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怪盗な季節☆   作者: 大野田レルバル
終堕な季節☆☆
205/210

終わりのセカイ

「邪魔だって言ってんだろうがよ!」


倒しても倒してもきりがない。

次から次へとまるで蛆虫のようにわいて来る。

量産型ニセ、は俺とシエラを見つけるなり一斉に襲い掛かってきやがった。

他の帝国群の連中には襲い掛からず俺達だけに。

何が一番驚異的なのかっていうのが分かっているんだろうか。

本能的に悟っている部分もあるのだろう。


「うっりゃおらぁ!」


やってくる敵の頭を掴み、手のひらからレーザーを出して丸ごと消し飛ばす。

これでやっと一人。

引き続き何とかしてぶち殺して……。

襲い掛かってくる奴の攻撃を避けながら刃で首と頭を断ち切る。

飛び散る血が自分にかからないようにしながら後ろから来た敵の腹をぶち抜く。

倒しても倒しても本当にきりがない。

となると、こいつが出てくるところを壊すしかないのだ。

案外、何処から出てきているのかはすぐに特定できた。

ハイライトの分厚い装甲が開くと定期的にそこから出てきている。

下の部分、まるで鍋の底のようになっているところだ。

イージスの破壊をシエラに任せ、俺はこの邪魔者をぶち壊すことに決めた。


「ああああもう!

 うざったい!」


あまり強くないくせに数だけ多いと本当にイライラする。

襲い掛かってくるのを千切っては投げ千切っては投げしながら先へと進む。

敵も俺が何をするつもりなのかは分かっているのだろう。

だからこそ邪魔をしてくる。

三秒、三秒だけでも隙があったら――。

目の前を埋め尽くすほどの雑魚を少しだけでもひきつけてくれる人がいたら。

そう思いながら突き進むが前に進むことは出来なくとも勢いに押され後退してしまう。

シエラと一緒に戦えばよかったかな、とちらりと脳裏に浮かんだがイージスを壊しているうえに俺の手伝いなど器用なあいつでも無理だろう。

もう一人、メイナでも呼べばよかったかもしれないな。

「くっそ……」


「呼んだかな?

 ハニー♪」


なんか声が聞こえた気がした。

ああ、だれか。

こいつらを引き付けてくれる人がいたらなぁ……。


「ハニー?

 おーい」


いや、気のせいだろう。

目の前を埋め尽くすニセどもを一刀両断しながら少しずつだが先に進む。

こいつには頼らん。


「もう、意地はっちゃ駄目だよ?」


そういうと、あいつは持ち前の二刀流の刃を腕に乗せ、群れの中に飛び込んだ。

一瞬にして、体を分断され落ちて行くニセが山のように出来上がってゆく。

ああこいつやっぱり強いんだわ。

そして一瞬だけだが、隙が見えた。


「おらああ!!」


その隙を逃さず、あいつらの出現ポイントに飛びつく。

次ここが開いたら一気にこじ開けてやる。

俺を引きはがそうと一瞬手が伸びてきたが、すぐにセズクの太刀筋によって消える。

あいつらを巣から駆除するチャンスはすぐに到来した。

ゆっくりと装甲が開くと車一台が通れるような大きめの穴が開く。

その隙を逃さずにレーザーを突き付け中へ向かって全力でぶちまける。

対艦用に使う図太い奴だ。

それを五発ほど叩き込むと装甲と装甲の隙間から炎がゆっくりと吹き出し始めた。

それを目安にそこから離れ、しばらくするとその区画一帯が切り取られたように分離。

海へと落ちて行く。

他の箇所への被害を抑えるためだろう。

切り離し出来るのか、あそこ。


『どうだ?

 これが我が帝国群の最終兵器の味だよ』


《っ、小癪な……!》


「やあ、ハニー。

 雑魚は全て終わったよ」


「いや。

 お主、助かったありがとう。

 いや違う」


何て言えばいいんだ。

俺が言おうとしてることはなぁ。


「お主、あのさ。

 アリルは?」


セズクは、俺の横に来るとニコニコしはじめる。

いつも通りの流れだったが俺はこいつにアリルを任せたはずなんだが……。

どうなったんだ。


「ラウナに任せてきたよ?

