっと地面に倒れたセズクを歯牙にもかけずに

外の暑さとセズクとの大乱闘に勝利を収めたアリルが頬を火照らせむっとした顔で入ってきた。


「いや……だってほら。

 光の速度はすごいっていうじゃん?

 相対性理論だよ。

 地球を一秒間で七周半するやつ」


「何言ってんですか」


「結論から言えば今日はさ。

 ほら。

 空が綺麗だしさ」


「曇りですよ、曇り!」


……なんだと?

いつの間にやら空は曇りになっていた、この裏切り者め!

なんでだよ、朝見たときは晴れだったじゃんよー。


「……とにかくですよ。

 今日のプリントです……はい。

 それと教材、ノート、テスト!」


次から次へとアリルの薄い鞄から出てくる数々の物。

その中で学生が最も聞きたくないものも入っていた。


「……テスト?」


テストとか……嫌すぎるなぁ。


「別にやらなくてもいいよな?」


「駄目です」


はいすいません。

力強く押し切られてしまいました。


「えっと……飲み物とかは……」


いつの間に復活を遂げたのかピンクのエプロンに包まれながらドアの所にセズクが突っ立っていた。

まだいたのか、セズク。

別にいても良いけど何かあったら俺を助けてくれ。


「いらっしゃーい!」


シエラは苺に対して葡萄の柄のパジャマを着たメイナが口に歯ブラシを押し込んで顔を出した。

しっかりと寝癖が記録されている。


「あ、メイナちゃん。

 お邪魔してるよー」


にっこり笑顔でメイナと談笑するアリル。

ちょっとすいません、何で俺にしゃべるときだけ丁寧語なんですか。

メイナが消え、セズクが再び料理に戻った瞬間


「はい、五教科のノートです。

 波音君の分も全部私が取ってきました。

 こんなもんですかね……」


俺の前にアリルの細い腕に支えられた大量の教材がどさっと積まれた。

一山築いた教材から崩さないように慎重に数学のノートを引っ張り出し適当にパラパラとめくる。

一言で評価するとキレイにビシッとまとまったノートだった。

黒板を写しただけでなく解き方やポイントまでがびっしりと書き込まれている。


「大変だったんですからね!

 ちゃんとコレを見て明日はばっちりの状態で学校に来てください。

 でないと私の努力が無駄になってしまいます。

 お願いしますね」


えっ……うん、いや……あの……えっ?

えっ?


「いやこれ渡されても俺わかるわけ……」


「全然分からない!

 そうお困りのあなたにこの現役女子高生が付きっ切りでお教えします。

 今ならたったの0円!、0円でお買い得です!」


いやただほど安いものはうんぬんかんぬん。

急に何を言い出したんだかアリルさん。

大丈夫なのか?

手を叩いて必死に叩き売り的な何かのまねをする。

大丈夫なのか?二回言ったけど。


「い……いらないんですか?」


あーなるほど。

俺に付きっ切りで勉強を教えたいわけだ。

なるほどなるほど。

でも俺勉強したくない件。


「とりあえず一つください」


「五千二百円です」


ほらただより高いものはうんぬんかんぬん。

結局金取るのな。

しかも高い。

ゲーム一つが新品で買える。


「じゃあいりません」


妥当だろ。

ちなみにこの会話俺はずっと正座で教材の山に囲まれている中しているわけだが……。

今にもぐらぐらと崩れそうで怖い。


「今なら百%OFFです」


どこの押し売り業者だお前は。

何か損をした感がさいやめないじゃねぇか。

まぁもらって損はないわけだからもらっておくことにする。


「じゃあもらいます」


「お買い上げありがとうございます。

 じゃあ勉強はじめましょうか」


うぅ……嫌だなぁ勉強。


「よかったです……。 

 いりませんとか言われたら……」


ぼそっと小さい声で何かを言ったように思えたが

数学のノートに気を裂いていたおかげで聞えなかった。


「え?

 何か言った?」


「えっ!?

 い、いや……さ、勉強はじめますよ!」


なんか真っ赤になってしまった。

多分さっきの押し売り業者の奴が恥ずかしくなってきたんだろうな。

いじわるして「いりません」とか言ってみればよかった。

惜しいことした。

少し後悔している俺を取り残し教科書などを開け始める金髪少女。


「さぁ、さくさく進みますよ!

 教科書を開いてください」


なんとかしてここでやめさせなければ……。

あぁなんでそんなに目がキラキラしてるんだ。

そこまで俺に勉強を教えることに使命感を持たなくとも……。


「えーと先生。

 教科書はあるんですけど家に忘れました」


「ここ波音君の家じゃないですか」


「で、でも教科書……」「取って来い」「えぇっー!」


もうやだ怖いこの娘。


「はぁ……ドンだけ勉強したくないんですか……。

 仕方ないですね……」


おっ効果あったか?


「私の教科書を貸しますよ。

 四冊持ってますからね。

 結構これだけあると忘れることなんて出来ないんですよ」


「なんでそんなに」という俺の小さなツッコミはアリルの教科書を開く音に一蹴され

目の前に詰まれ大量の崩れかかっている山をしげしげと眺める。

これを鞄の中に入れていたアリルって……。

すごい筋肉なのかそれとも……。


「さ、はじめますよ」


あぁ……誰か助けてくれよ……。

割とまじめに俺死ぬかもしれない。

メガデデスなんて目じゃないよー……。






               This story continues.

すいませんお待たせしました。

短編なぞで我慢させてしまいましてすいません(何

とりあえず焼きあがりほかほかなので

どうぞ入れたてを・・・


読んでいただきありがとうございました。

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