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怪盗な季節☆   作者: 大野田レルバル
終堕な季節☆☆
204/210

後手必勝

「いくぞ!」


俺とシエラは、ほとんど同時に飛び立っていた。

一気に近くなってくるハイライトの巨体。

そのスレスレの所を飛ぶ。


《残念だが消えてもらうぞ。

さらばだ、シンファクシ。

我が友よ》


開いた装甲の奥から覗く列車砲の砲口が口を開く。

その砲口は力を蓄え、光を放とうとしている。

俺はその隙を逃さずに中へと入り込もうとした。

だが、後十メートルといったところでなにかに阻まれてしまった。

いや、なんてことはない。

敵のイージスだ。


「くそ!」


落ち着け。

落ち着くんだ。

右手をゆっくりとイージスに近づける。

まるでコンクリートのように硬い敵のイージスに指先を突っ込む。

そして指先から放出するように自分のイージスを展開してゆく。


「っ!?」


俺が破るよりも早く、敵の列車砲は光を放っていた。

オレンジ色の光が、帝国群基地へと向かってゆく。

その数は万をはるかに超え、空を覆っている。


「まずい!」


飛び立ち、防衛に向かおうとしたがメイナの姿を見て安堵する。

事実上メイナのイージスで、ハイライトのレーザーはほとんどが無効化されていた。

だが、それではカバーできなかったところもある。


《所詮、最終兵器なんてそんなものだ。

 貴様ら程度の力では何も守れないんだよ。

 シンファクシ、分かるか? 

 これが《超極兵器級》の力だ。

 そうさ。

 お前たちは負けるべき運命にあるのさ》


メイナの顔が、苦痛にゆがむ。

ハイライトのレーザーは、そのまま帝国群基地へと一気に降り注いだ。


『くっ――!

 だけど!

 あんたは間違ってる!

 だから……』


降り注いだレーザーは、爆発し、帝国群の基地どころか町までも燃やす。

建物が爆散し、炎が上がる。

だが、メイナのイージスのおかげでシェルター含む主要区画は何とか無事だったようだ。

シンファクシはしゃべっているし、アリルやセズクがいるであろう場所は炎ひとつあげていない。


「波音、何してる」


ずっと、帝国群の心配をしていたせいかシエラが横に来ていたことに今気が付いた。

慌ててイージスの展開の続きに入る。


「波音。

 あいつら、僕たちを……」


今まで聞いたことがないようなシエラの声だった。

か細く、今にも掻き消えてしまうような。

そんな声だったが、俺はしっかりと聞き取れた。

何かを思いつめているようなそんな声。

帝国群から上がってきた、戦闘機群がミサイルを叩き込みつつハイライトからの迎撃で落ちて行く。


「…………ああ」


俺は何も返す言葉がなくそう返すしかなかった。

そうか、こいつらは……。

いや、俺もか。


「何も……守れないって。

 言いやがった」


シエラはさっきよりも、震え声でそう俺に言ってきた。


「……ああ、そうだな」


シエラもメイナも……。

一度自分が守るべきものが守れてなかったんだもんな。

ベルカという、自分の国を。


「今度こそ守ればいいんじゃない?

 シエラ、俺とお主が出会ったときのこと覚えてるな?」


「……え、あ、うん」


「あの時お主は俺を守ると言った。

 そして俺は今も生きてる」


指がゆっくりとイージスにめり込んだ。

第一関節ぐらいまで入り込んだときハイライトのイージスが強く発光する。

イージスとイージスが打ち消し合っているときに出る光だ。

ここまで来るとあとは簡単だろう。

腕まですべてを入れてしまってからゆっくりと押し広げてゆく。


「これからも俺のこと守ってくれるだろ?」


「…………情けない言葉」


「うるせーよバカ」


シエラが俺の開けた穴に自分の腕を突っ込むと一気に押し広げはじめた。

ちらっとしか見れなかったけどシエラの顔は少し赤かった。

照れてんじゃねーよバカ。


「いくぞ!」


思いっきり穴を広げると俺は自分の体を穴の中へと押し込んだ。

これで敵イージスの中に入り込んだことになる。

邪魔をするものは何もない。

俺は上から、シエラは下から。

無言でそう決めると俺達は分散した。


《最終兵器め……!

 いくら最終兵器といえど、イージスに限界があるはずだ。

 撃て! 

 撃ちまくれ!!》


そして、俺もシエラも二人ともを落とそうと敵は躍起になる。

いつもなら簡単に落とすのだがハイライトとなるとそうはいかない。

この巨体は簡単には落ちるわけないし、ましてや表面にかすり傷程度じゃ無事だろう。

となると機関部を狙った方がいいだろうが……。


『っち、メイナ!