 あいつなら大丈夫。

 きっと、波音が思っているよりいい人かもしれないから。

 すげー性格悪いしむかつくけど」


よりによってあいつかぁ……。

すごい不安が残る。


「おお……。

 そうだろうな」


まぁ、こいつのおかげで助かったことに変わりはない。

大人しくお礼だけは言っておこう。


「ありがとな。

 ついでにイージスをひり出す部分も、壊すの手伝ってくれると……」


「それはもう僕が終わらせた。

 全部。

 ハイライトのイージス消滅を確認」


何時の間にか、シエラが俺の横にいた。

服は返り血で汚れており、右手は油で真っ黒になっている。

だが、その顔はすっかり、してやったりの表情だった。


《くそっ、くそっ!

 最終兵器どもが!

 何も守れないくせに!》


あーうるせぇなぁ。

ハイライトのイージスはゆっくりと消えていく。

空を歪めるほどのバリアはその身を失い、今本体を守るものは何もない。


『ハイライトのイージスが消えたぞ!

 今だ、帝国群、フルファイアー!』


シンファクシの声が響いたかと思うと、帝国群基地のあちこちから白い噴煙が認められた。

それは空を覆うように展開してゆき、やがて一気にこちらへ向かってくる。

慌てて俺達三人は横へと避ける。

だが、ハイライトはそうはいかない。

あの巨大な図体で避けようというのが間違っているのだ。

ハイライトのあちこちで爆発の華が咲く。

巨大な城の図体のあちこちが壊れてゆき、鋼鉄が裂ける。

隙間からは、ボロボロとギアや巨大な部品が零れ落ちる。


《くそ!

 くそがぁ!》


半径二十キロほどの大きさの島に、八つの子供のような島が付いている。

その超巨大なベルカの遺産が、壊れてゆく。

列車砲が並んでいた装甲がごっそりと剥がれ落ち海へと長い糸のようになりながら落ちて行く。

マーズルカエルの主砲、壊れたヴォルニーエルの光波共震砲。


『全段撃ち尽くせ!』


更に、第二弾。

あちこちでまたミサイル着弾の華が咲くと同時に光波共震砲の光がハイライトを射抜いてゆく。

超極兵器級の要塞といえど、これだけの猛攻には耐えれない。

城のような部分が根元からごっそりと吹き飛び、空へと延びていたレーザー砲塔がへし折れハイライトへ突き刺さる。

半径四キロほどの八つの附島にも次々と爆発が起きる。

紫色の光を出していた部分が砕け、接続部分が断ち切られる。

そのうち、一つがぼろりと推力を失くし、海へと落ちた。

半径四キロ、直径八キロの超巨大構造物の影響で海面がひどくうねる。

まだ生き残っていた連合群の艦隊も巻き添えを喰らって海へ沈んでゆく。

そして、二つ、三つと附島が引きずられるようにして落ちていく。

ハイライトは崩壊しようとしていた。

だが、根本の紫色の光を噴き出す部分はいまだ健在で、推力を失ってはいない。


《くっ、ここまでか……。

 これで世界は再び混沌に巻き込まれるぞシンファクシ!》


『そうはならない。

 なぜなら私がそうさせないからだ!』


《あいからわず現実を見ない御嬢さんだ!

 なぜわからない!》


ハイライトの右で巨大な爆発が起きた。

キノコ雲のような大爆発で、ばらばらに吹き飛んだ破片が遠くへと飛んでゆく。

その破片は建物一つ分を超えるほどの大きさ。


《くそっ――!

 最終兵器め……!

 こうなったら、せめて貴様たちだけでも――!》


ハイライトの光が強くなり、ゆっくりとその場から動き始める。


『何をするつもりだ――?』


《貴様らも道連れだ。

 一緒に地獄に来てもらうぞ!》


ばらばらとあちこちから部品を落としながらハイライトは帝国群基地へと向かって進んでくる、


『まさか――!

 総員退避しろ!

 ハイライトが、落ちてくるぞ!』


自暴自棄ってやつか……。

やられた方はたまったもんじゃない。

とにかく……何とかしなければ。





               This story continues.


ありがとうございました。

さてと。

次で、終わりかな。


長かった。

エピローグとかも書くかもです。


では!

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