 飛行場の護衛を頼む!』


ラウナが主要区画を守ってメイナが移動しているというあの状況を見れば何とも言えなくなるのが俺達だ。

なら先に武装を壊していった方がいいよな。

刹那、自分の視界に爆炎が映る。

鈍い痛みと共にイージスを展開して威力を殺す。

図太いレーザーが俺を貫こうとしていたのだった。

ギリギリ気が付いて本当によかった。

下手すりゃ、今の一撃で落ちるところだった。


「このやろー……」


普通に痛かったじゃねぇか。

雨のように降り注いでくるレーザーをイージスではじき返しながら今俺に向かって太いレーザーを撃ってきた砲台めがけて突き進む。

中に人間の気配はない。

なら遠慮することなく、ぶち壊せるな。

俺はまっすぐ、巨大な三連装の砲台へと突き進むと装甲を引きちぎり中へと侵入した。

内部でレーザーをあちこちへ向かって放ち、配線を焼き切りギアを砕く。

そのまま横に装甲を貫き外へ出た。

これでまず、一つ。

爆炎を吹き上げ燃え盛る砲台を後に次の砲台へと取り掛かる。

小型機銃群が俺へとレーザーを撃ちまくるがそんなこと気にせずに次の砲台へと頭から突っ込んだ。

案の定さっきのように動き回り、敵を破壊する。


『私達は負けない!

 どんなことがあろうともだ!』


《っ、最終兵器め。 

 何も守れないくせに邪魔ばかりしやがって――!》


そういえばまだ、帝国群の攻撃システムは生きてるんだよな?

海上にはマーズルカエルもいることだし。

よし……。


「シエラ、聞こえるか。

 イージスだ。

 イージスを放出しているところを壊せば味方の援護射撃が受けれる!」


俺はハイライト下部へ行くとシエラに大声で知らせた。

シエラはこくん、と頷くと一緒にイージスの放出している場所を壊すために散らばる。

何とかしてシンファクシと連絡が取れないものか。

ヴォルニーエルの主砲を直撃させることが出来ればハイライトはすぐに落ちるだろう。

無線機を探していた俺だったが自分が最終兵器だったことをすぐに思い出した。

俺自身が無線機になればいんじゃねぇか。


「シンファクシ、俺だ。

 少佐だ、聞こえか?」


『――少佐か?

 どうした、何か問題でもあったのか!?』


「今からハイライトのイージスを破る。

 破ったらヴォルニーエルの主砲を叩き込んでくれ、いいな」


『分かったが、少佐。

 なんだ、死ぬなよ』


……それはこっちのセリフだよ。

さて、どこだ。

どこだっけか。

目を細め、あちこちを探る。

やがて人一人分ぐらいの大きな穴を見つけた。

よく見たら一定間隔をあけて、並んでいる。

イージス放出口、こいつか。

その口に直接レーザーを叩き込んだところで跳ね返されるだけだ。

もう少し内部へともぐりこんで内部から壊さなければ。

レーザーを叩き込み、装甲を破壊する。

主要区画なだけあって装甲がすげー固い。

五発ほど叩き込んでようやく穴が開いた。


「っしゃおらぁい!」


その穴に腕を丸ごと突っ込み、中へとレーザーを何発も叩き込んだ。

やがてそのイージス放出口から、炎が垣間見えるようになり爆発したのか爆炎を噴き出す。

これで一つ。

同じような感じで二つ、三つと破壊していく。

ハイライトの光すらゆがめる強さをだったイージスはゆっくりと溶けて薄くなっていくのが目に見えて分かるようだった。


《っち、最終兵器ごときが邪魔を――!

 こうなりゃ――》


ハイライトの装甲がまた開くと中から人間程度のぐにゃぐにゃと銀色に輝く何かが落ち始めた。

なんか……見たことある。

いや、あれは、ニセ……のようなやつらだ。

最終兵器の細胞を培養して作っている……モドキか。

それを……ばらまいてやがる。

大量に。


「あー……」


なんかめんどくせぇことしやがるなぁくそ。

敵も必死ってことか。

それかこちらの狙いに気が付いたとでも言えばいいのだろうか。


「ヴォルニーエル、持ってくれればいいんだが……」


まだハイライトのイージスは弱まらない。





               This story continues.


ありがとうございました。

更新いたしました。

最近忙しくて更新できなくてすいませぬ!

無事更新できましたありがとうございます。


ではでは!

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